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自作自演  作者: かえで


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ミドリとサトル

 ミドリには気になることがあった。

 彼女の子分のノリオが、彼女のもとに姿を見せなくなったことだ。

 一体、ノリオに何があったのか。

 最後にコウに暴行を加えさせたあと、彼女はノリオをその場に置いて行った。その後、ノリオはすぐに彼女を追いかけてきたはずだった。ところが、それ以降彼女はノリオを見ていない。

 寂しいとは思わなかった。悲しいとも思わなかった。

 彼女にとって、ノリオは手下でしかなかった。自分に不都合になれば、いつでも切れる存在。トカゲの尻尾。

 最初の数週は、便利な手下がいなくなった、と思うだけだった。

 確かに、ノリオは便利だった。

 ノリオは、なぜか未幸と相性がよかったからだ。

 ミドリは、ノリオを介し、未幸に様々なことを頼み、様々な物を得た。悪さをし、スリルを求めることもあった。

 ミドリは狡猾だった。恐喝のような、明らかに犯人がわかってしまう犯罪の類は、ノリオにはさせなかった。本人が黙ってさえいれば、犯人がわからない類の、万引きなどの悪事だけをさせた。たまに、大きな金が欲しいときは、売春の斡旋などもしたが、それは、女性用のつけ毛、ウイッグをつけたり、化粧を濃くしたり、二重を一重にしてみたり、という変装をして、正体がわからないようにして行なっていた。

 ミドリにとって幸運だったのは、ノリオが、誰にも気づかれずに悪事を働くことができたことだ。未幸の母はもちろん、未幸にすら。そして、ノリオが、腕っ節が強く、喧嘩っ早いだけの男だということも、彼女に味方した。

 もし、ノリオの思考レベルが高かったならば、彼を操ることはむずかしいだろう。ただ単純に褒美をやれば喜ぶ男だからこそ、容易に操り使うことができた。

 そのノリオが姿を消した。それは、通常ではありえないことだったのだ。

 最初、ミドリはノリオを探した。それはもちろん、彼女自身のためだ。

 彼女が、未幸と相性がよければ、何の問題もない。だが、そうでない以上、彼女は自分の望むことを未幸にさせるために、ノリオが必要だった。

 だが、ノリオは見つからない。

 他に未幸と相性がよいのは、コウとサトルだった。

 ミドリはサトルと連絡をとった。かつてノリオがこなしていた役をサトルにさせるため。

 一つの約束のもと、サトルは快諾した。

 そして、ミドリとサトルのコンビが誕生する。

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