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白球の軌跡  作者: タレ柳
9/19

No.9 瞬殺!

二回の表

絶望で一杯の守備となってしまった

あの多田でさえ打てないのだから…

「しかも…」

「よりによって…」

「四番は…」

「神奈川か…」

知馬ナイン誰もが思ったことだ

「さて!本当はこんな格下相手に本気出さないけど…」

その時だった

打席に入った神奈川の目は凍てつく氷のような目をしていた

「本気でいくよ…」

(やべぇ!何だかどこなげても打たれそうだ…、まぁアウトローに投げれば…)

島谷は振りかぶって思いっきり投げる

良いボールだ

素直でコントロールがいい

心の中で「まずファーストストライク」って気になった

しかし、そんな甘い考えが通用するとは思わなかった

カキーーン!

「ひっぱり!?」

アウトローの球を強引にひっぱった打球はライトスタンドに吸い込まれていく…

無情にも神奈川の頭の上を越えて…

「クソッ!あの野郎!」

神奈川は投手であるが打者としてまでは観察出来なかったし…

「代打!久本!」

おいおい!いくらなんでもと思った

だが交代するのは、無情にもパスボールしたキャッチャーだ

「一体どこまで非道なんだ…」

「お願いします…」

(代打…いずれにせよこれ以上好き勝手やらす訳にはいかない)

パパっとサインを決めて島谷に投げさせた

「ストライク!」

ムッ!振ってこない?

まさか四番以外は打たないのか?

(一種の賭になるかもしれないが…)

「ストライク!」

香川が要求したのは、インコース

最悪ホームランになることは予想できるが

「タイム!」

久本がタイムをかける

ベンチに戻り、何をするかと思えば…

「木製バット…?しかも長い…」

プレイの声がかかると俺は考え出す

(まさかとは思うが、アウトコースの球が来ると読んだな…)

アウトコースに投げたら、バカにならないからな…

島谷は振りかぶって投げる!

シューーン!

(よし、ピッタシインコース!)

カーーーン!

「うおっ!」

バシッ!

ショートが懸命にジャンプして、何とかショートライナーですんだ

「あの野郎…長いバットでよくインコースまで回るよな…」

その後後続二人をピシャリと抑えた

二回の裏

途中代打で出た久本にヒットと思われた打球を放たれたが、結果ライナーで抑えた

もちろん後続は見送りだった

「久本はそのまま捕手に着くのか…」

久本は捕手って事か…、まぁ138km/hを練習なしでとれる人なんていないだろう!

「先頭でようぜ〜!」

ベンチから元気な声援を送る

まぁ声援があれば打てるなんて思ってないし…

とりあえず頑張ろうという気になれそうだしな

「ストライク!バッターアウト!」

しかしこうまでして打てないかね…

クセとかないかな…

バッターボックス内

「お願いします!」

バッターは神奈川

(ホームラン…)

しかし、今の神奈川からホームランを打とうなんて無理に等しい…

(さて…お前の兄貴だ、このチームの四番以外は安パイ…好きに投げさせよう)

「オリャ!」

シューーン!

カキーーン!

「!?」

バシッ!

「アウト!」

今…当たったな…

「ふぅ…」

ため息をついてベンチに帰ってきた

「……………」

「なんか言えよ!」

あの多田でさえ打てないのに何で打てるんだ?

「そんなもん簡単だろ!ただ単に打ちやすい球だったから…」

打ちやすい?確かに真ん中に集まってた…

球は速くて俺なんかは当てたけど押されてる感じ…

「きっとそれはシュート回転の球だろうね!俗に言う抜け球!」

「抜け球?」

みんな声を揃えて山口の話を聞く

「ベンチで見てたけど、二、三回は抜け球が来てたよ!」

「ストライク!バッターアウト!チェンジ!」

「さて!切り替えて!早く守備につく!次の回からガンガンいくぞ」

先生の言う通り切り替えていくしかない

クヨクヨしたって始まらない!

三回の表

この回一番まで回ってくる

打たないってならリードする側としては、余計な心配しなくてすむ

「バッターアウト!」

やはり打ってこない…

一体何なんだよ…

「バッターアウト!」

ここまででバットを振ってきたのは、神奈川、久本…

この二人は紛れもなく、待球の指示はなかったと思うがね

自意識過剰の神奈川は待球の指示を無視したとも考えられる

じゃあ久本はなぜ三球目を…

「駄目だ!切り替え切り替え!」

「おねがいします!」

(ん?挨拶をちゃんと言った?確か一回の時は…)

サインを出したが、島谷は今更?って顔をしてるな…

俺が要求したのはアウトロー

振りにくるなら流すはず

島谷は振りかぶって投げる!

ビュッ!

シューー!

カキーーン!

「やっぱり…」

一塁の頭を越えた

走者は一塁でストップ

「タイム!」

俺はタイムをかけ、内野を集めた

「どうした?」

みんなマウンドに駆け寄る

「一番が出た!俺が思うに、この回以降こいつらはバットを振ってくる」

「一巡目は二人を除き、見送り…」

「そういや〜挨拶の態度が一巡目と二巡目では違ってた…」

「監督から待球の指示でも出てたんだろう、神奈川の場合は指示を無視した…と思える」

「久本は?」

「分からない」

久本は何故振ったかは正直、解明できてない

「まぁ用はここからって事!さぁ始めるぞ」

守備位置に散らばると、プレイの声がかかる

「お願いします!」

(さて二番か…、本気なら本来バントを決めてくるだろう、しかしツーアウト!無論ヒッティングと見た!)

振りかぶって投げる!

いいコース!

コン!

「バント!?」

慌てたがピッチャー前に転がったので、難なくさばいてチェンジとなった

三回の裏

本気になったセントニクス高校

本気になったらどれほどの力があるのか…

「木村!抜け球な!」

狙いをしぼって行くのも作戦…

それがバレたら終わりだ!

「お願いします!」

(抜け球っていってもな〜、実際来るのかな?)

神奈川は大きく振りかぶって投げる!

(速い!)

カキーーン!

「抜けた!」

一二塁間をゴロだけど抜けた!

「ちっ!ヘタクソめ…」

ミスが気にくわない様子だ…

「よし!ランナー返すぞ!」

バッターは島谷

アウトカウント無し

チャンス到来!

(落ち着けよ…、ミスしたらたまったもんじゃないぞ…)

「ボール!フォアボール!」

フォアボールが出た!

チャンスだ!

「北野!ホームランだ!」

「よし〜!やってみるか…」

神奈川はセットポジションから投げた!

「初球いただき!」

一瞬だった…

ほんの一瞬だ

天国から地獄に変わってしまった

「アウト!」

「何!」

ヒット前に走り出していたので、セカンドライナーでワンアウト、セカンド送球でツーアウト、さらにファーストに投げスリーアウト!

「ト、トリプルプレー!?」

「必死こいてバカが!粋がりやがって!」

知馬ナインは凍り付いてしまった

チャンスがピンチ…、いや地獄になってしまった

「さぁ切り替えて!」

切り替えてっても、あんなにすごい芸当見せられたら…

ボカッ!

すると俺はいきなり殴られてしまった



続く


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