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白球の軌跡  作者: タレ柳
19/19

No.19 最終決戦(仮)

五回の表

山口は悩んでいた

香川の事だ

いくらクセが読めると言っても、試合の経験は浅い…

「相手のクセ読むのは良いけど…」

投手自信がクセの存在を知っているなら…

「いくら香川くんでも…」

打てっこない…

逆にそれがクセかも知れない…

香川くんの…

「監督!」

香川が呼ぶ

「あっ!なんだい?」

考え中だったので少しびっくりした

「あのさ…」

…………

「どうでしょうか?」

「まぁ何とかなるでしょ?じゃ!」

そう言ってゆっくり打席に向かう

「圭チャン!打てんの?」

「打てねぇ〜よ!」

あえてこう言うとしよう

「?」


よし考えてるな…

速球なら俺は打てない…

なら動揺くらいさせて…

「まぁ、いいか…」

そう言ってゆっくり振りかぶる!

投げた!

「!?」

投げた瞬間、俺はバントの構えをした

「圭チャン!打てないから、バントってか!」

藤沢はホームに向かってダッシュする!

かかった!

「なっ!?」

「バッ、バスター!」

これなら、目線があまり上下しないからヒットになりやすい!

基本的に空振りというのは目線の上下によるものと、バットの重さによるものがあるらしい…

定かではないが…

しかも藤沢の投げたボールはかなり抜いたストレート

俺にはまだ速く感じるけどな…

カキーン!

ライナーで藤沢を襲う!

バチッ!

グローブに当たる!

グローブに当たったボールは…

転々とダッシュしていたセカンドの裏に…

落ちた!

一塁に着いた俺は焦ったのか二塁を狙う!

セカンドの裏に落ちたボールは、ライトが捕球しセカンドカバーに入ったショートに送球!

「ヤベッ!」

とんでもない大暴投により、二塁に進むことができた

同点のチャンスで…

四番多田!

しかし、投手が変わっても作戦は変わらず敬遠だった

だが、俺はこれを逃さなかった!

敬遠の二球目だった

「ランナー走った!」

「!?」

ボールを投げようとした藤沢は変に力んでしまい

「うわっ!」

キャッチャーは何とかジャンプしてキャッチするものの…

盗塁成功してランナーは三塁

おまけにノーアウト!

それでも多田は打たせてもらえず一塁に

しかしノーアウト一三塁だ

チャンスには変わりないだろう!

次は五番の吉野だ!

パワーがあるから、外野フライで最低一点と言った所だな…

ピンチにも関わらず、藤沢は随分とリラックスしている

「緊張感ない奴…」

吉野はボソッともらした

だが緊張感がないだけに、投球は狂いがない…

第一球は外角低めにストレート

ストライクゾーンにギリギリ入っていた

「………」

あんまり得意でないコースに決まった

「へぇ…そこ嫌いなんだ?」

「!?」

何で分かるんだ?

教えてないし、この投手と対決するの初めてだぞ?

「図星ってヤツだね?」

完全に読まれてる!

「もう一丁!」

ズバーン!

何と二球目もさっきと同じコースに決まる!

「嘘……だろ?」

藤沢は同じコースにボールを投げた

普通、出来ない事だし

こんな芸当できるヤツなんてプロにいないだろう…

「ならば…」

吉野は考えた


「なんか考えてるな?無駄だけどな〜!」

そう言って大きく振りかぶる!

「はい!三…!」

カキーン!

吉野の打ったボールはライトスタンドにすいこまれていく

「ホームラン!」

スリーランだよ!

スリーラン!

逆転したんだな!

「これで5-3…」

ストレートをスタンドに運んでくれたか…

山口は胸をなで下ろす

ホームランを打たれた藤沢はベンチに帰り、交代になる



その後0点が続き、試合終了となる

その時、藤沢は整列時に並んでいなかった

「藤沢…」

幼い頃の友達との再会

しかし、藤沢はアメリカに行ったように黙って消えてしまった

「どこにいるのか?」

知馬校に帰った後、明星に行って探したがいなかった

「藤沢……」

「呼んだか?」

いきなりの返答に驚いて腰を抜かす

「お前っ…!」

何処に行っていていた?って言おうとしたが、口を押さえられた

「黙って俺と勝負しろ!」

「いいけど…」

いきなり勝負を仕掛けられた

「三球勝負!じゃぁ行くぜ!」

マウンドに上がった藤沢は、振りかぶって投げる!

「速い…!」

ブ〜ン!

空振り、残り二球…

「それっ!」

藤沢の投げたボールは指先から離れて、ホームめがけて一直線に…

「くっ!」

カッ!

「ファールか…」

これで残り一球…

「ラスト!」

大きく振りかぶって投げる!

投げたボールはノビのあるストレート

しかし、もう二球見ている

「ここだ!」

カッキーン!

打ったボールは真上にグングン上がる!

「この勝負は引き分けだな…」

藤沢はそう言ってマウンドを降りる

「藤沢!」

俺は藤沢を止めた

何故って言われても答えられないが、とりあえず止めた

「野球!またやろうな!」

そして大声で言った

「……………」

藤沢は黙って手を振った

恥ずかしさがあるのか、背中を向けながら手を振っている

「藤沢…!」

俺はそう言って明星を後にし自宅に戻った

「懐かしいヤツにあったな…」

いい思い出になったからよしとするか

幼い頃の親友がライバル…

これから互いにライバル同士になる訳だからな…

「これ以上に力をつけて、甲子園に行けるように頑張るぞ!」




続く


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