村の中 1
初めての馬に乗るという体験はとても怖かった。
初めてだからかもしれないが、周りの風景を見る余裕なんてまったく無かった。
村に着くまでの数十分はずっと目を瞑り、降りた時にはすぐに地面に座り込みとてもぐったりしてしまった。
グランさんは心配して声をかけてきたが「大丈夫、大丈夫。」と、返して村の方へ歩いていった。
グランは、まだ心配そうにしてしていだか、村の門に近づくと門番?の所まで走っていき、何かを話して帰ってきた。
ぼくのことを話してくれたのかな?向こうから見たら怪しい格好をしてるし、もしかしたら捕まったかもしれないな。グランさんに感謝しないと。
「よし!行くぞ!」
「りょーかい。そういや、門番?と話していた時間が少し長かった気がしたんだが、何話してたんだ?」
「あ、あぁ世間話だよ、世間話。お前には関係ないことだ。それじゃぁ宿に行くぞ!」
少し戸惑ってた気がするけど、最後の勢いのまま連れていかれた。
僕は〈穴熊亭〉という宿の前に来た。どうやらこの村には宿がここしかないそうだ。
そこはここに来るまでに見た家の中でもかなりの大きさだった。
しかしもう夕方近くになってるのに料理の匂いが一切せず、人もあまり入っている感じがしなかった。
「あの、グランさん?ここあまり人がいるようには見えないんだが……料理の匂いもしないし…本当にここであってる?」
「あぁ!あってるぜ!この村はあまり旅人が来ないし、村の人もほぼ毎日家で食べてるからな!だからそこまで人がいないんだよ!」
なるほど、だから人がいないのか。でもなんで旅人はこないんだろ?なにか理由があるのかな?ここが街から遠いとか?
そんなことを考えてる内にグランさんは〈穴熊亭〉の扉に手をかけていた
「じゃあはいるぞ!」
そう言ってグランさんは扉を開けた。
カランカラン
次は明日の23:00に投稿します