第81話 ギルドの報酬
朝の混雑時間を過ぎたギルド内は、冒険者の数も疎らだった。それでも、この世界に1台しかない真っ赤なキャリーワゴンを引いた悠真が入ってくると、その異様な光景に冒険者たちはざわつき始めました。
「おい、見ろよ……あの赤い箱はなんだ?」
「あんなに滑らかに動いてやがる……」
喧騒の中、奥からギルド職員の女性、フレイヤが足早にやってきました。
「フィアネス様たち! お待たせしていました査定が全て完了しております。別室で報酬をお支払いしますのでご案内いたします」
2階にある別室へ、キャリーワゴンをゼノスとガルドに後ろを持ってもらい引っ張りあげた。フレイヤに案内され5人は椅子に腰掛けていると、しばらくしてギルドマスターのバルガスがお盆に皮袋を載せて、部屋に入って来ました。
初対面の悠真は椅子から立ち上がりバルガスに挨拶しました。
バルガスは「皆んな、待たせてすまなかった」と言ってテーブルに皮袋を載せたお盆をおきました。
「まず、オークの魔石と素材の買取。それから、ギルドが買い取る『ブルーシート』と『ポリ手袋』の代金だ」
フレイヤが羊皮紙の明細を広げます。
1. 収益の内訳
① 魔石・オークの素材の買取総額: 金貨 48枚
② 商品(ブルーシート・手袋)の売上: 金貨 5枚 + 銅貨 20枚
【総売上】: 金貨 53枚 + 銅貨 20枚
2. 控除額の計算
討伐仲介・領主税 (計20%): 金貨 48枚 × 0.20 = 金貨 9.6枚
商品売却税 (優遇15%): (金貨 5枚 + 銅貨 20枚) × 0.15 = 金貨 0.75枚 + 銅貨 3枚
悠真の受取額(手取り)は討伐報酬÷5人で
討伐報酬: 金貨 9.6枚 。
商品の売上げ:金貨 3.33枚 + 銅貨 17枚となる計算です。
バルガスが、革袋を悠真の方へ押しやりました。
「……受け取れ。これが悠真殿が持ち込んだ『商品』と討伐報酬だ。5人で分けたとして約、金貨10枚……。
冒険者のパーティーが命を削って数ヶ月に稼ぐ額を、あんたはたった一度の納品と討伐で手に入れたわけだ」
悠真は革袋の重みを感じながら、背筋が少し寒くなるのを覚えました。
バルガスは、悠真が受け取った金貨の重みを確かめる様子を黙って見ていましたが、ふとキャリーワゴンに視線を落としました。
「ユウマ殿。その……『赤い荷車』も、売りに出すつもりはないか?」
その言葉に、悠真は苦笑しながら首を振りました。
「すみません、これは僕の『商売道具』なんです。これがないと一度に運べませんから。似たような感じので良ければ次の機会に」
バルガスは残念そうに鼻を鳴らしましたが、悠真がワゴンから取り出した「シルバーシート」見ると、その鋭い目がさらに見開かれました。
「これは……ブルーシートよりさらに強固な術式(加工)が施されているようだな。色々な商品を持って来てくれたな。持ってきた商品の説明をしてくれないか?」
悠真はキャリーワゴンから、和央さんの店で厳選した品々を一つずつ、ギルドの机に並べていきました。




