第1章8 校内対応試合 その2
--- 校内対抗試合ー開始 ---
いよいよ校内対抗試合が始まった。
対抗試合の日程はこの1週間月水金で行われ火木はインターバルとなる。
最初の月曜日は全チームが初戦を戦い、水曜日は準決勝2試合が行われ、最終金曜日は決勝と三位決定戦となる。
また、実技場には6枚のゲートが準備されており、2枚1組で一つのフィールドへ2チームが別れて転送される。このゲートはイメルダの話では学園の理事長が設置したものらしい。シャルロットのユニークスキルとは違う様であるが少し気になるところではある。
フィールドは草原フィールド、森林フィールド、荒廃都市フィールドの3つに分かれており、コイントスによって当てた方にフィールドの選択権が与えられる。
転送された2チームは1kmほど離れて転送される。試合は転送された時点で開始となる。
バトルの様子は実技場の巨大スクリーンに移し出され1試合づつ順番に行われる。
初戦はマリアンヌの1班とドレーゼンの2班である。
コイントスでマリアンヌが真ん中の草原フィールドを選び、2つのゲートにそれぞれのチームが別れて入って行った。
入って直ぐさま各チーム陣形を組み、召喚獣を先行して向かわせた。
ドレーゼンの召喚獣はライガーLv6だけあって機動力に優れておりマリアンヌたちのベアウルフたちを容易く交わし、パーティへと襲いかかった。
マリアンヌ達は攻撃魔法でライガーを狙うもスピードに長けたライガーに命中させる事は難しく、次々とメンバー達をその鋭い爪で襲って行った。魔防服はライガーの爪や牙による攻撃を受けるたびにその色を青、緑、黄と変えて行った。
「ストーンフットパッド(マリアンヌチーム)」
マリアンヌ達は一人がライガーの攻撃で脱落する間にライガーに足枷を掛け動きを封じた。
パーティ間の中央での魔獣戦は、マリアンヌたちのベアウルフがドレーゼン達のウォルフ、ベアウルフに勝利し、ドレーゼンのチームに襲いかかった。
「サンドストーム(ドレーゼンチーム)」
「ウォタースフィア(ドレーゼンチーム)」
ドレーゼンチームは襲って来たベアウルフ達をサンドストームで囲いウォータースフィアでベアウルフ2頭を水の中に沈める。
しかし、残りの3頭がドレーゼンのパーティへ襲いかかり、「ストーンパッドフット」でベアウルフを無効化した。が、その間に距離を詰めたマリアンヌ達の攻撃魔法が放たれた。
「アイシクルアロー(マリアンヌチーム)」
「ファイヤボール(マリアンヌチーム)」
「トレントウォター(マリアンヌチーム)」
「サンダーボルト(マリアンヌチーム)」
ドレーゼン達の魔防服は魔法攻撃を受けチーム全員がイェローに変わった。
「ウォーターストーム(マリアンヌチーム)」
マリアンヌ達が自分たちの陣営を水の嵐で囲うと、
「アースサージ(ドレーゼンチーム)」
「ファイヤボール(ドレーゼンチーム)」
「アイシクルダガー(ドレーゼンチーム)」
「ファイヤストーム(ドレーゼンチーム)」
「ファイヤボール(ドレーゼンチーム)」
ドレーゼン達の攻撃が加えられ、マリアンヌ陣営からは二人目の脱落者がでた。残り三人の魔防服はイェローが2人、グリーンが1人である。
ドレーゼン達はすかさず防御魔法を展開する。
「サンドストーム(ドレーゼンチーム)」
同時にマリアンヌ達も攻撃魔法を加える。
「エアリアルストーム(マリアンヌチーム)」
「トレントウォーター(マリアンヌチーム)」
ドレーゼンのチームは一人脱落者がでた。残りの4人は全員がイェローである。ドレーゼンチームの防御魔法が解け、攻撃に備えてマリアンヌが防御魔法を掛けた。
「ウォーターストーム(マリアンヌチーム)」
ドレーゼンチームの攻撃
「アイシクルバースト(ドレーゼンチーム)」
「ファイヤボール(ドレーゼンチーム)」
「トレントウォーター(ドレーゼンチーム)」
「アイシクルバースト(ドレーゼンチーム)」
マリアンヌのチームはまた一人脱落し、残り二人はイェローで後が無い。
「サンドストーム(ドレーゼンチーム)」
ドレーゼンのチームはすかさず防御魔法をかける。マリアンヌのチーム防御魔法が解けると同時に攻撃魔法を放った、
「トレントウォーター(マリアンヌチーム)」
「ファイヤボール(マリアンヌチーム)」
マリアンヌのチームは手数が少ないが着実に一人を脱落させた。
一通り攻撃を行うとドレーゼンチームの攻撃に備え、マリアンヌ達は防御魔法を展開する。
「アイシクルストーム(マリアンヌチーム)」
ドレーゼン達の攻撃、
「ファイアストーム(ドレーゼンチーム)」
「トレントウォーター(ドレーゼンチーム)」
「アイシクルダガー(ドレーゼンチーム)」
マリアンヌチームは全員が脱落となり、ぎりぎり3人が残ったドレーゼンチームの勝利となった。
実技場では巨大スクリーンを前に生徒たちは全員固唾を呑んで見守っていたが、終わった途端に緊張の糸が途切れチーム毎に感想や作戦を述べあった。
「対抗試合ってやっぱり泥臭い戦いなんだな。」
「みんな最後はは泥だらけだものね」
「防御魔法が解けると同時に攻撃に移れるから、互いに攻守が入れ替わる様なパターンが出来ちゃうんだー。」
「ポイントは防御魔法をどれだけ強力なものを構築出来るかと、攻撃魔法がその防御を如何に突破出来るかだね。」
「この前の練習でシャルが指摘した事と同じ状況が幾つかあったね。」
「攻撃魔法を直線的に放っていては防御に阻まれるから防御の上から放物線を描いて打ち込むイメージ。だな」
「それと相性の悪い攻撃を同時に打って無効化しちゃってたのもあったね。」
続いて3班イワンと4班ボイマンのチームがゲートにはいって行った。今度は森林フィールドでの戦いである。
この試合は木という障害物をうまく活用して一か所に集まっていたイワンチームを取り囲む様に連続攻撃が出来たボイマンのチームが勝利し、準決勝へと進んだ。
次の試合は5班アンナと6班ユリウスのチームの戦いである。
この試合はまた草原フィールドであった。勝敗は召喚獣のレベルが高かった5班アンナのチームの勝利となった。
--- 校内対抗試合ー初戦 ---
次はいよいよ7班ベアトリスと8班ネヴィルの戦いである。
コイントスでベアトリスが勝ち一番左の荒廃都市ゲートへそれぞれのチームで入って行った。
荒廃都市は建物による死角が多く、離れて転移した時点でお互いが見えず、それほど慌てる必要は無かった。
「作戦通りふた手に別れて対応。私がフライで飛んで両方のパーティをサポートする。」
「ベスとケニーは右手に進んでブロックの陰で待機。」
「ソフィとマリンは左手の方に進んでブロックの陰で待機。」
「OK、頼んだわよシャル。」
「じゃあ行く フライ。」
ベスとソフィのチームは左右に分かれて行き、それぞれ最初の曲がり角で待機した。
シャルロットはフライで空高く飛び前方を確認した。
「イーグルアイ」
シャルロットはユニークスキルで遠方を見る魔法イーグルアイを使いネヴィル達のパーティの動きを伺った。
ネヴィル達は5人がかたまり、ベスとケニーの方の通りからこちらに近づいて来る。
「メッセージ・ベス」
「ネヴィル達は五人固まってそのブロックの通りを進んで来る。そのままそこを動かないで。」
「了解。」
シャルロットはソフィにメッセージを飛ばし指示を出した。
「メッセージ・ソフィ」
「ネヴィル達は五人固まってベスの方の通りをこちらに進んで来る。ソフィ達はそのまま進んで3ブロック先で止まって。」
「了解」
ソフィ達が3ブロック進んだ所で、ネヴィル達が同じブロックまで進んで来た。
ネヴィル達が3ブロック目を過ぎたのを確認して、
「メッセージ・ソフィ」
「ネヴィルたちを挟撃する。右手に曲がって次の通りの建物の影で止まって。
そして、私が魔法を打つ音がしたらその通りから右手に出て後ろからダークスペースに向かって範囲攻撃して」
「了解。」
ソフィ達に挟撃の準備を指示し、すぐさまベスにも指示を出した。
「メッセージ・ベス」
「この通りをネヴィル達が進んで来る。私が攻撃をしたら通りに出てダークスペースに向かって範囲攻撃して」
「了解。」
シャルは更に上空まで飛ぶとネヴィル達に見つからない様に反対側の建物の上へ移動した。そしてネビル達がソフィアとベアトリスの中間地点まで来た時に。
「ダークスペース(シャルロット)」
ネビルたちのチームを闇で覆った。
「何だ、見えないぞ!」
「ファイヤボール(シャルロット)」
壁伝いに歩いていたネヴィル達がいた建物の上部をファイヤボールで撃ち崩した為、瓦礫がネヴィル達の上に降り注いだ
「うわー、何処から攻撃されたんだ?上か?」
「皆何処にいる?」
ネヴィル達が暗闇で混乱している所へ、ファイアボールが建物に当たり爆発した音を聞いたベス達とソフィ達が飛び出し左右から、
「アイシクルアロー(ソフィア)」
「アイシーバースト(ベアトリス)」
「サンダーボルト(ケーニッヒ)」
「トレントウォーター(マデリン)」
一通り攻撃を受け、闇も消えて挟撃されている事に気づき反撃を試みるも
「グラヴィティ(シャルロット)」
シャルの重力魔法でその場に崩れ、再度攻撃を受けた
「アイシクルアロー(ソフィア)」
「アイシーバースト(ベアトリス)」
「サンダーボルト(ケーニッヒ)」
「フレイブルアロー(マデリン)」
シャルロットの魔法で無防備になったネヴィルたちは、範囲魔法による攻撃を再びもろに受け、全員があっという間にレッドになり、シャルロット達は勝利した。
全チームの初戦が終わりその日の対抗試合は幕を閉じた。
翌日のインターバル日は例によってシャルロットの屋敷に全員集まり作戦会議をした。
焼きたてのクッキーを食べながら、
「ネヴィル達のチーム、全員かたまって移動とか有り得ないでしょ。」
「挟撃出来てあっさり終わったね。」
「だけどシャルがフライで飛んでメッセージで指示を送って、おまけにダークスペースなんて目くらましまで使ったから勝てたんじゃないか?」
ケーニッヒが素直に喜べない感じで言った。
「このチームにいる僕には出来のだから良しとしよう。」
シャルは膝の上の白虎を撫でながら言った。ケーニッヒもなるほどと前向きに考える事にした。
「他のフィールドは皆の戦いを見たけど変更点はある?」
「森林フィールド予定通り木の陰に隠れて横並びで行く作戦でいいかな。」
「そうね、森林フィールドでもイワン達見たいにひと塊で移動すると集中攻撃されやすいね」
「相手も隠れてこちらを探して居るから私がプロテクションで囮になる。皆は木陰に隠れながら移動して攻撃して来た所に召喚獣や範囲魔法で攻撃する作戦で。」
「いいねーじゃあシャル囮作戦で」
「草原フィールドはどうする?」
「これはお互いに見えているからセオリー通りV字陣形で良いんじゃない?」
「うん、それでいい。」
そうして、残りのフィールドでの戦い方を共有して、フリュード森林での練習を早めに切り上げて解散した。
---閑話---
「皆さまこんにちは、コカビエルです。 今日は学園の体育祭でしょうか? シャルロットさんたちは学園のお仲間達と魔法合戦をされていたようです。もちろん勝敗は優秀なシャルロットさん達のチームの勝ちでした。 何でもこの体育祭の勝者は全国の学園が戦うインターハイへ出場するそうですよ。学園生活の夏の良い思い出が出来ると良いですねー。」