第3話 戦艦スヴェントヴィト
戦艦スヴェントヴィト
常備排水量48400トン
満載排水量52000トン
全長:253m
水線部幅:33,5m
機関出力:192500hp
最大速力:29,3ノット
主兵装
45口径"40"cm連装砲 4基8門
60口径15,5cm三連装砲 2基6門
40口径12,7cm連装高角砲 両舷12基24門
ボフォース40mm四連装機関砲 両舷18基
ここまでの話をおさらいしておこう。
北海道旅行に出掛けた俺はフェリー火災に
遭遇し、子供を助けようとして海に引きずりこまれ、
気がつくと軍艦の上にいた!
某体が小学生になった探偵アニメレベルの驚きだ!
しかもその戦艦スヴェントヴィトとかいう
歴史上存在しないはずのやつは、
バギーニャ王国という枢軸国を最強チート国家にする
王国の所属だった!
これから先、俺はどうすればいいのだろうか…
「なるほど。なんとなく理解はしたよ。」
風花から説明を受けること小一時間。
なんとか状況を把握できた。
てか、冷静に考えたら俺女の子と密室で
ふたりっきりだったやん!
なにやってんだ俺のバカ!
ゴホン、で風花の話の続きだと、
今は西暦1939年の10月。欧州で第二次世界大戦が
開戦してから1ヶ月。
バギーニャ王国は無尽蔵の資源をとある国に
売り込んでいた。
そう、地理的、文化的に最も密接な国、
大日本帝国。
鉱産資源がまったくないと言っても過言ではない
大日本帝国にとって、バギーニャからの
鉱産資源はまさに生命線だった。
また、新興国のバギーニャも、大日本帝国が
つくる高性能軍艦は喉から手が出るほどほしい
ものであり、ここに利害が一致した。
バギーニャは日本に石油を輸出する。
日本はこれを買う。
バギーニャは日本に買ってもらったお金で日本に
軍艦を発注し、日本は軍艦を売る。
こうすることでバギーニャの石油と日本の
軍艦が交換されるわけだ。
白露型や利根型が隣にいたのもそれなら
説明がつく。
軍艦の建造は大日本帝国にとっても
大きな利益になるのは言うまでもない。
軍艦をつくるには腕のいい工員が必要で、
その技術は伝承を必要とする。
だが、大日本帝国はもちろん、列強は1921年の
ワシントン海軍軍縮条約で軍艦の保有数、
建造を制限されてしまっている。
だから各国は軍艦の建造技術を残すのに
かなり苦労していたようだ。
だが、ワシントン軍縮条約では
他国に輸出する軍艦までは制限されていない。
つまり、日本だけが輸出用と称して
最新技術を研究、継承しながら軍艦を
建造でき、バギーニャ王国は
日本の軍艦をタダ同然で入手できる。
こんなにwin-winな関係はないだろう。
で、このスヴェントヴィトも日本から
輸入した戦艦で、今は日本から
バギーニャに向かっているところらしい。
その途中で俺は発見され、救助されたそうだ。
運がいいというか、悪運が強いというか…
「もしよければ、艦内を案内しますか?」
「え?機密なんじゃありませんか?」
彼女の口から驚きの言葉が飛び出した。
軍艦といえばその国の最高機密だ。
部外者を歩きまわらせていいのだろうか?
「大丈夫ですよ。みたところスパイでは
なさそうですし。」
彼女はそう言うと、俺を部屋の外に
連れ出した。
後でわかったことだが、俺がいた部屋は
右舷中央部の長官私室、つまり、
風花の部屋だった。
俺は女の子のベッドで寝てたことになる…
状況が状況だけに素直に喜べないのが残念だ…
長官私室を出て最上甲板へと登る。
日本海軍の12,7cm連装高角砲が6基、
天を睨んでいるのがわかる。
艦橋を見上げると、確かに日本戦艦特有の
仏塔型になっている。
第一主砲から艦首までが長く、
形状は大和型に酷似しているが、
両舷に副砲がない。
そのかわり、スウェーデンが開発した
ボフォース40mmと思わしき機関砲が
ずらりとならんでいる。
波が艦舷にあたって大きな水しぶきを
あげているが、揺れはほとんど感じない。
この船がどれだけ巨大なのかを
実感できた。
「少し寒くなってきましたね。
戻りましょうか。」
軍艦マニアの俺としてはもう少し
見たかったが、客人という立場上、
無理は言えない。
俺はバギーニャに着くまでの間、
士官寝室で過ごすことになった。




