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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

殺意

作者: 天地 万世

実際刺されてカッとして書いた。後悔はしていない

 痒みを感じ、ボリボリとそこを掻く。それで目が覚めた


 灯りをつけて見ると、私の上腕辺りがぷっくりと腫れている



 夏の代名詞、安眠の妨げ、怒りと殺意の最たる対象



 蚊だ―――



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 昨今は夜中でも寝苦しいほど暑いため、部屋は締め切って冷房を入れている

 つまり私を痒みによって叩き起こした憎き虫けらは、この部屋の中にいる


 絶対に許さない。ジワジワと嬲り殺しにしてくれる

 お前から見て、私の戦闘力は53万だ



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 さて、ここで各々の命題を確認してみよう


 蚊の目的は、繁殖だ。血を吸った以上はここに留まる理由など無く、

 後は流れのない水辺で卵を産みつけるだけだ


 つまり奴を逃がす事が、そのままイコールで私の敗北という事になる


 私の目的は、抹殺だ。薬を塗りつつ痒みが収まるまでの間は嬲ってくれよう

 私の勝利は、奴の死体を確認して捻り潰す事だ


 冷房を止めて空気を滞らせ、この手に殺虫剤を構える


 さあ、出てこい。パーティーの始まりだ



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 にじり歩き、辺りを見回しながら耳を澄ませる


 今、飛んではいない。あの耳障りな羽音は、していない

 手当たり次第に殺虫剤を撒き散らしても良いが、それでは死体を確認できない

 飛び回っているところを目視した上で噴いて落とす。これが理想形だ


 ここか?それともこっちか?

 シュッ、と少しだけ殺虫剤を撒きながら、嫌がった蚊が飛び立つ羽音を待つ



 プ~~~ン



 途端に腹の底がグツグツと沸き立ち、目が肉食獣のそれと化す



 そ こ か !



 容赦無く、無慈悲に殺虫剤を撒き散らす。一本使い切る勢いだ


 そんな殺虫剤を持った手と私の顔のちょうど真ん中を、一匹の蚊が横切る



 今、私の殺意は、有頂天だ



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 殺虫剤の一本丸々を、ガスが切れるまで使い切ってしまった

 いつしか涼しさを失った部屋の中で汗を滲ませ、奴の死体を探し続ける


 探すこと数分、窓とカーテンの間で、奴は事切れていた


 思えば、これほど私に殺意を覚えさせた蚊は、今までにいなかった

 憎い仇ではあったが、蚊にしては確かに大した奴だった


 人生における我が好敵手の一人として、その死に敬意を捧げよう


 これは送り火だ


 おもむろに煙草を取り出し、咥えて火を着ける



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 殺虫剤に限らず、スプレー缶に充填されているガスは、可燃性である


 ボッ、という音が響き、ガラスというガラスは飛び散り、私は黒焦げになった



2018/12/17

 夜中の地震といい、スプレー缶爆発といい、どうやら私が事故・災害について書くと

北海道でそれが起きてしまうみたいです。なお次回作は『原子炉大爆発』の模様

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