ゴブリン戦と初めての人との出会い
それにしてもこのゴブリン、見た目はRPGの時とほとんど変わんないけど、身に纏う雰囲気は全く違うな。ゲームとは全く違う。
そんな現実逃避に似たことをしてたらゴブリンが襲いかかってきた!
ゴブリンは右手に持っていた棍棒を振るいあげそれで殴ってきた!
(やばいやばい!!?当たったらやばい!!)
間一髪、とっさの判断で左にころがりながらかわし、すぐに立つ。座ったままだと追撃されそうだったからだ。
「ギャギャ!!」
ゴブリンはかわされたことに苛立ったのか怒り狂ってまたも殴りに来た。
それを躱しながら考える
(なんでゴブリン!?ってかその事考えるよりもこの状況をどうにかしなきゃ!今のとこはかわせてるけど、今後は分かんない。だから、逃げるか、倒すだけだけど、倒すはまず論外、武器なんてないし、それよりもさっきまで学生だった俺があんな生き物なんて倒せるわけが無い。だから、逃げの一手だな。)
それからしばらく躱しながらどうやって逃げるかを考えていたが、いい案が浮かばないまま一、二分程たった。
しかし、もう体力の限界を迎えたのか足がガクガクになり、立ってるのすらままならないようになった。
ゴブリンも、肩で息をしながらキツそうにしていたが俺よりは体力があったのかまだ動けそうだった。
そして、今まで何度も繰り返している振り下ろしをした。
俺は足の力が無くなり後ろに倒れてしまったがそれがよかった。
ゴブリンの攻撃が股の間に落ちてきたからだ。
(もし、あのまま立ってたら直撃したな…)
その事に俺は安堵したが、もう動けそうに無かった。
ゴブリンはその事が分かったのかこっちを見ながらニヤニヤして近づいてきた。
(もう、次の攻撃は躱せそうにないな…なんかよく分からずここにいてすぐに死ぬのかぁ、なんでこんななとこにいたのかな?夢だったらいいな……)
そんなこと考えているうちにゴブリンは目の前に来ており、少しでも絶望して死ねと思ってるかのようにゆっくりと棍棒を持ち上げていった。
(あぁ、さようなら……悪い夢なら覚めますように……)
棍棒が振り下ろされるのが分かったので目を瞑り覚悟したが、いくら待っても振り下ろされることは無かった。
(何で?)と、思い、おそるおそる目を開けゴブリンを見てみると驚愕すべきことが起こっていた!
ゴブリンの棍棒を持っている腕に矢のようなものが刺さっており、下に棍棒が落ちていた。
「ギャ!?」
ゴブリンにとっても予想外だったのかゴブリンも、驚愕したような顔をしていた。
(一体誰が……?)
その疑問に対する答えは遠くから聞こえてくる声によって解消された。
「おーーーい!!大丈夫かぁぁ!」
そう言いながら馬に乗ってきたのは、見た目からして三、四十歳ほどで、体格はとてもごつくて、太陽の光が当たると反射しそうな頭を持った男の人だった。