No.17 真相は?
三回の表
この回谷山からの打順
俺は明星の守備位置を確認した
「やっぱり下がってるな…」
通常の守備位置よりかなり深めに守っている
なんとか山口に言って打開策を考えないと…
「えっ?本当かい?」
そう言って山口はグランドを見る
「本当だ…」
気付かなかったのか…
「なんで深めに守ってるんですかね」
「速い打球が怖いから、なるべく後ろに守備位置をおいている感じだね!」
「でも、そんなんだったらゴロで内野安打になるんじゃ…」
普通はそう思う
「それは無いかな、いくらゴロでも彼らは足が速い!」
そうか!
足が速いから、守備位置が後ろでも俺らみたいに捌けるのかも…
「それなら話は早いよ!」
山口はサインをだす
「谷山はヒットになるかなぁ…」
カキーン!
「うおっ!」
セカンドがエラーした!
「今のは?」
「あれはだね、後進守備なら、そこを狙い撃ちすれば…」
「元々下がってるから、下がりきれなくなって…」
「エラーだ!」
スゴいなぁ!
山口はちゃんと考えてるな〜
「ノーアウト一塁!盗塁のしてもらうか!」
まぁ相手の捕手は肩が弱い
そこに漬け込んで…
バッターボックスに木村が入る
(しかし打てそうだよな…)
ピッチャー振りかぶって投げる!
「ボール!」
キャッチャーは慌てて投げるがセーフ
「ナイス谷山!」
「さて、木村には…」
山口はサインを送る
(フルスイング?正気かよ…)
網走は思いっきり投げる!
「ほんとに遅っ!」
サイン通りに…
カキーン!
「フライ上げちゃった!」
「監督!何のサイン送ったんですか!」
「フルスイング!」
まてまて!木村は力がないんだぞ!
何考えてるんだよ…
「ヒットになるよ!」
「はっ?」
山口はまた訳の分からない事を…
「ヒットだ!」
ショートとレフトがぶつかって、ヒットとなる
なんでヒットになるってわかったんだ?
山口に聞いた
「守備の連携がとれてなかったからさ!」
「いつそんなの分かったんすか!」
「キャッチャーの送球に対して、二回ともショートは反応に遅れていたからね!」
やっぱりスゴいなぁ…
でもこれでノーアウト一三塁
「木田〜頑張れ!」
バッターは木田
あれほどカーブを特訓したんだから打てるだろ…
(自由にしていい?じゃぁスクイズで…)
木田はバントの構えをする
網走は振りかぶって投げる
それと同時にファーストとサードはダッシュする!
「木田!」
だが木田は突っ込んできたサード目掛けて打つ!
バシッ!
サードのグローブを弾く
ボールはサードの後ろを転々と転がる
そのボールをショートが拾いホームに投げる
「谷山!滑り込め!」
意外にもショートは肩が良かったので、滑り込まないと間に合わないと判断したコーチャーは谷山に指示を出す!
「ホームイン!」
「ナイス木田!」
一塁にいる木田はガッツポーズ!
その後一番二番はキャッチャーフライで俺に回ってきた
ツーアウト一二塁
「香川!打てよ!」
そうだ!俺が打てば、四番の多田に回る
そうすれば敬遠は無い
網走は振りかぶって投げる!
「ボール!」
よし!ボールが先行したな
(サインは出てないし、待球だな)
「ボール!」
またボールか…
「ボール!」
山口からサインがでる
(待球か…、自滅しそうだからな)
「ボール!フォアボール!」
よく見たな俺
あんまり見極めるの得意じゃないからな…
だが満塁で四番だ!
「何!」
キャッチャーが立った
トリックプレイかと思われたが、やはり敬遠だ
「2-3か…」
押し出しで追加点
このままだと、本当に勝てないかもしれない
完全に四番は敬遠されている
吉野は打ち上げてスリーアウトチェンジ!
三回の裏
多田抜きで戦っている状態
ここぞと言う所で必ず打ってくれた多田がいない
早くも黄色信号が灯ってしまう
続く