第6話 あばかれた秘密
「君は未来から来たのか?」
その一言に俺は凍りついた。
未来から来たことは俺の外交の切り札
だったのだ。
なぜ、向こうにばれてしまったのか。
俺は冷静な思考力を失っていく。
「君の所持品を見せてもらったよ。」
プルチョフ大臣は、副官から
"あるもの"を受け取った。
間違いない。
俺のハンドバッグだ。
大臣は俺のハンドバッグをひっくり返す。
スマホ、財布、学生証、手帳、筆記用具…
カバンの中身が机の上に広がる。
残念ながら「帝国海軍全作戦記録」は
なかったが。
その中のひとつ、学生証を大臣が
拾い上げる。
「"2017年"これが西暦だとすれば、
君は80年先の世界にいたことになる。
この"黒い小さな箱"や手帳の日付も
それを証明している。
どうなんだね?客人。」
俺は回答に詰まった。
素直に真実を話すべきなのか?
それともうまくごまかすべきか?
ごまかしたら、どこから来たのか聞かれるだろう。
日本と答えたら、70年前の
日本で空身で生活することになる。
もし、未来から来たと正直に説明したら?
あるいは…
俺はそこまで考えて、そして
言葉をひねり出す。
「はい。未来から来ました。
乗っていた船が遭難して、気がついたら
スヴェントヴィトに救助されていました。」
大臣はそれを聞いて頷いた。
「なるほど。話はわかった。
それで、帰るあてはあるのかね?」
「いえ、ありません。」
即答だった。
これに関しては他の選択肢はない。
すると大臣は姿勢を変えてこう言った。
「ならば、スヴェントヴィトに乗るか?」
俺は心の中で静かにガッツポーズをつくった。




