No.8 絶望の三振
一回の表
「さて、さっさと片づけて攻撃に移ろうぜ!」
島谷がグランドに散らばる前の俺たちに声をかける!
「よっしゃ!速く終わらせようぜ!」
いつも通りにみんな守備位置につく
「プレイボール!」
審判の声がグランドに響く…
「…します!」
(さて一番か、みんなの反応見る限り凄い選手の集まり…、油断できないしな!)
島谷はサインに首を縦に振る
ピッチャー振りかぶって投げる!
バシッ!
「ストライク!」
(おいおい?全然動かないな…、バカみたいに慎重なのか、まぁなめてるならこっちにも勝機はある!)
その後、一番二番三番は全球見送りっと言う結果で終わった
「おい!相手はこっちをなめきっている!勝ち目あるぞ!」
一回の裏
表の攻撃は0で終わったが、イマイチ引っかかる…
三人の打者は全て見送り…
何の意図があるのか…
「よし!北野ひっかき回してこい!」
「お願いします!」
(こいつが神奈川…)
「へぇ…健のチームの一番か…知らない奴だなぁ!」
「ムッ!」
落ち着けよ俺!一番の仕事はちゃんとやらなきゃな!
「まぁ打てる訳無いっしょ!」
そう呟いて、神奈川はマウンド上で振りかぶる!
「へ!一発でマウンドから引きずりおろ…!?」
ズバーーン!
「……はっ?」
速い!速すぎる!
田山なんて話にならないぞ!
島谷より速い!いやそれ以上!
結局北野はバットに振れずに終わった
「すまん深野!打てそうにない…」
「ストレート以外は投げてきてないよね?」
「うん…」
「サンキューな北野!」
そう言って深野はバッターボックスに入る
「今日はこの調子なら完全試合だな!」
相変わらずの減らず口で投球モーションに移る…
ビシュッ!
ギュルルル!
ズバーーン!
「ストライク!」
「速い…でもど真ん中に集まってるような気がするな…」
バッターボックスにいる深野とマウンド上の神奈川をネクストサークルで観察している
「ストライク!」
追い込まれたな…
マウンド上では余裕の表情の神奈川
バカにされているみたいだな
無性に腹立たしい…
だがここまで力の差が出るものか?
「深野!キャッチこぼしてる!」
パスボール!
深野は一塁に走り出す!
「セーフ!」
ワンアウト一塁!
「ちっ!ヘタクソ!」
何て野郎だ!チームメイトにそんな態度!
ミスったら「気にするなとか」って言うんじゃないのか?
「お願いします!」
腹立たしい…
ホームラン打たないと気が済まない!
「あらよっ!」
神奈川は振りかぶってなげる
カキーーン!
「ファール!ファール!」
三塁線に日の出るような当たりだったが、惜しくもファール!
「ふ〜ん!こんな奴いるんだ!」
なめられっぱなしの神奈川だが、ちょっとは見返したかな
「まぁ雑魚に変わりない!」
駄目だな…
腐ってやがる!
振りかぶって投げた
カキーーン!
「ファール!」
追い込まれたな
しかし速いなぁ!
「フン!」
ビシュッ!
シューーン!
「高めの球!抜け球か?」
スピードもさっきより遅い!
これはチャンス!
思いっきりバットを振った
ブン!
バシッ!
「ストライク!バッターアウト!」
「何!?」
キャッチャーミットにはボールが入っている
「球が落ちた…?」
「あれはフォークだね!」
多田がそう言った
フォーク?
「ストレートとあんまり変わらない球筋で落ちる!」つまり追い込まれた時点で俺は…
クソッ!変化球になんで気付かない?
田山の時は投げてきてないから、油断していたな…
「お願いします!」
多田はバッターボックスに入る
「お前…知らねぇ四番だな!」
そう言って投げた
シューーン!
ククッ!
カキーーン!
「ファール!」
フォークをなんとかファールにした
「ふ〜ん!ならこれは!」
シュッ!
ククッ!
「やべ!」
キン!
「ファール!」
あれは木田のカーブってやつじゃないか?
「俺は形太ブレーブスの多田だ!」
「形太…?あぁあの多田!」
多田ってそんなすごい奴なのか?
「じゃあ話は別!いいもんみしてやる!」
そう言って振りかぶる
「これが打てるか?」
ビシュッ!
「ストレート!」
たが神奈川の投げたボールは多田の振ったバットに当たらず、キャッチャーミットに収まった
「ストライク!バッターアウト!チェンジ!」
あの多田が三振してしまった
「今のは?」
「スライダー…だ」
神奈川の投げたボールはストレートの軌道と同じで迷わず多田はバットを振ったが、球がスライドしてあっさり三振!
「こんなんで勝てるのか?」
マウンド上で涼しい顔の神奈川
ベンチには涼しいを通り越して冷たい空気が流れる雰囲気の知馬ナイン
一体どうなるのか?
続く