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新月世界  作者: 柳 凉梛
2/2

2.容疑者

霊は予鈴ギリギリで教室に駆け込んだ。


「霊、おはよう!」


「あっ、小野さん...おはよう。」


霊隣の席の『小野 柚希』に挨拶をし、霊は席につく。


「遅刻ギリギリって事は、また朝からバイト入ったの?」


「うん、そうそう。」


「1人暮らしって大変そうだね...。何かあったら、全然頼っていいから。」


朝から殺しをやるのを、他の人にはバイトと言っている。

そして親戚に殺しがバレるのはヤバいので、1人暮らしをしている。


「うん、ありがとう。」


そう話していると、結崎先生が入ってきた。


「お前等席につけ〜。」


先程の様子とは変わって、何もないように振る舞う姿は、流石としか言いようがなかった。

いや、そもそもこの人が『新月』だという事や、この学校に『新月』の人間ーがいる事を今まで知らなかった。

それを考えると、『新月』の人々の潜伏能力は凄腕だろう。

見つけられるか心配だ。


とりあえずは何事もなく、1時間目の国語が始まった。


「...ん?」


斜め前の席にいる『日野 湊』が教科書を立てて何かをしていた。

早弁にしては早すぎる。

気になった霊は、少し前に大量に作ったミツバチ型ドローンを飛ばした。

この学校で使っている授業用タブレットで操縦をしているため、霊がやったとバレる事はそうそうないだろう。


「きゃあ、ハチ!!」


なんか騒いでいる人がいるが、気にしないで操縦を続ける。

すると、何をしているかが分かった。

それは、中の手入れだった


「あー...。」


確定だと思い、名簿に印をつけようと思った時だった。


「はぁ!!」


そう声をあげて小野がミツバチ型ドローンを叩き落としたのである。


「霊、大丈夫だった!?刺されてない!?」


「いや、今のミツバチ...。」


小野は何故か霊に過保護だ。

なんでかは分かっていない。


「まぁ...ありがとう。これ、外に捨ててくる。」


「あっ、私が...。」


「大丈夫。もう小野さんが倒してくれたしさ。」


そう言って外に出すふりをして回収。

ボロボロにされていたため、ドローンだとバレるかと思ったが、バレなかったのは救いだろう。


「今のって...。」


先程の小野の隙がない動き。

それは普通のスポーツをやっているだけの人には出せない技術だ。

つまり、小野も確定だろう。


その他気になる事もないまま、1時間目は終わった。


2時間目は理科の実験。

だが、その前に...。


「望月先生。なんで2組を1時間目にしたんですか?夏目がやらかすのなんて、当たり前でしょう?」


理科室は汚れて、荒れていた。

その原因は1年2組の『八神 夏目』。

霊とは小学校で一緒だった友達。

ドジで色々とヤバいため、理科の実験なんかは終わりに等しい。

そのため、入学時に夏目の事を理科担当である『望月 毒夜』先生に伝えていた。

そのはずなのに、未だこれである。


「はぁ...掃除、手伝いますから。」


「毎回ごめんな、桜木。」


「気にしないでいいですよ。夏目の後始末には慣れていますから。」


小学校の時にも似ている事が多々あった。

そのため、慣れた手つきで掃除を始めた。


「あっ、凄いことになってるね。また夏目くん?」


声が聞こえた方を向くと、そこには美術担当であり、2年5組の担任の『倉田 流留』先生がいた。


「そうだよ。本当に面倒事をよく増やして...!」


「けど、攻撃の時は役に立つから、ダメダメって感じではないのよね。」


「攻撃って、何の事ですか?」


霊はヒョコッと出て、倉田先生にそう聞いた。

すると、倉田先生は明らかに焦ってこう言う。


「ゲームの話だよ!夏目くん、上手いんだよー!」


「そうですか?あー、けど、レースゲームは上手だったっけ...。確か結構のランカーだって言ってたし...。」


そう呟いた後、何も言わずに掃除を続けた。

チェックを付ける人が増えたと思いながら。

そして、2時間目が始まる5分前辺りになった時だった。


「霊、何で掃除してるの!?」


小野さんが来た。

理科の実験の時は、教室に集まってから移動のため、普通は来るはずがない。

何故いるのだろうか。


「毒夜先生と流留先生がやらせたんですかー?」


「小野さん、私がやりたくてやってるだけで...。」


小野さんにそう言いながらもモップを動かす。

そんな時、後ろから気配を感じて振り返る。

その時には持ってたモップがなくなり、横に人が立っていた。


「流石に生徒にやらせるのは悪いと思うよ。」


霊のモップを取ったのは、保健室の先生である『稲月 窓』先生だった。

なんでここにいるという疑問より、いつの前にモップを取られたんだという疑問の方が先に浮かんだ。

この人も『新月』なのだとしたら、納得がいく。


「流留先生、そろそろ授業が始まるから、戻った方がいいよ。」


「あっ、本当だ!稲月先生、ありがとう!」


あと2分くらいで次の授業が始まる時間だった。

霊はモップを取られたため、雑巾を使おうとしたが、小野さんと稲月先生に止められた。

そして色々あり、2時間目が始まった。

1組はやらかす人がいないため、普通に終わったあ。


3時間目は霊の得意な英語だ。

たまにターゲットが外国人なので、色々な言語を覚えているのだ。


「Hello!」


今日は外国から来た先生がいる日だった。

『ヘルノール・メルティア』、通称ヘル先生。

普通にイケメン。

あと、めちゃくちゃ背が高い。

外国人は背が高すぎて、結構怖い。

殺すのも一苦労だ。


「Danas imam dodatnu misiju,pa idi vidjeti Ken-sana kasniji...。」


ヘル先生の独り言に、霊は反応する。

なにせ、これは英語ではなくクロアチア語だからだ。

意味は、"今日の任務追加になったから、あとでケンさんのところに行きなよ"的な感じだった。

...確定である。


こんな感じで容疑者が増えていった。

高等部生徒は15人中3人。

高等部教師は4人中4人。

中等部はまだ誰も見つけていない。


「...頑張ろ。」


小さくそう呟き、4時間目の体育のために校庭に向かったのだった。

※キャラの軽い設定について


小野 柚木

黒髪赤目で、髪は肩まであるくらい。

制服に赤いフードのついた上着を羽織っている。

霊の事が大好きで、絶対に霊の隣にいる。

(霊が隙をついて逃げた時は隣にいない。)

運動神経抜群で、バレー部に入っている。

その中でもエースだ。



日野 湊

黒髪黒目で髪は首くらいまで。

制服に緑のフードのついた上着を羽織っている。

小野によくだる絡みしているところがよく見られる。

関西から来たため、関西弁だ。



望月 毒夜


茶髪黒目で、前髪は七三分け。

後ろ髪は賢斗よりも短い。

いつも白衣を羽織っている。

実験と賭けゲー好き。

その中でもブラックジャックが好きで、放課後とかに霊とたまにやっている。



稲月 窓


灰色髪黒目で、髪は腰までの長さある。

口元を灰色の布で隠している。

カウンセラーもやっている保健室の先生。

料理も得意で、たまに生徒にも振る舞う。

何事も生徒第一で考えているらしい。

噂では1人の生徒に執着して助けていると言われているが、誰だろうか。


倉田 流留

黒髪青目で、ブロンドヘアー、肩くらいまでの長さ。

服は白と青のフリフリがついた可愛いワンピース。

性格も結構ゆるふわ〜な感じで、少し抜けてるところがある。

嘘をつくのが苦手。

見た目によらず、握力とかが強すぎるため、裏でゴリラと呼ばれている。

(ほぼ同期の教師に。)



八神 夏目

赤髪黒目で、髪は肩に届かないくらい。

制服に青いフード付きの上着を着ている。

教会で育てられたため、神を信じている。

小学校で霊を見た時、その教会で見せてもらった神の絵と霊が似てたため、神は現実にいると勘違い。

それから霊の事を様付けで呼んでたが、霊に止められ、普通の友達関係になった。

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