08話 金稼ぎ
「この辺で魔物が狩れる場所はないか?」
「ヒッヒッヒ、うちで売ってくれるならお教えしますよ」
姿、喋り方。
全てにおいて怪しいが…。
あのおっちゃんから聞く限り、
おそらくこいつ以外では
買い取ってくれるところはないだろう。
「お前のところで売る。だから教えてくれ」
「毎度あり…この村から少し先に行くと草原があります…そこにいる魔物の素材なら高く買い取りますよヒッヒッヒ」
こいつを信じたわけではないが、
金がない俺が今できるのは、
そこへ向かうことぐらいだろう。
行ってみる価値はありそうだ。
「助かる」
♢
俺は、商人から地図と魔物の素材を剥ぎ取る為の短剣を渡され、地図の通りに進んでいくとやがて
草原に出た。
「ここか…」
辺りには、棍棒を持ち、背丈は俺ぐらいの緑色の身体をした魔物が数匹いた。怪しい商人によると、
こいつはゴブリンというらしいが…。
俺に倒せるのか?
まぁ一撃与えて、無理そうなら一旦引けばいいか。
「物は試しだ。ヴェノム ファング!」
「ウガッ!?」
蛇がゴブリンに勢いよく噛み付く。
今回のヴェノムファングには、
毒蛇を使用している。
こいつに効くかはわからないが。
ゴブリンは、俺の存在に気付き、
棍棒を振りかざして、
俺に襲いかかって来ようとしたが、
だんだんとその動きはゆっくりになり、
しばらくすると、その場に倒れた。
「毒が効いたのか…?」
もしかするとこの毒はかなり強い毒なのかもしれない。
対魔物には有効だが、対人間だと殺してしまう可能性があるな。俺は、人殺しをしたいわけではない。
対人間に使うのはやめておいた方が良さそうだ。
♢
「まぁこんくらいか」
ゴブリン達を数十匹倒し、商人からもらった短剣で
素材を剥ぎ取った俺はそう呟く。
辺りは、すっかり暗くなっていた。
「これで少し、レベルも上がったか?」
手をかざし、ステータスを表示する
神崎雄平
ステータス
レベル12
潜在スキル ヴェノム
スキル名 ヴェノムファング
ヴェノムシールド
…
耐性: 毒、リザレクション
スキルも幾つか増えたようだ。リザレクションはよくわからんが…牢獄でかなりのダメージを負っていた俺が生きていたことから察するに傷の治りを早くするとかそんな感じか?
まぁいずれわかるか。
とりあえず帰ろう。
♢
「ヒッヒッヒ、よく集めましたねぇ。
ゴブリンの皮は色んなものに使えるんです。
そしてこの血の匂い…ヒッヒッヒ」
相変わらず、不気味なやつだ。
「約束通り、これは全部お前のところで売る。
これで幾らになる」
「そうですねぇ…ゴールド1枚とシルバー8枚と言ったところでしょうか」
「嘘はついてないだろうな」
「ヒッヒッヒ…今度もお世話になるかもしれないお客様にそんなことはしませんよヒッヒッヒ」
怪しいが、確かめようがないので俺は
ゴールドを1枚。シルバーを8枚受け取った。