1話 世界の秘密
目を開くとそこは草原だった。
ここはどこだ?
辺りを見るが見覚えがない。
もしかしたら夢を見ているのかもしれない。
そう思い頬をつねってみた。
「いてっ!」
痛かった。
このままここに居てもしょうがないと思い立ち上がり深呼吸してみた。
「スー ハー 」
「スーー ハーー」
以外と落ち着くんだな。そう思った。
そしてもう一度辺りを見た。
辺り一面草だ。草しかない。
だんだん不安になってきた。
「よし!とりあえず誰かを探そう。」
誰に言うわけでもなく言った。
ここがどこか知ってる人がいるはずだ!
人には会えなくても街ぐらいあるはずだ!
そう思いながらゲームに出てきそうな街と人を想像した。
すると···
目の前に想像した通りの街と女の子が現れた。
目の前で起きた現象が理解できずに
ポカン···としてると女の子が話しかけてきた。
「初めてまして!私は···誰ですか?」
「知らねーよ!!」
数秒の間のあと思わず叫んでしまった。
「じゃあ名前を下さい!」
「え···今なんて言った?」
言っている意味がよくわからず聞き返した。
「だーかーらー名前を下さい!」
「何でだよ!親に貰った名前だぞ!なんで忘れるんだよ!」
つい怒鳴ってしまった。でもこの判断は間違ってなかったと思う。
俺にとって親は神と等しい存在だ。
そんな親を忘れるなんてありえない!
そう思っていると
「私、親が誰なのか分からないんです。自分のこともなにも。」
「え···それほんとか」
半分位信じて聞いてみた。
「うそです!」
彼女は満面の笑みで言った。
「あのなぁ」
俺が怒ろうとしたそのとき
「私にとっての親はあなたです!」
当たり前のように彼女は言った。
頭がついていけない。
「···はい?」
またまた言っている意味が分からず聞き返した。
「だーかーらー私の親はあなた!あなたなんです!」
意味が分からない。
もしかしたら頭がおかしいのかもしれない。
「あの···頭大丈夫ですか?」
「失礼ですね!私はいつも大丈夫です!」
頬を膨らませながら言った。
「ちょっと、いや、だいぶ意味が分からないんだが、なんでお前の親が俺なんだ?」
話を理解するために聞いてみた。
「この世界はあなたの心の中なんです!あなたが私を作ったからあなたが私の親です!」
さらに意味が分からなくなってしまった。
やはり彼女の頭はおかしいのか?
改めて聞いてみる。
「本当に頭、大丈夫か?」
「大丈夫ですよ!何回言わせるんですか!」
さっきよりも怒ったように彼女は答えた。
「ごめん。」
頭は多分大丈夫だろう。彼女を信じた。
この世界についてもっと聞いてみることにした。
「話を戻すぞ。一体どういうことだ」
「何がですか?」
彼女は首をかしげて言った。
「この世界のことだ。」
「この世界はさっきも言った通りあなたの心の中です。」
「どうすれば出れるんだ?」
「それは分かりません!ここで過ごしていればいつか分かるんじゃないですか?」
彼女が分からないんじゃしょうがない。
お礼を言いつつもうひとつ気になっていたことを聞いた。
「そうか。じゃあ俺がお前の親っていうのは?」
「ここではあなたが想像したことが本当になるみたいです!」
すごいことをいきなり教えられ戸惑っていると
「何か想像してみればいいんじゃないですか?そうすれば理解出来ると思いますよ!」
確かにそうだ。
もう一度何か想像してみよう。
俺は剣を想像した。
想像した。
想像した。
しかし何も出てこない。
「おい、何も出てこないんだが···?」
さっきみたいにウソをついたのでは?と思い、疑いの気持ちを込めて聞いた。
「本気で欲しいと思わないと出ないのかも知れないですね!」
彼女の助言を受けてもう一度本気で欲しいとおもいながら想像した。
すると···
目の前に黒い剣が降ってきた。
あと数センチずれていたら体に突き刺さっていた。
俺はいきなりの出来事に腰を抜かした。
「どうしたんですか?にしても随分と物騒な物を想像しましたね!」
「お、おう。武器は必要だからな。」
腰を抜かしたまま答えた。