運命の中断
ソウタ・キハラは英雄として召喚された。
しかし、魔力もなく、神聖な武具もなく、尊敬もされず——彼は城のただの清掃員となった。
王族に侮辱され、魔法のカトラリーにさえ拒絶され、彼の唯一の仲間は…手から逃げようとするスプーンだった。
他の宮廷の英雄たちが剣や銃、聖なる護符を手にする中、ソウタは武器も栄光も居場所もない唯一の存在として、その重みを背負っていた。
だが、王国が魔王の九人の神将の一人に脅かされたとき——
ソウタは気づく。スプーンでさえ、運命を切り裂けることを。
これは選ばれし者の物語ではない。
これは、拒絶された男が…手元に残ったもので世界のルールを書き換えようと決意した物語だ。
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夕日が街を黄金と橙色に染めていた。
彼はアイス売りとして、その日最後の調整を屋台に施していた。
また一日が終わる。平凡だが、誇りある一日。
熱いアスファルトの匂いが、柔らかな風と混ざり合う。
子どもたちが走り回り、笑い声が響く。
命。平和。
最後の小銭を数えていたとき、視線を奪うものがあった。
道の向こうで、小さな少女が色鮮やかなボールを追いかけていた。
幼い。無防備。
そこへ、一台の車が猛スピードで迫っていた。
彼は考えなかった。
屋台を放り出し、走った。
「危ない!」
少女を歩道へ突き飛ばす。
衝撃は波のように彼を押し潰した。
静寂。
闇。
⋯
風の音で目を覚ました。
強い光に瞬きをする。
地面は柔らかく、鮮やかな草と見知らぬ花々が広がっていた。
彼は身を起こし、自分の体に触れた。
痛みはない。
筋肉は引き締まり、若々しい。
あまりにも若い。
「ここは…どこだ?」
遠くに山々。濃い森。澄んだ空気。
彼は小川へ駆け寄った。
水面に映る姿は嘘をつかなかった。
「な…なんだこれは?!
俺は…18歳に見える…?」
だが、彼の記憶は確かに39歳のままだった。
遠くから声が聞こえた。
森から騎士たちが現れる。
輝く鎧。構えられた剣と槍。
「お前!どこの者だ?名を名乗れ!」
「わ、わからない…
ただ…俺は…ここはどこだ?」
疑わしい視線。
囁き声。
彼は城へと連行されることになった。
⋯
城はまるでおとぎ話から抜け出したようだった。
そびえ立つ塔。
至る所に刻まれた、王冠を戴く蜂の紋章。
大広間。
玉座には一人の女性が待っていた。
威厳に満ち、鋭い眼差し。
「これが…最後の召喚者か?」
彼は答えられなかった。
どうすればいいのか分からなかった。
彼と、他の19人。
目的は魔王と九人の神将を討つこと。
他の者たちは魔法の武具を授かり、称号を与えられ、敬意を受けた。
彼は…何もない。
剣を握ろうとした。
金属は手から滑り落ちた。
まるで拒絶するかのように。
盾を試した。
同じ結果。
囁き。
嘲笑。
「これは誤りだ」大臣の一人が言った。
「魔力もなく、武具もなく、魔法もない。どうして英雄になれるのか?」
女王は眉をひそめた。
称号も役割も与えられず、彼は厨房へ送られた。
⋯
新たな屈辱。
ナイフもフォークも、彼の手から滑り落ち、折れてしまう。
触れるものすべてが、彼を拒絶する。
結局、彼は指で食べるしかなかった。
衛兵たちは笑い、料理人も笑った。
彼はただ、うつむき、呟いた。
「俺は選ばれたんだ…俺は選ばれたんだ…」
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