No.12 5
セントニクス高校と戦ってからはや一週間がたつ
以来噂になっていた
もちろん弱小校が勝てるなんて、思ってもいなかった…
「また取材だ…」
ちょっとばっかし注目の的になっていた
そうそう…
あの久本はプロ野球選手の孫だってさ
まぁ血筋ってヤツだな
「島谷、あと二球種覚えない?」
「ヤダ!ストレート一本なの!」
相変わらず島谷はこんな感じ
前回の試合で打たれなかったから良いもの…
こんなんだと予選で速攻負けそうだよな
そんなんじゃ甲子園行けないし、プロも無理だ
「木田に覚えてもらうか…」
しかし木田はカーブ男
それ以外は覚えないときた
どっかにいないかね…
「香川危ない!」
「ん?うわっ!」
ボカッ!
ボールが当たった
前にもあったな…
意識がもうろうとしてきた
──────
─────
────
「ここは?」
白い天井が目の前にある
参った…
ボール当たって、気絶か…
「起きたね!」
「あぁ…えっと…」
そこにいたのは、ある男子学生だ
「俺の名は安室恵!」
「ありがとう!安室くん…」
そういってベットから出て、グランドに向かおうとした時
「野球部に入れてよ!」
…………
冷やかし?
「そんな目しない!変化球投手が欲しいんだろ?」
「!?」
なんで知ってるんだ?
ちょっとばっかしドキッとした
「大丈夫?」
「大丈夫だ…、じゃあグランドに…」
ニコニコな安室を横目に俺は安室を疑ったね…
たまたまだと思うが…
グランドに連れていくと、神奈川は安室の事を知っていた
「安室〜!何やってんの?」
「野球部入るの!」
神奈川は特に驚く様子もなかった…
「じゃあ入部テストみたいなのやるか!」
「俺投手だから…」
安室がそう言うと…
「俺がバッターだ!」
木田が元気よく手を挙げた
まぁ試合出てないから、誰も文句は言わなかった…
「しゃあ〜!来いや〜!」
「木田は簡単に抑えられるから…」
俺は気持ちを和らげるために励ます程度の声をかけた
「球種はスライダー、カーブ、シュート!」
三つ!これは助かるな…
「よし!がんばろう!」
守備位置につくと、審判の谷山がプレイの声をかけた
(木田だろ?あれから練習してそうだからな…、シュートとやらで様子見だな)
安室はうなづき投球動作に入る
(変な…モーションだな)
(!?)
「アッ!アンダースロー!?」
アウトローにシュート!
コントロールがいいので、決めたコースにピシャリと来る
まずはストライクとった
「ふん!球は遅いじゃねえか…」
(遅いなら打てよ…、次はインコースにスライダーで…)
振りかぶって投げる!
ビシュッ!
シュルル!
「打ちごろ!」
カキーーン!
「ファール!」
一塁線ひっぱってファール!
「ちっ!」
いらだってるな…
(これがラスト!)
まぁ最後はカーブなんだけどね
打たれてもいいテストだからね
変化球の変化量を調べるから…
アウトコースギリギリ!
「ストライク!バッターアウト!」
三振!
まぁ最高の結果だな…
「安室君だったね?」
山口だ
まぁ入部の件だろ
「考えてくれました?」
「はい!野球部に入部します!」
なんだ…
入る前提の話もうしてたのか…
「そうか!じゃあ自己紹介してな!」
ニコニコして山口は去っていく…
「安室恵です!一応セントニクス中学で野球してました!」
「セントニクス!あの!」
安室の話だと神奈川兄弟とは仲がよく、三人とも野球部にいたらしい
「俺と神奈川はバッテリー組んだことあるんだぜ」
「と言っても打たれて試合にならなかったから〜!」
みんな和気あいあいとしてた
仲良しならいいか…
「あっ投手だから…」
島谷とかぶる…?
衝突なければいいけど…
「早速、投げ込みやるか…」
「俺も手伝うぜ!」
神奈川が手伝ってくれるのか…
なんと心強い味方!
「島谷のボールは俺がとるぜ!」
神奈川はそういって俺の隣に座った
まぁ安室の球筋に慣れないとイケないのもあるからな…
「まずは五十球目安でいくぞ!」
そういって投げ込みを始めた
投げ込みをやっていると次第に安室が険しい顔をしてこっちにくる
マズい事したかな…
「香川…、実は…」
「…………本当に?」
「うん!これが完成すればウイニングショットになるからさ!」
そういって安室は投げた
「どこで落ちるんだ?」
フッ!
「消え…痛ぇ!」
安室の投げたボールをとり損ね、それが下腹部に…
「大丈夫か?」
「とっとりあえず…」
カラカラの声で返事をする
こんなのを毎日古田や阿部は経験しているのか?
(注:毎日はありません!それにアレに当たるのはまれな事だと…)
「しかし…あれが…」
安室の投げた球は、ストレートのスピードと変わらずに伸びてきて…
いきなり落ちる!
まぁフォークみたいな感じだ
「よし!ナイスボール!」
安室の横で黙々と直球を投げ込む島谷…
俺には焦ってるとしか写らないな
「うん…!127km/hくらいかな…」
「127km/h!」
安室は驚いていた!
まぁ安室に無いのはスピード
一方の島谷に無いのは変化球
「天は二物を与えずだねぇ」
まぁ神奈川は違うけどな…
まぁこれで投手は心配なくなった
問題は打力か…
多田と神奈川以外あまり期待できないし…
夏まで何とかしないとな!
続く