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幼なじみの話_2
神社の鳥居を潜り、境内裏の生け垣に飛び込むと、幼なじみが草木のトンネルを作ってくれる。イタズラ好きな彼女の、一番得意な魔法だ。物を持ち上げるにも小物だけ、水をコントロールさせれば断水か大噴射な彼女は植物と相性が良いらしく、昔はよく森の中に秘密基地をこさえていた。
「ほら、見てよ鈴、大きく育ってるでしょ!」
そう言って幼なじみこと野々花が、まだまだ若そうな木を指差した。
「これにリンゴが生るの?」
「そう!秋までにぐんぐん成長するんだよ!」
かつて秘密基地を作っていた場所に、こんどはこっそり木を植えていたと言う。リンゴが生る頃には神主さんに怒られるのだろう。こんな事をするのは大抵私たちだから。
「美味しいと良いねえ」
ここ最近落ち込んだ様子だった野々花が、とびっきり嬉しそうに笑っているものだから、叱りたい気持ちがすっと失せてしまった。何時ものように、何か言い訳を考えてやろう。
「きっと美味しくなるよ」