12話 草原
♢
俺たちは草原にいた。
昨日と同じく、ゴブリンがかなり離れた場所だが、
数匹いる。
「…」
女は唖然としていた。
何やら、女は別のことを考えていたみたいだが…。
俺は、最初から魔物狩りを手伝ってもらおうとしていただけだ。
「じゃあ、さっさと倒して帰るわよ」
女は、持っていた剣を構えながら呪文を詠唱する。
「水神よ…私の力となってあいつらを切り裂きなさい…ウォータースパイラル!」
剣に水属性の竜が出現し、剣にまとわりつき、
魔力を放っている。
「やああああああああ!」
その剣を使って、まだ気付いていない、かなり遠く離れたゴブリンへ向かって斬りかかろうとするが、
俺はそれを制止する。
「待て」
「…何よ?」
俺は、女を止めると、昨日のように蛇を大量に召喚して辺りを巡回させた。
「きゃああああああ」
また女が甲高い声を上げる。
「何してんのよ!」
「偵察だ。昨日俺はここでゴブリン狩りをしていたが、ゴブリンとは違う魔物が潜んでいるかもしらんだろう」
すると、辺りを巡回させていた蛇が何かに噛みつき、それを引きずってでてきた。
「ほら見てみろ」
「こんな魔物もいたのね…」
蛇が引きずって、でてきたのはモグラのような
身体をした魔物だった。
牙をむき出しにして、蛇と争っている。
すると、女が口を開く。
「あの蛇ってどういう仕組みなの?」
「俺の目とリンクさせている」
「…じゃああの蛇が見えるものは、
貴方にも見えてるってこと?」
「そうだ」
すると、何故か沈黙が生まれる。
「あんた何かしてないでしょうね!」
「俺がするわけがないだろう」
「そう…何か悪いわね、疑っちゃって」
「大丈夫だ」
嘘は言っていない。
俺は何もしていないからだ。
蛇はしたかもしらんが。
「それより…あのモグラは一匹ではないぞ」
「え?」
すると、蛇が、何匹ものモグラを連れて、
地面からでてきていた。
「こんなにいるとは…やはり偵察は重要だな」
「まぁ確かにそうね…」
「お前のアホみたいな突撃には笑ってしまう」
「誰がアホよ!」
本当にうるさい奴だ…。
そう考えていると、
先程のモグラ達が一斉に俺達に向かって飛びかかってくる。
「この数じゃ、防ぎきれないわよ!」
「想定済みだ」
「はぁ!?」
その言葉に嘘はなかった。
蛇が噛み付いていたモグラは、
一斉に爆破し、
その場に倒れ込んだからだ。
「何が起こったの…」