15話 剣神
ーー魔物を倒し、素材を商人に売った結果、
俺たちは計20ゴールドを手に入れた。
金額から察するに、
かなり、希少な魔物だったらしい。
♢
俺は、部屋でまたスキルチェックをしながら、
身体を休めていた。
それに対し、何やらエルザはチラシのようなものを
熱心に見ている。
「ねぇユウヘイ、貴方、勇者殺しって知ってる?」
「なんだそれは」
勇者殺し…奇妙でいて、
それに物騒な言葉だ。
「最近、勇者が不審な死を遂げていることが
各地で確認されているらしいの」
俺は一人の名を思い浮かべた。
シュウだ。奴ならスキルを奪い、隠蔽に殺したという線もある。
いやそれは流石に考えすぎか…
だが、もしシュウが関わっていたとするなら
あいつはスキルを幾つももった化け物に…
「私、心当たりがあるのよ」
「シュウを知っているのか!?」
思わず大きな声が出る。
「誰よシュウって…。私が心当たりがあるのは
剣神アトランタよ」
シュウじゃないのか。
「そいつはどんな奴だ」
ーー剣神アトランタ。エルザが言うには、元々は、凄腕の剣豪だった人間が、騙し討ちされ、その怨念から魔物に乗り移った者と言われているらしい。名前に神が入っている理由は、その圧倒的すぎる剣術を持っているから故に付いた名前らしい。
俺は、本当にそんな奴が存在するのかと
疑問に思ったが。
「私は勇者を守る為に、
剣神アトランタを探してみるわ」
「そうか、行ってこい」
「!?付いてきてくれないの?」
「だいたい今日で、俺はこの宿から出るつもりだ。
これ以上、お前と関わる義理はない」
「一緒に戦った仲でしょ!?」
一緒に戦った…?
正直あまり役に立った覚えはないが。
「なによその顔!もういいわ!私一人で探すわ!」
♢
俺は、荷物を片付け、宿屋を出る前に、
おっちゃんのところへ向かっていた。
「ありったけの非常食をくれ」
「お、兄ちゃん、長旅でもするのか?」
「あぁ」
金も少し溜まった俺はシュウを探す為に、
片っ端から町を漁ることに決めていた。
それに、この村で長居するには危険だ。
「それより兄ちゃん、最近一緒にいたお嬢ちゃんはどうしたんだい?」
「あいつとは別れた」
「倦怠期か…?かー青春だね」
何を言っているのか。
そう言う関係ではない。
「だが、兄ちゃん、最近勇者殺しが流行ってるらしいから気をつけろよ?」
また、その話か。
噂はかなり広まっているみたいだな。
「あぁ、忠告感謝する」
♢
宿屋へ戻ると、エルザの荷物、姿共に見当たらなかった。
剣神アトランタを探しに行ったのか…。
まぁ俺には関係のないことだ。
俺も宿屋を出ようとすると、テーブルの上に何かがあることに気がつく。
「なんだ?」
そこには、エルザに渡したはずの
10ゴールドがあった。