11話 休息
「うるさい声を出すな」
「うるさいって何よこれは!」
俺が生み出した蛇を指差して、何やらギャーギャー言っている。
「何って…お前から身を守る為の蛇だが…」
俺は何を言っているのかとばかりに、女に言う。
「別に襲わないわよ!あんた私をなんだと思ってるのよ!」
俺は、しばらく考えた後、
こう答えた。
「敵?」
「誰が敵よ!」
すかさずツッコミが入る。
なんだ、この女。
さっきの宿屋に対する態度といい、
俺に対する態度といい、めんどくさい奴だ。
「俺のルールに従えないなら部屋から出るんだな」
「ぐっ…そう言われると弱いわね…」
「どうする」
「わ、わかったわよ!」
なんとか了承したようだ。
別に俺はどっちでもいいのだが。
「じゃあ寝る。話しかけるなよ」
「誰が話しかけるもんですか!」
舌を出しながら、何やら俺を挑発している。しかし、俺は、無視して布団につく。俺が、反抗してこないのを見て諦めたのか、女も寝る準備に入ったようだ。蛇を召喚し、安心したのか俺もいつのまにか寝ていた。
♢
ん…?
眼が覚めると、目の前にイチゴのパンツがあった。
なんでだ?
あぁ…そうか。
パチン!と指を鳴らすと、蛇が俺の元へ戻ってくる。
「こいつらのせいか…」
実は、俺の召喚した蛇には、スキル アイズを発動させていた。このスキルは、召喚した蛇と俺の目をリンクさせるものだ。
俺の視点と蛇の各視点に瞬時に
切り替えることができる。
この女が何かしないように蛇に見張らせていたのだ。
また、何かあれば、すぐに俺に伝達が来るようになっている。
その蛇が何匹か、あの女の元へ行っていた。
そのうちの一匹が、あの女のスカートの中にでも入ったのだろう。
てか、この歳になってイチゴのパンツって…。
言動といい…パンツといい…ガキかこいつは。
はぁ…とため息をついていると、
女が起きた。
「何かしてないでしょうね!」
「するわけがないだろう」
「ま、あんた用心深そうだし、そんなことするわけないわね」
…俺は何もしてないが。蛇がしていたな。
まぁ、そんなこと言ったら怒るだろうし。
蛇嫌いだしこいつ。
知らぬが仏とはこのことだ。
黙っておこう。
「そういえば、昨日願いを一つ聞くと言ったな」
「言ったけど…」
「じゃあ…聞いてもらおうか…」
「あんたまさか…!!!」
女は、顔を赤らめ、身体をブンブン振っていた。