No.10 逆境のランニング
「お前ら何ヘコんでるんだよ」
木田がそう言った
「あんなのただ球が速い投手だろうが!」
「だけどよ…」
「文句言う奴は試合に出るな!俺が出る!」
そうだよな…
まだ終わったワケじゃない!
「おい!わかったら守備につけって!」
(木田君はいい時に檄を飛ばしてくれますね!)
山口は感心していた
「しゃ〜す!」
(う〜ん三番か…)
島谷は大きく振りかぶって投げる!
カキーーン!
「一塁ストップか…」
「タイム!」
タイムをかけた
もちろん次が四番だから…
「どうする?」
「アレ試してみる?」
「やるしかないな…」
長いタイムがあけ、守備位置につく
「あいつら何を話してたんだ?」
(さて、早速アウトコースに…)
島谷は頷いて投げる!
「バカの一つ覚えだな!」
ブン!
「ストライク!」
「…あれ?」
(考えてるな、なら次は…)
「!?」
「ストライク!」
内角にストレート
「くそっ!」
(怒ってるな、今の内に…)
振りかぶって投げる
シュッ!
ククッ!
「!?」
バシッ!
「ストライク!バッターアウト!」
「今のは…カーブ?」
そうカーブだ!
前回の試合では変化球とる練習してなくて、間に合わなかったので
「おぉ〜すげぇ!」
守備陣から歓喜の声がする!
「ちっ!」
怒ってる!次の回の守備に支障を来しそうだな
「お願いします…」
(久本か…、カーブで様子をみるか…)
シュッ!
ククッ!
カーーン!
「ファール!」
「………………」
(ひゃ〜、こいつには変化球とか関係なさそうだ、しっかりついてきたし…)
大きく振りかぶって投げる
ビシュッ!
シュルルル!
カーーン!
「ファール!」
(仕方ない…一回きりの手だ!)
振りかぶって投げた!
「ボール!」
「ボール!」
二球ストレートを外した
これでカウントは2-2(ツーストライク、ツーボールの意味)だ
久本にある魔法をかけたのだ
シュッ!
シュルルル!
ククッ!
「!?」
ブ〜ン!
「ストライク!バッターアウト!」
二者連続三振だ!
その後六番にヒットを打たれたが、七番でしっかり抑えてチェンジになった!
四回の裏
「なぁ!久本何で三振にとれたの?」
「あぁあれはね…」
人ってのは、目が慣れるとある程度速い球だって打てるよね!
だけど速い球の後にチェンジアップやカーブなどの遅い球が来ると、体感速度はかなりの差に感じるはず…
例えば…
150km/hの直球の後に100km/hのカーブが来ると…
打者は150km/hを意識してしまい、直後の100km/hのボールに体がついていかず三振か、凡打
「それを、久本にそっくりそのままやった!」
「けど、150km/hの直球投げてないぞ!」
「あれは例えの話!」
それを島谷でやるとすると…
島谷の直球は120km/h前後、カーブは80km/hくらい
ボールを二球連続で出したのは、直球を多く見せるためだ
「まぁ大体40km/hの誤差がでると体ではそれ以上に感じちゃうんだよね〜」
「おい!」
「なんだ!説明わからないのか?」
「違う!バッターボックスにいけ!」
話してる内に深野は三振
「まぁそんな感じ!」
と言って、バッターボックスに向かう
「お願いしゃ〜す!」
「けっ!さっさと終わりにするか〜」
振りかぶって投げた!
カキーーン!
「何!」
カーブをうまくとらえた!
一塁を蹴って二塁でストップした
「ナイバッチ〜!」
ベンチから声が飛ぶ
バッターは四番多田
「しゃ〜す!」
(四番…)
神奈川は振りかぶって投げる!
シュッ!
ククッ!
バシッ!
「フォーク…」
神奈川のフォークは落差があんまりないけど、カウント稼ぎ用ってヤツだね
まぁウイニングショットはスライダーかストレート…
「次は…」
(カーブ投げよう!)
(カーブを狙う!)
振りかぶって投げた!
(きた!カーブ!)
カキーーン!
ひっぱった!
俺は三塁をけってホームに突入
「同〜点〜!」
一方多田はスリーベースを狙おうとしたら、アウトになった
次の吉野はフォークを打ち上げスリーアウトチェンジに…
五回の表
神奈川はマウンドから降りてベンチに帰った時壁を蹴ったりしていた
その後、ヒットも無く両校「0」のボードが並ぶ
九回表
今だに0が続く中、この回四番の神奈川に回る
何とか抑えねば…
この試合…
「勝ち」はない!
続く