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暁の海の女神  作者: 呉提督
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第4話 ようこそ、バギーニャ王国へ!

スヴェントヴィトの士官室で

ゴロゴロすること3日。

艦隊はバギーニャ王国の首都ペトロパブロフスクに

到着した。


この3日間で新たにわかったことを

ふたつ報告したい。

ひとつ、この国の海軍は女性しかいない。

正しく言えば、艦隊勤務をしているのは

女性しかいない。


理由は、この国の人々が大切にする

スラブ神話にある。

俺は神話とか宗教には全然興味がない。

なので、詳しいことはわからないのだが、

おおざっぱに説明すると、

スラブ神話には、モーコシと呼ばれる海の女神がいた。

(ていうか、今でもいると信じられている。)

モーコシは天候を司り、人間に

海の恵みをもたらしていた。


だが、ある日、海賊たちがある船を襲い、

その船に乗っていた女子供を含む全員を

虐殺し、金品を奪った。

その様子を見て激怒したモーコシは

大嵐を起こし、海賊船をすべて

沈めてしまったという。


そこから

「男が軍艦に乗るとモーコシの怒りが降り注ぐ」

という伝説がつくられ、バギーニャ海軍の

艦隊乗組員は全員女性になったということだ。


"艦隊乗組員"と限定したのは、

海軍省には男性もいるらしく、現海軍大臣も

男なんだそうだ。


そこでふと疑問に思ったのは、

「女性だけの海軍で他国の海軍に対抗できるのか。」

ということである。

当然他国の海軍は全員屈強な男だ。

ひ弱な女性で戦えるのか?

最初はそう思った。


だが、そこは世界第5位の海軍。

それは自分の偏見だとすぐに思い知らされた。

俺の食事を配膳してくれた30代くらいの

ポーランド人女性兵士に腕相撲を挑まれたのだ。


結果はもちろん、俺の完敗。

学生時代、俺のクラスで一番強かった男子より

余裕で強い。

鍛え方は他国の海軍にまったくひけをとらない。



元々このバギーニャ王国は

女性の社会進出が世界一進んだ国と言われており、

女性の国会議員も多いらしい。


では、男はまったく海に出ないのかと

いうと、そうではなく、

商船やタンカー、漁船など、軍籍ではない船は

普通に男が乗り組む。

ただし、軍籍に入っている船なら

たとえ軍艦ではない駆逐艦や海防艦、

水雷艇でも女性only。

なんだかすごくややこしい。


それともうひとつ。

俺の私物全滅のお知らせ。

スマホ、財布はもちろん、俺が命の次に

大事にしていた「帝国海軍全作戦記録」も

どこにも見当たらない。

あれ高かったんだぞ!

諭吉さんが家出する値段だったのに!


そんなこんなで、艦隊は無事ペトロパブロフスクに

入港した。


俺は世話係に連れられ、

艦隊司令部と共に内火艇に乗せられた。

スヴェントヴィトの乗組員が

ずらりと最上甲板に並び、軍楽隊が

バギーニャの国歌だろうか、行進曲だろうか、聞きなれない

音楽を演奏する。


風花以下艦隊司令部も

丁寧な敬礼で返礼し、内火艇は

スヴェントヴィトを離れた。

このあたりは帝国海軍とほとんど変わらない。



俺の世界におけるカムチャッカ半島は

熊と火山のイメージしかない。

内火艇は5分足らずで接岸し、

俺は未知の世界に第一歩を踏み出した。


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