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『第三章スタート』【悲報】過疎ってる駅前シャッター商店街のおみやげ屋が異世界に転移したので、ご当地キティを売ってみたら大儲けした件  作者: 太陽唸り過ぎ-無-
第二章

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第40話 開店準備

 自由都市エデンベルクに到着してから8か月、奏多とゼノスがダンジョンで汗を流す一方で、玲奈は長屋の一室を工房に変え、来るべき魔道具店『概念工房ワークス』の開店準備に没頭していた。


 獣人の母親たちによる内職作業と、玲奈の『概念具現コンセプト・ウィーブ』の力が相まって、開発したばかりの『濃縮出汁珠ブイヨン・コア』と『浄化の泡石クレンジング・ソープ』が山のように積み上がっていた。


「玲奈、 この琥珀色の塊が本当に料理を美味しくするの?」

 獣人の母親の一人、怜奈が濃縮しキューブ状にしたブイヨンを袋詰めする担当のライラが、懐疑的な目を向けながら、慎重に『濃縮出汁珠ブイヨン・コア』を手袋をした手で触った。

 玲奈は心の中で言葉を紡ぎ、『隠遁の腕輪コンセプト・リンク』を通して、彼女本来の温かい声で応える。

「ええ、試してみて。スープに入れるだけで、驚くほど深みが出るわ。『旨味』というのよ」

 調度、その日の調理当番だったライラがスープの鍋に一粒入れると、食事の時に獣人の子供たちが一斉に顔を上げた。

「わあ、いつものスープと全然違う!色々な味がして美味しい!」

 子供たちの素直な反応は、玲奈にとって何よりも確かな手応えだった。


 開店の目玉商品となる『鋭利のシャープネス・ナイフ』は、冒険者ギルドから正式な大量発注の相談が来ていた。これは、奏多とゼノスがC級冒険者としてダンジョンに潜るよりも、遥かに安定した収入源となる。


 玲奈は、商業ギルドの分厚い扉をくぐり、応接室に通された。

 応対したのは、恰幅の良いヒューマンの男性、ディンケルだ。彼は、『濃縮出汁珠ブイヨン・コア』の試食と、『浄化の泡石クレンジング・ソープ』の効能をすでに確認済みで、玲奈を丁重に迎えた。


「これは素晴らしい。『濃縮出汁珠ブイヨン・コア』は、すぐにエデンベルクの料理界の常識を変えるでしょう。特に、旅の商人や傭兵にとっては、携行できる『魔法の調味料』として絶大な需要が見込めます」

「ありがとうございます。製造は私の工房でします。品質は保証します」


 玲奈は腕輪の機能を使って、淀みなく言葉を紡いだ。彼女の落ち着いた物言いと、商品に対する確固たる自信は、ディンケルに感銘を与えた。

 ギルドとの間で、『濃縮出汁珠ブイヨン・コア』と『浄化の泡石クレンジング・ソープ』の専売契約が結ばれた。特に『鋭利のシャープネス・ナイフ』は、冒険者ギルド経由で武器商人が取り扱うことが決まり、そのロイヤリティだけで、店の運転資金は大きく賄える計算になった。


 奏多とゼノスは、玲奈と商業ギルドの契約が成立したことで、一気に資金繰りの目処が立った。彼らは、手付金を払っていた空き家を買い取り、『概念工房ワークス』と、将来の宿屋兼酒場『守護のガーディアン』へと改装する作業を始めた。

「玲奈、この店は、俺たち家族と、ゼノスの仲間たちの家族を守るための砦だ。絶対に成功させる」

 奏多は、ハンマーを握る手に力を込めた。彼は、かつて自分が板前として修行した経験と、ガールズバーの店長として店を切り盛りしたノウハウを、この新しい「異世界の居場所」に注ぎ込もうとしていた。

 ゼノスもまた、内装の土壁塗りを手伝いながら、深く頷いた。

「俺たちが死ぬ思いで稼いだ金が、こんなにも早く形になるなんてな。玲奈には感謝してもしきれない」

 彼らにとって、この店は、裏切りと迫害から逃れた「安住の地」そのものだった。

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