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優しさの裏にあるものは

 病院についた私たちはまず総合受付でB棟のありかを聞いた。入院用の棟になっているため最初に入った建物から少し離れていることをそこで初めて知った。皆大きな病院に来るのが初めてなのもあって若干挙動不審になっていたが、香織がインターネットより病院の地図を拾ってきたので無事迷子にならずB棟までたどり着くことができた。香織が現代っ子なおかげでホント助かる。

 B棟に入ってすぐに受付があったので再度かよちゃんについて尋ねてみたが面会できないという残念な事実が発覚した。仕方ないので付き添いの家族の方を呼んでもらうことにした。数分受付横のベンチで待っているとかよちゃんのお母さんであろう人物がいそいそと私たちの前に姿を現した。


「かよの母です。学校のお友達かしら?」


「はい。かよさんのクラスメートです。面会できないと聞いたのですが、具合結構悪いんですか?」


 少しあわてた感じで両手を前にだし違うの違うのと否定するかよちゃんのお母さんは、まさにかよちゃんそのものだった。


「お医者さんがね、今日ぐらいはゆっくり休んだ方がいいってね。実際は急性胃潰瘍だとかなんとか言ってたけど、私その辺よくわからなくてね」


 心配していたより症状が軽いことが分かったので私たちは日を改めてお見舞いに来ることにした。


「これかよちゃんが学校に忘れていたので」


 私はかよちゃんのスマートフォンを渡し他の四人とバス停の方へ向かった。


「結構血を吐いてたけど、大丈夫でよかったね」


「そうだよね!量が多くて逆に現実味なかったよ!」


 私たちは目の前で起こったはずの事件がテレビドラマでのワンシーンだったかのように笑いながら話していた。なんだかとても不思議な感じだった。不思議といえばかよちゃんも体重を預けていたはず。関係ないとは思うけど、一応かよちゃんにメールしてみることにした。


「かよちゃん!大丈夫なの?スマートフォン学校に忘れていたのでお母さんに渡しておいたよ~!もう届いたかな?

 そういや、かよちゃんも体重預けていたんだね。私も最近始めたけど、あれ便利だよね~!

 お大事にね!早く学校復帰してね!」


 無難にこんなメールでいいだろう。


「真面目な顔してどうしたの」


 私はどうも集中していることが顔に出やすいみたいだ。


「かよちゃんに励ましメール打ってただけだよ」


 私は送信ボタンを押し画面をオフにした。


「ふーん」


 香織はいつの間にかチュッパチャプスを口に含んでいた。


「食べる?」


 ポケットから一本取り出し渡してくれた。例えこれを食べたせいで太ったとしても、お金がある限りは痩せられる。そういう考えが頭のどこかにあったのだろう。普段なら食べないのにのありがたくいただくことにした。口の中に甘い香りが広がった。甘いものって幸せだな。


「鳴ってるよ」


 香織からの指摘でメールを受信していることに気が付いた。見てみるとなんとかよちゃんからだった。


「どうして知ってるの?」


 私は画面を見てしまったことを素直に返信した。しばらくすると「夜に電話していい?」と来たので「いいよ」と返した。怒られちゃうかな。画面を見たことを少し後悔しつつ、その内容についての興味を捨てれない私もいた。


「穂乃香もいくよね?」


 かよちゃんとメールのやりとりをしている間にいつのまにかカラオケに行くことになっていた。特に用事も無かったので私はOKした。ほどなくしてバスが来たので、私たちは繁華街の方へと向かった。

カラオケ最近行ってないなぁ……。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

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