表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天使の贖罪  作者: LoveDonald
5/19

第1章4 召喚魔法合宿 その2

第1章4 召喚魔法合宿 その2




 --- 召喚魔法合宿ー出発 ---



 翌週の合宿当日生徒全員が校庭に集まり4台の大型馬車に10人づつ乗り込み目的のフリュード森林の合宿所へ向かった。


 大自然の中を馬車は進んでいった。普段リューネブルクの大都市に住む生徒達の目に大自然は興味に満ち溢れた別世界として映っていた。


 途中、一行はロッジに立ち寄りお昼の休憩を取った。


 「各班ごとに行動し、ロッジ周辺で昼食を取りなさい、1時間半後に集合し出発します。」


 イメルダの指示の後、生徒たちはチーム毎に分かれて行った。


 「何処でランチにしようか」


 「あそこの谷川の脇の大きな岩の上で食べようぜ!」


 ケーニッヒが指を指し皆賛同して向かった。 岩の上に輪になって座り各自のお弁当を広げた。


 「いっただきまーす!」  


 「しかし凄い大自然だね空気が美味しいからお弁当の味もまた格別だね」


 「マリンその卵焼きと俺の鴨肉のテリーヌと交換しようぜ!」


 「ソフィアの卵のサンドイッチと私のローストビーフと一つ交換しない?」


 「いいわよ。」


 和気あいあいと昼食を取っているとガサガサ・・。


 少し離れた藪の中で物音がした。長い耳を立てた鋭い牙を持つ兎に似た生き物が2本足ですくっと立ち上がりこちらの様子を見ている。


 「あ、ラミットだ。」


 「俺達の弁当の匂いに釣られて出てきたのか?」


 「よーし」


 そう言うとベアトリスは契約魔法を唱えた。


 「サモンマジック コントラクト!」


 ラミットの足元に魔法陣が展開され、驚いたラミットは逃げようともがくがしばらくして魔法陣は消え大人しくなった。


 「どう? Lv1ラミットを召喚獣にしたよ。こうして見ると可愛いねー。」


 「ベス、すごい、すごーい!」


 初めて召喚魔法の実演を見た他の者たちは称賛を送った。

 ベスは照れながらラミットにサンドイッチを与えていた。


 「うん、これがもっとLvの高い魔獣だったらある程度弱らせてから契約魔法で従わせるわけだね。うまく出来るかなー」


 「そうだな今回の課題はLv2以上の魔獣の召喚だからラフォックス以上の魔獣なら合格って事だし何とかなるんじゃ無いかな?」


 「でも優秀賞で表彰されるのはよりLvの高い魔獣だからなるべく強いやつを弱らせて契約しないとね。」


 「サモンマジック ディスアペアー」


 ベスはラミットを召喚陣へ返した。召喚陣の中では時間が止まった様な状態になっているという話である。


 「囮のLV1のラミットゲットだね。でも可愛いのに囮って可愛そう。」


 「みんなどれくらいの魔獣をねらう?」


 「授業でLvに開きがあると従えられないと言ってたから召喚術Lv+1くらいかなー」


 召喚術のLvが低くても魔獣さえ弱らせてしまえばLvの高い魔獣と契約し使役できる。

 しかし、あまりにLvがかけ離れていると召喚した際に使役出来なくなるので要注意である。


 「じゃあケニーとマリンはウォルフLv3だねー、私とシャルとソフィがベアウォルフLv4かな。


 ライガーLv5になると強さと速さが半端ないから、弱らせると言っても命がけだよね。その当たりからはシャルが前面に出てくれないとやばいかなー」


 「うん、任せてベス! 大丈夫だよ。」


 「うんうん、我がチームは頼もしいねー」


 「シャル頼みって、ハハハ・・。」


 「さあ戻ろうか」


 「・・グルル・・・」


 (何だろう?何だか懐かしい気配)


 全員でロッジへ戻ろうとした時、地響きの様な魔獣らしき生き物の低い唸り声が遠くの山から静かに響いたがそれに気づいたのはシャルロットだけであった。

 

 それから半日をかけて辺りが真っ赤な夕日に染まる頃、フリュード森林合宿所に到着した。


 「各自馬車から降りたら合宿所内の講堂に集合する事。荷物はポーターがコテージに運ぶのでそのままで良いです。」


 合宿所と言っても実のところは貴族が多く利用する高級リゾートホテルであった。


 講堂に集合した生徒達にこれから1週間の合宿期間中のコテージとロッジの使用上の注意事項について管理者である執事服のバルドワジ氏から説明があった。


 コテージは森の中にある湖の周囲に1軒づつ建てられている。


 バス・トイレ付で料理も作れるキッチンもついている、また湖側にジャグジー付きのバルコニーも出ており、まさにリゾート地の景観である。

 説明後各班ごとにコテージの鍵が渡され生徒たちはそれぞれのコテージへ別れて行った。


 後はお風呂に入るもよし、ロッジ側の食堂で食事を摂るもよしとコテージに滞在している間は自由時間となる。コテージに入ると荷物が届けられていた。


 「お腹も空いたから先に食事に行こうか?」


 「そうね、それからお風呂に入って、ゆっくり休みましょう」


 ベスとソフィの意見で行動が決まり、皆んなで食堂へ行った。既に5人毎にテーブルを分けて配膳の方は済んでおり、ベアトリス達5人は窓際の席に座ることにした。


 温かい焼きたてのステーキの塊がテーブルに運ばれて来て、ロッジの管理者バルドワジさんが、


「名物フリュード牛のサーロインステーキになります。」


 と説明し、皆の席で手際良く切り分けてくれた。 熱い鉄板の上で肉がジュージュー音を立てて焼けている。


 「美味しそー!」


 全員よだれを垂らしてステーキの切り分けを見ている。


 その間、森の方からまた「・・グルル・・・」とシャルロットにしか聞こえない声がして、シャルロットの鉄板にバルドワジが切り分けて居る時に、


 「バルドワジさん、今日はよく魔獣の低いうなり声が聞こえますが、何の魔物かわかりますか?」


 とバルドワジに聞いた。


 「うむ・・、 お嬢様には聞こえますか? あのうなり声が。」


 「はい、昼間ここへ来る道中から聞こえてました。」


 「そうですか、確かに昼ごろからこの森の主がうなり始めたのですが、何かにおびえて・・いや、誰かを呼んでいる様です。ですが、お嬢様方は関わりにならぬ様に。」


 そう言って全員に切り分けて他のテーブルへ移って行った。


 (この声、何だか僕を呼んでいる様な気がする・・)と思うシャルロットであった。



 --- 召喚魔法合宿ー初日 ---



 翌日、魔獣召喚の初日が始まった。


 朝食後、生徒は講堂に集められ管理者のバルドワジ氏から羊皮紙が配られこの森林にいる魔獣とそのLv、立ち入り禁止区域についての説明があった。


 ベアウォルフ、ライガーといった強い魔物は群れを組む事はないが、個体によって強さが違ってくる場合もあり、ボス級ともなると戦いで体力を削っても召喚術を2回失敗したら魔法で足止めをして逃げる様にと説明があった。


また特に西側の禁止区域には生徒のレベルでは絶対に使役出来ない魔獣や伝説の魔物もいるので絶対近づかない様に、と念を入れた説明に生徒たちには一様に緊張感が走った。


 「じゃあ先ずは北の方へ行って見ようか先ずはケニーとマリンのウォルフ当たりから捕まえて見よう。」


 ベスがそう言うと山の中を横1列で探索し始めた。探索から30分程度でラフォックスの群れが現れた。


 「うわ、ラフォックスの群れだわ!狙いじゃないけど20頭は居るかなー」


 「ここは追い払わないとどうしようもないな。」


 「よし、それじゃあ、オフェンシヴマジック エアリストーム!」


 ケーニッヒの魔法でラフォックスの群れの一部は風で吹き飛ばされてしまった。残ったラフォックスも飛ばされた仲間の方向へ走り去っていった。


 「やるねーケニー。じゃどんどん進もう!」


 また横1列の陣形で進んで行くと左端にいたソフィアが「待って!」と声をかけ前方左側の木々の中を指指した。目を凝らして見るとウォルフが2頭こちらの様子を伺っていた。


 ベス達は1列の陣形からソフィの周りに集まりV字陣形を組んだ「よし、昨日のラミットちゃんの出番だね。


 「出てきた所を足止めして攻撃で。」


 そう言うとベスは、


 「サモン ラミット!」


 魔法陣が展開され中央からラミットが召喚された。


 「ラミット まっすぐ進め!」


 ベスは進む方向を杖で指した。ラミットは言われた通りゆっくりウォルフの隠れている方向へ進んだ。


 ベス達との中央付近まで進んだ時、茂みからウォルフ2頭が飛び出しラミットを抑えつけた。すかさずケーニッヒが、


 「オフェンシブマジック グランドスワンプ」


 ラミットを中心に踊りでたウォルフの足元の地面が突然泥沼と化し、魔獣達は身動きが取れなくなった。


 そしてマデリンが、


 「オフェンシブマジック ファイヤーボール」


 2頭のウォルフはファイヤーボールをもろに受けてその場に倒れこんだ。


 ケーニッヒとマデリンはそれぞれのウォルフに、


 「サモンマジック コントラクト」


 召喚魔法をかけ難なく捉える事が出来た。


 その後ヒールをかけてやりそれぞれに他の魔獣の気配を探す様指示した。


 「いやーこうして見ると召喚獣って便利だねー」


 「ホントだなー、こうして命令に従って健気に働いているところを見ると、愛着が湧いてくるな。」


 ベアトリスのラミットの次に召喚獣を手に入れたケーニッヒとマデリンは上機嫌である。


 その後ラフォックスやラミットは山の様に出てくるがそれより強い魔獣は出てこず辺りが薄暗くなって来た為に一同はバンガロウに帰る事にした。


 その日の夕食で、


 「ケニーとマリンは初日で課題クリア出来ていいなー。」


 「ねえねえ聞いた?ボイマンのチームはベアウルフを召喚したらしいよ。」


 「うわ、マジで明日はうちのチームにもベアウルフ出てくれるかなー。」 


 「シャルはどうするの?」


 「うん僕もベアウルフでいいよ。」


 「いや、シャルにはライガー以上の魔獣をゲットしてもらわないと私達のチーム優勝狙えないよ」


 「ははは、でも今日は皆んなの連携良かったよね、ベスのラミットの囮からケーニッヒの足止めにマデリンのファイヤーボール、そして召喚術。完璧な流れだったね。」


 「そうね明日もこの調子で頑張ってベアウルフとライガーをサクッと片付けちゃいましょう。」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ