宿主さん
「親父ー!いるかー!」
「……なんだ何だ、グランさんよぉ、今日も客が来てないから休みだせ。
って誰だその後ろにいるやつ。」
そう言いながら出てきた、髪もヒゲも凄いことになっていて、目付きがとても悪い人が僕を見てきた。
「あぁ、そいつは客だ。
あっ、そうだ、お前お金は持ってるか?銀貨1枚だ。」
「え?持ってないよ。」
そう、僕はこの世界に飛ばされてすぐなので、日本のお金はリュックの中にある財布に入ってる。が、当たり前だけどこの世界のお金なんて1銭もない。
どうしようか、やばいな…このままじゃ外で野宿か?全くもって野宿の道具なんてないけど…
僕が悶々としていると宿主さんが話しかけてきた。
「明日から返済のために働いてくれるならいいぞ。」
それは願ってもないことだった。今日は色々とあって肉体的にも精神的にも疲れているので早く休みたかったし、仕事は何をするか分からないけど、多分野宿よりもマシだと思うからだ。
「ありがとうございます!明日から頑張ります!…あのところでご飯はありますか?お腹が空いていて…」
しかし、一つだけ問題があった。それは、今とても空腹だという事だ。昼から何も食べてないので、とてもお腹がすいているのだ。野宿しないで寝ることが出来るのはとても嬉しいけど、この空腹が収まらないと眠れる気がしなかった。
「夕食はここで食べれるぞ。あぁ、ご飯は別料金だが、それも付ツケとくからな。時間は日が沈んでからすぐだ。
…ほら、鍵だ。部屋はそこの階段を上ってすぐのところだからな。」
そう言って奥へとはいっていく宿主さんにもう一度心の中で感謝し、2階の部屋へ向かった。