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End of the Sin  作者: 桐谷 迅
鬼の罪
1/6

零、誓いの日

やっぱり、あの夏の日に見た夜空ほど綺麗な空は見たことがない。

 

「また…会える…よね?」

「…うん、絶対だ。大きくなっても…好きだったらいいな」

「…そうだね。あ、そろそろ始まるよ?お星様にお願いしようか」

溢れる涙を拭い、悲しみを堪える。

それでも溢れてくる涙と悲しみを見せないようにと空を見上げ、紛らわす。

周りに強い光を出す建物が無ければ、高層ビルなんてものはありゃしない。

ましてや、ここは屋敷から近い高原。無数の星々と月は綺麗に輝いている。

これから始まるものを見るために、今よりも少し高いところに移動する。

夢のような風景にいつまでも溺れているように思えた。

ゆっくりと座り、五秒という長い沈黙の時間を経て、二人は誓いを立てる。

――また会ったときも、仲良しでいようね

 無邪気な子供たちの誓いはいつまで経っても残る。

言い伝えによれば、星降る夜に立てた誓いは、どんな形であれ、必ず果たされるそうだ。

 込み上げてくる感情を抑えきれずに、涙が零れて、消えていった。

離れ離れになる哀しさのほかにも、ずっと一緒にいたいとか、忘れたくないとかいう感情も生まれてくる。

そして、首にかけていた私物のペンダントを外し、二つに割った。

太陽の絵が描かれたほうのペンダントはあげて、月の絵が描かれたほうは自分が持った。

「これは僕の父親から貰ったんだ。

このペンダントは二人で使うものらしくて、不思議な力があるんだって。

約束が叶うようなおまじないがかかっているんだ」

「また、会ったときにはこの二つを重ねて、ってことね。

うん、ありがとう。大きくなったらこのペンダントを返しに行くよ。約束だからね?」

「楽しみにしているよ」

いつの間にか涙は消えて、笑顔だけが残った。

「今までの夏のことは忘れない」

「うん、私も」

――星降る夜に、またこうしてお話しようね。

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