~荒野~其の五
パンッ!パパパン!
地平線の向こうから、乾いた破裂音が断続的に聞こえてくる。
生き物の息吹を感じられない荒野で、それは何百年、いや、何千年ぶりのことだろう。
遥か昔に人は滅び、人の造りし機械兵器も互いに破壊しあい、最後の一体が機能を止め朽ち果てて幾千年。
それでも世界は存続を望んだ。
在る続ける意味を明確に見いだせぬまま。
しかし、その願いに耳を傾ける者がいた。
彼は、世界に新しい命の芽を与え、世界はそれを大切に育んだ。
世界は存続する理由を見い出した。
世界は、新しい命が過去と同じ過ちを犯さぬよう、大事に、そしてしっかりと監視した。
やがて世界は、命が他の影響を受けぬよう、他の世界との接触を遮断し始めた。
新たな命を与えてくれた彼さえも。
そして、総ての接点を絶つと、世界は眠りについた。
新たな平和な世界を脅かす何者かが現れるまで・・・。
ブゥゥン!
蒼白い光が無人のシートを照らし出す。
光源は、シートの正面に設置された小さなモニターのものであったが、モニターには
Gravity Engine and New Burast Unit
の文字が浮かび上がっていた。
さらにコックピット内は、次々に点灯するモニターや計器の光で満ち溢れ、最終的にシートの周りは周囲の景色、つまり、灼熱の荒野が映し出されたのだった。
外から見ると、そのユニットは未来的なヘリコプターからローターを取った容姿であり、翼が無いにも関わらず宙に浮いていた。
しかも、次の瞬間には姿を消すこととなる。
これが、遥か昔に失われたはずの空間転移技術であることに、気がつく者は周囲に誰もいなかった。
前話まで8分。
完結しても1時間いかないんじゃ・・・。(笑)