09話 謎の女
俺は、眠らず朝まで過ごし、お金をしっかりと握りしめ、おっちゃんのところへ来ていた。
「このローブと、非常食を幾つか
貰えるか?」
「おお!兄ちゃん久しぶりだな!
占めて、シルバー8枚だ!」
「8枚か…あとこの辺に宿はあるか?」
「あるぜ!あとで案内してやる!」
「助かる」
俺はそう言いながらお金を出す。
「えっと…ゴールド1枚だから
シルバー2枚のおつりだ兄ちゃん!」
「いやそれは商人の場所と宿の場所を教えてくれた礼だ。受け取ってくれ」
おっちゃんは何度か遠慮をし、俺にお金を返そうとしてきたが、俺が頑なに断ると、兄ちゃんがそういうならと笑顔で受け取った。
「兄ちゃんはいい奴だな」
おっちゃんは俺を宿屋へ案内しながらそう言う。
「いや、いい奴ではない」
俺は、おっちゃんを別に信頼しているわけではない。だが、してもらったお礼はキチンとすべきだ。
だから、お金を払った。
「兄ちゃんはツンデレだなぁ…まぁいい!
ここが宿屋だ!」
「助かったありがとう」
ありがとうか…。
この世界へ来て、初めて口にした言葉かも
知れないな。
宿屋へ入ると、ヨボヨボとした老人がいた。
「お一人ですかな?」
「あぁ…3日程泊まりたいんだが幾らになる」
「一泊シルバー2枚ですので、6枚になりますが…」
思ったより安いな。
ゴールド1枚くらいするかと思ったが…。
「泊まらせてもらおう」
「かしこまりました、ではこちらへ」
俺は部屋へ案内された。
「ふぅ…」
どっと疲れが抜ける。
久しぶりに、俺以外、誰もいない空間だ。
安心したのか、疲れが出てきた俺は早速布団に入り横になることにした。
布団に入ると、少しずつ思い出したくもないあの時の状況がフラッシュバックする。
シュウが部屋に入り、俺のスキルを盗もうとする。
盗まれた俺は、牢獄へ…
蛇に首を噛まれ、激痛が俺の体にはしる。
「やめろ!」
はぁはぁ。息が荒い。
いつのまにか眠っていたようだ。
布団から飛び起きた俺は、自分が大量の冷や汗をかいている事に気づく。
クソが…。俺を牢獄へ仕向けた女王、俺がスキルを使えないことをいいことに牢獄で地獄の目に合わせたゲド。そして、俺のスキルを奪った張本人シュウ。
頭の中で恐怖と怒りが暴発する。すると、外から微かに声がした。
「ですから…もう宿は満杯でして…」
「なんですって!私が泊まるところがないじゃない!なんとかならないの?」
何だ?外が騒がしい。
宿屋の店主と女が争っているようだが…。
クレーマーか?