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第45話 アルテミシアの影

今まで、説明出来ていなかった「獣人族」について書きました。

 異世界(アルテミシア)において、獣人族は「神の失敗作」と揶揄されることもあれば、「自然の寵愛を受けし者」と崇められることもある、極めて複雑な立場に置かれていた。


 彼らは大きく分けて三つのカテゴリーに分類される。一つは、圧倒的な筋力と闘争本能を持つ「剛種(大猫族、狼族、熊族など)」。

二つ目は、鋭い感覚と俊敏性に長けた「迅種(猫族、狐族、兎族など)」。

そして三つ目は、水陸両生の能力や飛行能力を持つ希少な「異種」である。


 大陸全土で共通しているのは、彼らが「魔力伝導率の極めて高い肉体」を持っているという点だ。獣人族の体毛や爪、牙はそれ自体が優れた触媒となり、魔石を使わずとも自身の生命エネルギーを直接身体能力に変換できる。しかし、この「優れた肉体」こそが、彼らの悲劇の源泉でもあった。


 中央集権的なヒューマンの国家では、獣人族はその高い労働力と戦闘能力ゆえに、長らく「亜人奴隷」として不当な扱いを受けてきた歴史がある。特にナセル領のような保守的な領地では、彼らは戸籍すら持てない消耗品として扱われることも少なくない。一方で、エデンベルクのような自由都市では、彼らは商人や傭兵として頭角を現し、独自のコミュニティを形成している。


 獣人族の特徴として特筆すべきは、その「絆」の深さだ。彼らは血縁を超えて「群れ(クラン)」を形成する習性があり、一度仲間と認めた相手には命を懸ける。ゼノスの傭兵団『月下の狼牙』も、その典型だった。


 また、彼らの間には特有の「魔力共鳴」が存在する。同じ群れのメンバーが危機に陥ると、微弱な魔力の揺らぎで互いの位置や感情を察知することができる。レオが引き取られた猫獣人の家庭も、種族を超えてレオを「群れ」の一員として、本当の息子として受け入れていた。

それは、ヒューマンの社会よりも純粋で、かつ苛烈な生存本能に基づいた愛情だったのである。

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