恩人と恩人の村へ
その男の人はこちらの安全が分かったのか、僕とゴブリンの間に入りゴブリンに向かって腰にあった剣を構えた。
そして、顔だけ振り返り安心させるような顔をしていた。
「もう大丈夫だ、安心しろ。」
そう言ってまだ、ゴブリンに向き直った。
男は片手をゴブリンに向け小さな声で、何かをつぶやくとその手から拳程の火の玉が勢いよく出てきた。
ゴブリンは避けようとしたが、火の玉の方が早く当たってしまった。そして、一瞬にして燃え上がり火だるまになってしまった。
「ぐぎゃぁぁぁああ!!」
暫くゴブリンは叫び声を上げていたが、いつの間にか聞こえなくなりゴブリンがいた場所には黒焦げの死体が転がっていた。
その様子に僕が呆然としていると男の人が僕に話しかけてきた。
「大丈夫だったか?」
「……」
「おい!大丈夫かぁ!?」
「あ、はい!大丈夫です!」
「ほう、それは良かった。……あ、そうだ名前を名乗ってなかったな、俺の名前はグラン、冒険者ランクBのグランだ。こんな姿だが魔法使いだ。よろしくな!
所でおまえの名前は?」
そう言って挨拶してきたおじさ…グランさんは握手を求めてきた。差し出された手は、程よく日焼けしており、また、とても引き締まった筋肉をしていた。体も手と同じような色と筋肉のつき方をしていた。服装は自称[魔法使い]と、言っていたが日本や世界中で大人気の某映画の魔法使いのような格好とは正反対の格好で、とても魔法が使えそうにないような、歴戦の戦士の様だった。
ぼくは、グランさんと、握手をしながら今までのことを考えてた。
この草原に来てから色んな不思議なことがあった。ゴブリンが出てきたり、魔法があったり………
今まで考えようとしなかったけどここは日本というか地球ではないんだろう。クラスで寝てた時に何が起こったかは知らないけど多分異世界召喚されたのかな?
まぁ、ラノベを読んでる時に異世界行きたいなぁとか思ったとこあるけど、本当に起こるなんて……でもさ!召喚するならするで、僕が起きてる時にして欲しかったよ!魔法陣みてみたかったのに!あと、普通はお城とかに召喚さr「おい!」
「は、はい!なんですか?」
そういやグランさんと、会話中だったな
「聞いてなかったのかよ……おまえの名前は?って聞いたんだ。」
あ、そう言えばそうだったな。
ラノベとかでも良くあるけど、日本人の名前をだしたら変な名前だなって聞きなれない名前だなって言われていたはずだ。
…でも、偽名を考えるのめんどくさいし、そのままでいいか。
「僕の名前は山本恵太です。山本が姓で、恵太が名です、恵太と呼んでください。これからよろしくお願いします。あと、先程はお助け頂きありがとうございます。」
「お、おう、よろしくなケータ。(これは優良物件かもな)
敬語はなしでいいぞ、堅苦しいのは苦手だし。
ところでこれからどうするんだ?」
グランさんが途中で何か言っていたと思ったけど、気のせいかな?
それよりもこれからどうしようか、近くの村か、街でも教えてもらおうかな?あと、魔法のことやこの世界のことについてでも、教えてもらおう。
「じゃあ敬語は無しで話すよ。えっとね、これから近くの村か、街へ行こうと思ってたけど少し迷子になったから、どこか知らない?」
さすがに別世界から来たとか言っても笑われるだろうから迷子になったことにしておこう。
「そうか!じゃあ近くに俺が住んでいる村があるからそこに行こうか!(良し、久しぶりに獲物が来た!)そういえば馬に乗ることが出来るか?近く俺の馬がいるからそれに乗ってもらおうと思ったんだが」
また、途中でブツブツ言ってるな。よく聞こえなかったけど物騒なこと言ってた気がするし……でも、村には行きたいからせいぜい警戒をしっかりして怠らないようにしておこう。
「村までつれてってくれるなんてありがとう。
馬は、後ろでグランさんに捕まっててもいいのなら多分大丈夫。」
その返事をきいて気を良くしたのか上機嫌で馬を連れてきた。
そして僕とグランさんで、馬に乗りグランさんの住む村に向かった。