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第一部 第二章 第1話 東名少年洗わる洗わる!

 ひたすらに流されるまま、投げやりな気分のまま気のない顔で、心の底まで凍てついた俺は、なすがままにその銀色のゲートを頭上に眺めながらゆっくりとゆっくりとくぐっていった。何も足さない、けれども人は死ぬる。人生は風流夢譚。

 まるでそれは磁気共鳴映像装置をくぐる時のように、ちょっと肝臓が心配になるけれどノープロブレム、俺の体についてあれこれ誰にも言わせねえ。全ては自己管理、自己責任。稲綱落としも火炎の術も院内ではご法度。自分の編み出した技については、弱点も、返し技も熟考済み。

 あぁ、虹色の光が天使の輪が俺を竹輪の中のチーズのような気持ちにさせる、今このまま。

「パトラッシュ、僕も疲れたよ」




 切れ目なくなめらかに、目の前は変わらずに白く、底知れぬまま。運ばれるように流されている感覚もそのまま。

 …しかし目の前の白さは、さっきまでの薄ら青い透明感を裏側に貼り付けたような白ではなく、あきらかに乳白色の白さに変わっている。白って200色あんねん。そして水の当たりも柔らかく包みこまれるような、何より温かくぬるまゆい……。

 ああ、ここが天国なのか。生萌が「きっト、かならず、待ってルから…」と言った、その場所なのか。

 ゆるゆると、たまらなく安らいだ気分で体を満たしながら漂う俺の頬を、葦の葉がかすめる。ざわざわと、ざわざわと、ざわわ、ざわわ、ざわわ~と、何かの予感がする。

 濃い霧の向こうから、その陰はだんだんと形をとりはじめる。

 そしてそれは人の形をとりはじめる。ああ、生萌か……。迎えに来てくれたんだ。


 葦の茂みと、濃い霧をぬけて姿を現したのは、漫画のように鼻の大きな男だった。

「む、これは……」


 極北の無慈悲な冷たさにさらされ続け、両手も、耳も鼻も凍傷で失くしてしまった俺を見て、男はそう言葉をもらした。


(次回予告)謎の医師に拾われたタフネス大地に立つ!は、己が戦国時代へタイムスリップしてしまったことを知り……。

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