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第四話「BEAR攻略戦ー2」

ふふふふっ…あははははそふっ…ソフト馬鹿っ…あれ絶対しんだよね…しんっあはははははっ…」

レイノアが身をくねらせて大笑いしているのを横目で見ながら俺は冷静に言う。

「これからやろうとしている作戦は間違いなくソフトは死ぬだろうからな。扉が閉まらないふりをして退場してもらった」

「だからって敵地へ放り出すって…クレイスはもう…ふふふふ…」

「レイノア、気を抜くなよ…」

「だ…駄目…あははは!ソフトのあの顔を思い出したら…笑いが…!お腹がっ…」

「はぁ…」クレイスはため息を軽くつくと、リボルバーのリロードを開始した。

「ところでクレイス…階のボタン押してないけど…?」

「あぁ。このビルは高いからな。一階で揉め事が起きた場合、エレベーターで一階まで来るやつはいるだろう?」

「うん。階段じゃ間に合わないね」

「そこでだ。エレベーターの性質上、下行きのボタンを押した場合、高い階に優先で止まるだろう?」

「社長室への距離も稼ぎつつ…」

「最も上の戦力を削ぎ落とす。更にエレベーターを使えなくさせ、階段に爆弾でも置いておけば…」

「あれ?ソフトも巻き込まない?」

確かにソフトは今階下にいるが…

「あいつなら多分最上階までビルの壁をよじ登っていくだろうからな…」

「なら平気だね!」

それで安心するレイノアも凄い。

その時、エレベーターが止まった。

「レイノア、隠れろ!」

階は38階を指していた。

扉が開くと同時に銃弾が降り注ぐ。

ただならぬ殺気を感じたのだ。

しかも数も多い。

クレイスは必死で一つ上の階のボタンを押した。扉が閉まる瞬間に2、3発牽制で扉の外に撃ち込む。

「クレイス…どうするの…?」

レイノアが機関銃【アサルト】の影に隠れるように身を隠しながら心配そうにクレイスを見上げていた。

「状況が悪いな…これを見る限り敵はかなり上等な装備を使ってる。」

クレイスは落ちている弾を拾い上げてレイノアに見せた。

「これ…対人用のAP弾だよ…」

レイノアは多少怯えているようだった。

クレイスは嫌な予感がした。

…このタイプは特に値段が高くなるはずだ。それを惜しげもなく連射で撃ちまくるとは…

…まさか…な…。

エレベーターの扉が開く。

「…!クレイスっ!」

開いた瞬間にまた銃弾の嵐。

クレイスは身を呈してレイノアを庇う。

跳弾がクレイスのコートを叩き、貫通はしないまでも確実にダメージを与える。

「ぐっ…」「クレイスうっ!」

…気配は3つか。今のうちに!

「うおぉ!!」

クレイスはエレベーターから飛び出すと、双銃を正眼に構え乱射する。

三人の相手の頭を黒い銃弾が撃ちぬく。

金属質な音がしたが、三人は地面に倒れて動かなくなった。…なんとか倒すことが出来たらしい。

「クレイス…足が…」

確かにコートである程度弾いたものの、跳弾でさえ驚異のAP弾を全て弾くのは無理だったらしい。コートの隙間から右のふくらはぎに一発受けてしまっていた。

「弾は出てる。大丈夫だ。」

「私のせい…」「レイノア…お前の金属製の胸当ては俺のよりも防御は高いが、ああいった狙いの分からない跳弾で来られれば腕や足を怪我しかねないだろう」

「でも…!」

「…一旦隠れられる場所へ行こう。」

クレイスはレイノアの手を引いて足を引きずりながら走り出した。そのまま近くの男性トイレに駆け込む。

「悪いな…流石に女性用には入れん」

「大丈夫だよ。それより、足は…」

レイノアは武器ケースから包帯を取り出した。慣れた手つきで手当てを始める。

「うん、銃弾はかすっただけみたいだね。ちょっと出血してるけど、ちょっとだから…クレイス…平気?」

レイノアは泣きそうな顔でこちらを見上げている。

「…お前はこんな時に限って人を励ますのが下手だな。いっそ帰ってやろうか?」

「だ…駄目だよう!ソフトが困っちゃうよ…!で、でも…」レイノアがあたふたするのが少し微笑ましくてクレイスはレイノアの頭をポンと軽く叩いた。

「ふっ…今のは少しからかっただけだ。この程度で俺は倒れない。御礼はしっかりしてもらおう…と言いたいところだが…」

さっきの嫌な予感が的中していてクレイスは考えを巡らせた。

「さっきの三人…帝国兵だったね」

「ああ。どうしたものか…」

グロヴァーム帝国軍とは今や世界に散った殺し屋の処分組織の様なものであり、

彼らは常に最新鋭の装備を持ち、

特殊な訓練を受けている厄介な敵だ。

さっきのAP弾も、はっきり言うと殺傷能力を最大限に引き出した改造弾だ。

跳弾さえまっすぐ飛ぶよう重心を流動させる弾なんて、相当高い代物だ。

「この前帝国に攻め込んだ時、これはスナイパーに使われていたはずだよな…?」

「うん、『流石に通常弾で使われたら大変なことになりそうだね』って…」

「そして『そうなる前に潰せばいいだけのことさ』と話をしたよな…」

それがこの状況である。

「レイノア…今からでも遅くない、お前も強化繊維のコートに…」

「やだよ!そんな黒いだけでセンスもへったくれもない服…」

「ぐはっ!…だが装備は性能だ!お前を危険な目に合わせる訳には…!」

「じゃあクレイス。どんな銃弾でも弾くパンツがあったらたとえパンツ一丁になっても履くの!?」

「黒なら…」「馬鹿馬鹿馬鹿ぁぁ!」

…女ってのはどうしてこうも見た目にこだわるのか…クレイスはレイノアの着ている小さな胸当てのついた所々フリルの【ゴスロリ、と言うらしい】黒い服を見ながらそう思った。

「でもクレイスだってそう性能性能だって言うなら、もう全身鎧にしちゃえば良いじゃん!なんでコートなの?そして一番…なんでカウボーイハットなの!?」

「う…」まさか昔見たとある雑誌にあったカウボーイに憧れてとは言えない。

「カウボーイハットって被ってて走りづらくない!?私みたいにほぼすっぴんにすればいいのに…」

「このマッチしてるようでマッチしてない所が良いんだよ…黒だしな…」

「あ、見た目が良いって言った。」

「…はっ!」

負 け た …。

「あー絶対だ。この腹立つ感じ…ぜってーあいつら上で楽しい話してやがる」

もの凄い形相でソフトはようやく目的の25階までたどり着いた。

「邪魔だぁ!」

目の前に現れた警備員をショットガンで射殺しながらソフトは叫ぶ。

お目当ての銀行っぽい場所には着いたが、どうやって依頼分の金を集めるか…。

そう考えながらソフトは閉まっている自動ドアを蹴り破った。

「…おろ?」思わず首を傾げる。

既に中は物色されていた。

カウンターや床には書類と紙幣が散乱して、風でひらひらと動いている。

並べられていたであろうベンチは、まるでバリケードでも建てたかのように横向きに立てられて端に並んで置いてあり、半分に叩き割られた物もある。

そして何より…よく見るとバラバラの手、足、顔…丁度カウンターの上の生首と目が合ってしまった…。

「うげ…こんなの聞いてねぇよ…」

死体の状態から察するに、銃ではない。

なら剣か…とも思ったが違う。

「切り口がメチャメチャだ…こいつは引きちぎった感じだな…きめぇ…」

よほどの怪力の持ち主の仕業だ。

…ていうかどこから?

入り口はソフトが蹴り破った自動ドアしかないはずだ。あちこちを見渡すと、天井に大きな穴が空いている所があるのに気づく。人がギリギリ入り込める大きさだ。

「…あれは見た感じ…」

ソフトは穿たれた穴の向きから、右の足元を見る。小型ロケットランチャーがそこに落ちていた。…よく見るとその近くに転がっているのは帝国兵ではないか。

「店員の状況から見て…帝国兵が威嚇射撃をこいつでやった後…」

何か恐ろしいことが起きたのだろう。

耳をすませるが…何も聞こえない。

「き…気味わりぃ…」

だが来たからにはやらないと後でクレイス達に合わせる顔がない。

「くそっ!…やるぜ!」

ソフトはそう叫んで大きな金庫を探しに、銀行の奥へと足を進めていった…。

「…行った?」レイノアが呟く。

「…だな。行くぞ」

クレイス達は社長室を目指して階を上がっていた。

「でもクレイス…こんな時間に社長室に社長さんがいるなんておかしくない…?」

「そうか?実際偉い奴は夜景が好きだぞ?あと、ソフトが何か工作してくれたらしい。奴が社長室を離れることはないさ」

「そうでもないよ」

「なにっ…?」まさかソフトがしくじると言うことはないだろうが、まさか…

「社長さんだってトイレはするでしょ」

「…」

もっともな意見だ。

「…奴がトイレに行く前に叩くぞ。」

「ぷっ…あははははっ…!」

「…レイノア……?」

「いや、ごめんなさい、でも、真顔で言う台詞じゃな…ふふふっ…」

…全くこいつは何しに来てるんだ?

それでもレイノアが一緒にいるだけで退屈はしないことは確かだ。レイノアは俺を好いてくれているようだが、もしかしたら俺もレイノアを好いているのだろうか。

…殺し屋に、人を好きになる感情が存在するものか…?

クレイスはレイノアと会うまでずっと、人が嫌いだった。ことのほか誰かをしいたげる人間、権力者が大嫌いだった。

そういう奴に指示され、それが正しいと信じる者が死んでいく…。

そういう駒みたいな奴も嫌いだった。

「…クレイス!考え事…?」

クレイスははっと我に帰る。

「いや…これからどうしたものか…」

「それは考え事だよ…そうだね…いっそ二手に分かれちゃうって手もあるよ?」

「…何故だ?」

「クレイス、私がいると私を守る方に集中して、本気で戦えてない気がする」

「…そんなことは…」

「それに…」レイノアは呟いた。「帝国兵が来たってことはあの資料もあるはずだから…」

「…聞こえなかったぞ?何だ?」

「何でもない。えっと…今私たちは45階まで来たから…私はこっちの道から、クレイスは向こうから走って競争ね」

「49階の社長室をゴールに、か?」

「そう、簡単でしょ?」

「…分かった。確かに二人だと時間が掛かるしな…じゃあ俺は先に行くが…くれぐれも、危なかったら逃げろよ…」

「うん」

クレイスは乗り気では無かったが、レイノアはたまにこういった単独行動をしたいという事がある。

あまり危険な目には会わせたくないのだが…まあ、仕方ないだろう。

クレイスは軽いため息をつくと、残弾を確認してから指示された方向へ向かった。

「ここだね…!」

レイノアはすぐ資料室に駆け込むと、資料の束を物色し始めた。

クレイスと別行動をとる提案をしたのも、館内見取り図に資料室という文字を見つけたからだ。

「あった…!」しばらく探していると、目当ての資料を見つける。

…これをクレイスに見せるわけには…

レイノアは資料を手に取り、同じ部屋にあったシュレッダーに放り込んだ。

機械音が小さく響き、資料は雑多な紙屑に変わり果てた。それを窓から外に放り投げると、レイノアは安堵のため息をつく。

「あれをクレイスが見たら…私達は一緒にはいられなくなる…………どうして…」

どうして…あのとき…

あんなことをしてしまったんだろう?

脳裏に浮かぶ幼いクレイスの姿。

両親の死体の前に立ち尽くし、こちらに何かを叫んでいる。

私達は7年前に初めて会った。

クレイスもきっとそう思っている。

それでいいんだ。

知らなくていいんだ。

「クレイス…」

レイノアはアサルトを握りしめると、いくつか資料を引き抜いて資料室を後にした

【続く】


不穏な流れになってきました。

誰が味方で誰が敵なのか。

次回をお楽しみに!


ちなみにこのあとがき【次回予告?】

キャラクターが増えてきたら

各自に担当させようと画策してます。

その時が来たらどうぞ愛でてやって下さいませ。

それでは、また会いましょう!

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