第一部 第一章 第十三話 某社の郡Gさん、さらなる可能性の覇王の玉子が、今ここに埋もれていま~す
ホワイティの背から氷原へとバラバラに飛び降りた俺とジムさん。だが俺は、革袋でできた水筒の水をグフグフと飲みほそうとする俺の、その口の脇からドバドバと漏れるそばから瞬時に凍りついていく純水はつららとなって、俺はまるでトドかセイウチのよう。例えるならその姿は野生の牙をとりもどした一匹の、下半身がセグウェイの人間のよう。その内なる野性が外なる俺に叫ぶ。
「今こそスチームボールの安全弁を開放し、その熱力で流氷を溶かし北極海にジムを沈めるのだっ!」と。
俺はその内なる叫びを、凍る大気も張り裂けよと絶叫した。
「今こそスチームボールの安全弁を開放し、その熱力で流氷を溶かし北極海にジムを沈めるのだっ!」と。
すかさずジムさんはホワイティの背に飛び戻ってしまったが、もう遅い。スチームボールの安全弁は解き放たれてしまっているのだ!
大きな大きな、ブシューというボイラーの雄叫びのような音と共に、周囲を厚く蒸気が覆う。空気の熱層をまとった俺はドボンと、溶けた流氷を突き抜け垂直に落ちた。
絶体絶命! しかし海に落ちなれている俺はあわてずすかさず腰の隠しからオキシガムを取り出し口に入れ噛んだ。
俺は静かに冷たく硬い水をかき、水中をホワイティの反対側へ回り込んだ。この冷たい復讐心が、極北の海の冷たさを越えている間は決して寒さを感じることはない。この冷たさは忘れはしない! 地球を必ず支配する!
奴は俺の生死を見届けようと、あの場所に立っているはずだ。まさか背後から俺が現れるとは思ってもいないだろう。学の無い低能のカスめ。奴には問いたださねばならないことが二つある。ひとつは残りの魔王子たちの情報。
もうひとつは、なぜ、あんたが、生萌の、生萌と俺の、かなわぬ希望の、リングを、はめて、いるのか。
次回予告
長期連載になると中だるみも構成上しようがない今回である。しかし長い目のスパンでロングリーチな手を固めていかねばならない、いわゆる穴熊な展開にさしかかった今、今、今、今あなたは何を言うのか? 何か言ってよ、郡Gさん……。




