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天使の贖罪  作者: LoveDonald
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第1章9 校内対抗試合 その3



 --- 校内対抗試合ー準決勝 ---



 準決勝の2班ドレーゼンと4班ボイマンの戦いは荒廃都市戦で行われ全員がバラバラに召喚獣とペアで行動し、一度戦いが起こると全員音のする方へあちこちから殺到し同士討ち等の混戦となるも、ドレーゼンのチームが勝利した。


 もう一つの準決勝は5班アンナと7班ベアトリスである。


 コイントスで勝ったアンナが選んだフィールドは森林フィールドである。


 ゲートを出たシャルロットは自分に防御魔法を掛けた。


 「プロテクション」


 シャルロット以外のメンバーはシャルロットの後方で横1列に広がり木の影に隠れながら進んだ。

 

 500mほど進むとシャルロット目掛けて魔法が飛んだ、


 「アイシクルスピア」


 シャルロットのプロテクションに弾かれたが、


 放たれたと同時にシャルロット以外のメンバーから範囲魔法の攻撃が、放たれた場所に集中砲火を浴びせた。


 「アイシクルアロー(ベアトリス)」


 「アイシーバースト(ソフィア)」


 「サンダーボルト(ケーニッヒ)」


 「ファイアストーム(マデリン)」


 茂みの中からシグナルが消え戦意喪失となったアンナチームのメンバーが転がり出た。


 更にプロテクションを掛けて歩いて行くと4匹の魔獣が木の陰から飛び出しシャルロットの周りを取り囲んだ。


 「フライ、 グランドスワンプ、 アイシクルバースト」


 フライで空中に浮いた状態で自分の下にいる魔獣たちをグランドスワンプで足止めし、泥沼を凍らせて足止めにしてしまった。


 そのまま魔獣が放たれた付近に、広範囲重力魔法を掛けた。


 「マキシマイズグラヴィティ」


 するとあちこちから「キャ」「ウグッ」といった叫び声がし、後方にいたベス達4人が召喚獣を放ち、動けない所を召喚獣に蹂躙されてそのまま全員脱落した。


 これで決勝戦は2班ドレーゼンチームと7班ベアトリスチームの戦いとなった。


 翌日のインターバル日は例によってシャルロットの屋敷に全員集まり作戦会議をした。


 出来たてのマカロンを食べながら、


 「ドレーゼンのチームはライガーの攻略がキーだよねー。」


 ベアトリスが言った。


 「白虎が出られれば良いのにね。」


 と、ソフィーも


 「逆v字で行けばいい。私がライガーも他の魔獣も無効化する。」


 膝の上の白虎を撫でながらシャルロットが言った。


 「私が先に行ってダークスペースでドレーゼンを闇で覆うから、ベス達は魔獣で攻撃する。

 ドレーゼン達は暗闇で魔法を放ち同士討ちして終わり」


 「なるほど、またシャル頼みになるけどその作戦で行きましょう。」


 と、マデリンが言った。


 「問題無い私が闇属性の魔法が使えるからそれを使うだけ。」


 「おう、絶対優勝するぞ」


 「頑張ろうね」


 「ファイトー」



 --- 校内対抗試合ー決勝 ---



 いよいよ最終日の決勝となった。


 コイントスではドレーゼンがゲート選択権を選び初戦でマリアンヌを破ったライガーの俊足を活かせる草原フィールドを選択した。


 シャルロットのチームはシャルロットを頂点に逆V字フォーメーションで前に進んだ。


 ドレーゼン達はV字フォーメーションである。


 ドレーゼン達は1戦目と同様に召喚獣を放ち攻撃を仕掛けて来た。


 召喚獣達がシャルロット達のチームに接近し、シャルロットの魔法が発動した。


 「マキシマイズポイズンストーム(シャルロット)」


 召喚獣たちを広範囲に取り巻く毒ガスの嵐の中に捉えた結果、成す統べなく召喚獣達は倒れていった。


 さらにシャルロットは前に進むドレーゼンのチームもV字フォーメーションで掛けて来たが、シャルロットの方が射程距離が長くドレーゼン達が射程範囲に入ると、


 「マキシマイズダークスペース(シャルロット)」


 ドレーゼンのパーティ全体を闇で覆った。


 「なんだ?何も見えないぞ?」


 「メテオフォール(シャルロット)」


 目隠し状態のドレーゼンのパーティに幾つもの隕石を落とした。


 その間に他の4人も召喚獣を放っていた。


 「ひぃ、なんだ、魔獣も居るぞ!」


 「ガルルルル・・」


 「ホーリーピュアファイ(ドレーゼン)」


 ドレーゼンが光魔法で闇を消した。


 「光魔法を使えるのか?」


 6属性の中でも光と闇はレア属性であるが、シャルロットは自分のほかに光魔法を使える者がいるとは思ってもいなかったので少し驚いた。


 ドレーゼンが光魔法で闇を消し去ったが、この時点で彼らは2人が脱落し残る三人もイェローになっている。


 「ストーンフットパッド(ドレーゼンチーム)」


 「アイシクルウォール(ドレーゼンチーム)」


 ドレーゼン達は最後の召喚獣を無効化し、氷の障壁で防御を図った。


 が、しかし、


 「ホーリーアロー(シャルロット)」


 シャルロットは間髪入れず魔法陣を5つ展開させ、幾本もの光の矢を放った。


 勝敗は帰した。


 氷の障壁をすり抜けた光の矢は3人の魔防服をレッドに変え全員脱落した。 


 「くそっ!まさか1点も取れないのか! 向こうは白虎を使えないのに!」


 自分達の力のなさに腹立たしさを覚えるドレーゼンだった。


 こうして決勝戦の割にはあっけなく勝敗が付いてしまった。


 3位決定戦は4班ボイマンと5班アンナの戦いとなり荒廃都市戦となった。


 両チームともチームを二つに分けるもシャルロットの様に全体を俯瞰出来る者はおらず、全員がランダムに動いていた。偶然、ボイマンのチームがアンナのメンバーを挟撃出来た為、後はボイマンチームも1チームとなり、残ったアンナチームと遭遇し戦力的に優位なボイマンのチームが勝利した。


 その後表彰式が行われベアトリスの7班が優勝、2位はドレーゼンの2班、3位はボイマンの4班となった。


 これで来月の学園対抗試合はベアトリス7班とドレーゼン2班が出場する事に決まった。


 「魔法学園対抗試合ー準備」


 7月に入り学園も夏休みに入った。


 しかし学園対抗試合を1週間後に控えたシャルロットの屋敷はちょっとしたお祭り騒ぎになっていた。


 ここリューネブルク一番のブティックで母親のマーガレットがベアトリス、シャルロット、フェルト、白虎を引き連れ宮廷舞踏会用の衣装選びに力を入れていた。 


 「お母さん衣装なら去年のでいいよ。」


 「駄目よベスもシャルも育ち盛りだから去年の衣装はもう合わないでしょ?」


 「フェルちゃんと、猫ちゃんも社交界への初デビューなんだから恥ずかしくないドレスを選ばないとね。」


 「もう5着目の試着だよーこういう衣装は着替えるの大変なんだもん。」


 「公爵夫人、私は王都へ行くとは一言も言っていないのだが・・?」


 「母上殿、某もそのような窮屈なものは好かんのでござるが・・。」


 「駄目よ、フェルちゃんには個別に招待状が届いているし、猫ちゃんも裸では恥ずかしいわ。」


 「私は行ってみたい。」


 「シャルロットはお利口さんね。

 さあさあ、みんなもう一着、今度はもっとシックなデザインにしてみましょう。」


 国王様に懇意にされているロンデウス公爵とその家族には毎年、王宮から試合後の舞踏会の招待状が来ている。詰まる所、今回の学園対抗試合の勝敗に関係なく、舞踏会には参加するのである。


 フェルトは3年前から屋敷で魔法学を教えているが、それ以前は宮廷魔道士として宮廷で王族の方々に魔法を教えていた。そういった縁で招待状は届いていたが元々そういう場は苦手であったためいつも丁重にお断りをしていたが、今回はシャルロットの件もあり、行くことにしている。


 白虎は如何なる時もシャルから離れないというのでそれならばと母親の着せ替え猫の様な状態になっている。 


 何だかんだで丸一日を掛けて全員4着の衣装を新調したのだった。


 「魔法学園対抗試合 特訓」


 翌日、学園では来週の学園対抗試合説明会があり登校日となった。


 「ねえ、知ってる王都学園には王子様も試合に出場されるんですって。」


 「本当に!フィリップ王子様が? 私絶対応援に行くわ!」


 学園対抗試合は王都のアリーナで行われる。 校内対抗試合と違ってフィールドはここアリーナの競技場になる。客席と競技場は魔法による防護壁で隔てられており客席に魔法が撃ち込まれる事は無い。


 またアリーナの南側には大型の投影魔法が施され、戦いの様子を拡大した大型映像が映る様になっている。 


 「はいはい、皆さんお静かに」


 「起立! 礼! お願いします! 着席!」


 「今日はいよいよ来週に迫った学園対抗試合の情報をお知らせします。」


 そう言うとイメルダは持って来た羊皮紙を配った。


 「試合の方は王都にある王立競技場で行われます。」


 「戦いは羊皮紙にあるトーナメント形式で行われ、各学園の1位と2位のグループでトーナメント戦を戦い、決勝ではその勝ち上がった2チームが戦う事になります。

 したがって、我が第2学園の2班、7班が勝ち上がってこられれば決勝でこの2チームが戦う事も可能です。

 1位の7班ベアトリスチームはケルンチームと初戦の戦いになります。

 ケルンチームは3名が魔族と聞いていますので、空からの攻撃に対して策を打っておく必要がありますね。

 2位の2班ドレーゼンのチームの初戦はケムニッツチームとの戦いです。ケムニッツも3名は獣人という事ですから、相手の機動力を封じる策を練っておく必要があります。勝ち進めば王都チームが相手になりますが、王都チームは我々と同じデミ・ヒューマンのチームになります。 今年は2位のトーナメントに私たちと同年代のフィリップ王子様が出場されますが臆する事無く奮闘する様に。尚、試合の日程ですが、初日は2位グループのトーナメントが行われます。二日目は1位グループのトーナメント、三日目は三位決定戦と決勝が行われます。 ここ迄で何か質問はありますか?」


 「はい、先生。」


 「ではシャルロット。」


 「今回、白虎を召喚しても構わないでしょうか?」


 「はい、白虎様にも参加して戴いて結構です。 それと先ほどの説明の補足になりますが、ケムニッツ、ケルンのチームの召喚獣はワイバーンやフェンリルなど強力な魔獣が居ると聞いてますので心して対応して下さい。」


 「主殿、やっと某もお役に立てますなー。ワイバーンやフェンリルなど某の相手にもなりますまい。」


 「はい、先生」


 「では、ケーニッヒ」


 「他の学園のメンバーは強力な魔獣を従えていると思いますので、新たな召喚獣を準備して行っても良いでしょうか?」


 「新たな召喚獣?まさか貴方達だけでフリュード森林へ行くのではないでしょうね?」


 「私たちは練習もフリュード森林でやっていました。白虎がいるのでLvの高い魔獣が出ても従えられます。」


 ベアトリスが答えた。


 「分かりました。安全に戦力増強できるのであれば構いません。」


 「はい、では王都迄の道のりについてですが、既にご家族の方にも招待状で王宮から招かれて見える方もいますので、その方たちはご家族で直接王都へ向かってください。それ以外で応援に行く方は毎日行きと帰りの夜行馬車が学園から出ますので申込書に日付と氏名と他ご家族の方の名前を記入して提出するように。以上になりますので、ご家族の方にもこの羊皮紙を見てもらってください。では今日はここ迄です。」


 「起立! 礼! ありがとうございました。」


 「よし、召喚獣を変えても良いって許可も出たし、放課後ゲートでフリュード森林に行って捕まえてこないか?」


 「そうね、シャルの白虎が居るけども手数で負けるって事もあるしね。」


 「じゃあ、どうする? 召喚術Lv+2にするとしたら、ケニーとマデリンがベアウルフで私とソフィがライガーだね。」


 「じゃあ、私たちのベアウルフをケニーとマデリンに渡して、新たにライガーを捕まえるって事だね。」


 「そうね、でもライガーとかめっちゃレアだからそう都合よく捕まるかなー」


 「白虎何とかならない?」


 「主様、問題ございません。某の縄張りに更に強い魔獣が幾らでも居るので、容易く準備出来ますぞ。」


 「ちょっと待ってくれ。」


 ドレーゼンとそのチームが声を掛けて来た。


 「先程のケーニッヒ君の質問が引っ掛かったのだが、そちらは新たな召喚獣を捕らえる方策がある様だが、恥を偲んでお願いする。我々もそれに同行させてもらえないだろうか?」


 「どうする?」


 「問題ない。一緒にロンデウス代表で戦う仲間。」


 「済まない。恩に着る。」


 「そういう事なら、俺の事はケーニッヒ君じゃなくてケニーでいいぜ。」


 「じゃあ放課後私の屋敷に集合ね。」


 放課後、皆が馬車で集まって来た。


 「ゲート。」


 シャルロットがフリュード森林の白虎の滝の前にゲートを開いた。


 「何だここはフリュード森林なのか?こんな所へ一瞬で来るなんて。」


 「ドレーゼンのメンバーは絶句した。」


 「白虎じゃあ呼び寄せて。」


 「承知いたしました。 グルガォォォ・・・」


 白虎は大きくなると遠吠えの様なうなり声を上げた。


 「すると森の奥からワイバーン、やフェンリル、バジリスクそれ以外にも名前の分からない魔獣がわんさか集まって来た。」


 「主様如何でございましょう?」


 「うん、グッジョブ。」


 「勿体なきお言葉にございます。」


 「大丈夫召喚術Lv+3でも一端契約が成立すれば使役できる。万が一の場合も白虎がいる。」


 「じゃあ魔人もいるなら空を飛べるワイバーンにしようかな。」


 「じゃあ私は獣人対策でバジリスクね。」


 「ケニーとマリンはライガーだね。」


 「ドレーゼン達はどうする?」


 「うちのメンバーもLv+3でいくなら、私とオズワルドとフィリップはワイバーン、バジリスク、フェンリル、オリビアとターニャはライガーだな。」


 皆、順に召喚術で契約を結んでいった。


 「しかし、シャルロット嬢には恐れ入った。ゲートやフライを使い、白虎様まで使役出来るとは。どうしたらそうなれるのだろうか?」


 「え!? ドレーゼン、なれると思う所が逆に凄いよね。」


 「私はドレーゼンの家名に恥じぬ様、二人の兄たちよりも強くなりたい。どうすればシャルロット嬢ほどの力を得られる。」


 「これからもっと魔法の全てにおいて研鑽を積めば私くらいにはなれる。良い師に付く事も大事。」


 「ハハ・・私も同じ師についてますけど・・。」


 「そうかやはり努力あるのみだな。」


 「ドレーゼンが光魔法を使えるのには驚いた。」


 「私は光風水火の4属性がある。」


 「ならあと二つで全属性。頑張れ!」


 「ありがとう、シャルロット嬢。良かったら今後私にも魔法の指導をして貰えないだろうか。」


 シャルロットはベアトリスの方を見た。


 「なになに、この雰囲気は。駄目よシャルはまだ幼いんだから姉の私の許可が必要よ。」


 週末の土曜日はドレーゼンのメンバーがシャルロットの屋敷に来て、これまで自分のメンバーにした様な対人戦で必要な座学を教え、フリュード森林で練習をした。

 ドレーゼンは努力もさる事ながら覚えも早かった。シャルロットが居なければ間違いなく学年トップの成績を収めるだろう。


 「幕間」


 場所は王都のアリーナの中央、三人の魔導士がいる。リーダーらしき男が、


 「この召喚術に特化した魔鉱石を使っても3人掛かりでないと使役出来ぬとは流石は神獣といったところか・・。」


 「サモン フェニックス」


 「ギャーオゥ!」


 三人の男たちが杖を振るい巨大な魔方陣が展開された。魔法陣から揺らめく焔が立ち上り深紅の鳥獣が出現した。


 「フェニックスよ、目の前の木偶を攻撃せよ。」


 木偶は5体配置され、魔防服がブルーシグナルになっている。


 フェニックスは舞い上がると、


 「ヘルファイア」


 深紅鳥獣が呪文を唱え、翼と尾羽、頭をデクの方へ伸ばす様に魔法を唱えた。するとまさに地獄の業火と呼ぶに相応しい炎が放たれ5体配置された木偶の周りをゴーという音と共に渦を巻き竜巻のように立ち上って消えた。


 木偶に着せてあった魔防服は全てレッドシグナルに代わっていた。


 「クククク・・・このフェニックスさえいればわが校の勝利は約束されたも同然。ハハハハ・・・。」


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