01話 グリム王国
「なんだここは?」
目が覚めた俺、神崎雄平は辺りを見回す。
巨大な煉瓦造りの壁。そしていかにも高そうな装飾品の数々。どうやらここは城の中らしい。
だが、こんな場所は勿論知らない。
というか、俺のいる日本で、
こんな場所が存在するなんて。
「うう……」
「頭がいてぇ……」
なんだ?声がする方を見ると他にもいる。
「一体なにが……」
ギィィィ
背後の大きな扉がゆっくりと開く。なんだ?
誰か出てきたぞ。
「その件については私が説明しましょう」
煌びやかな装飾を施したその女性は、明らかに位の高さを表していた。
「私はこの国の女王、グリム=アルフォーナと申します」
女王?グリム=アルフォーナ……?明らかに俺がいた日本ではないことが証明され、ますます
不信感が募る。
「貴方達は勇者としてこの国、グリム王国へ転生されました」
転生。聞いたことはあるが……。
まさか本当に?
夢じゃないよな……。
頬をつねってみるが、痛い。
「俺が勇者になれるのか!?」
「勇者に……」
他の二人も驚愕している様子だ。
「ただし……私が勇者にふさわしいと判断したもの、
のみですが」
全員が勇者になれるわけじゃないってことか。
すると、一人の男が口を開く。
「どうやって判断するのですか?」
「私の先祖から代々伝わる魔力を測定する機械があります」
また、同じ男が聞く。
「魔力とは…?」
「それに関しては詳しく説明しましょう。
是非こちらへ」
そう言って俺達3人は広い宴会場に案内された。