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ババァ召喚  作者: にわ冬莉
第一章 汝、諦めることなかれ

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第七話 使命発表

「それで、私はなんでここに呼ばれたのかしらね?」


 鈴子が切り込む。

 こちとら、パート先で掃除してる最中に急に床が光って連れてこられたのだ。今頃あっちの世界ではどうなっているのか、心配なところではある。


「それは、私からお話ししましょう」

 スッと手を上げたのは司教アマデス。


「今、ミリールをはじめとする大陸ザハドは亜種との大戦を控えております。賢者を召喚し、わが人類の勝利を確実なものにするべく、」


「ちょっと待って」


 アマデスの演説を片手で止め、鈴子。

「戦争しようとしてるってこと?」

「そうなりますな」

「はーっ!? 駄目よダメダメ何言ってるのかしらね、もう、戦争なんか、断固反対!」

「は?」

 アマデスが面食らう。


「ほんっとに、なんでこう男って生き物はすぐに戦争したがるのかしらっ。ああ、そんな言い方したらジェンダー問題に引っかかるかしらね。でも大抵戦争始めるのは男よね。ほんと、馬鹿なのかしら。その、亜種ってのは誰なのよ? ほかの国の人?」

「亜種とは、人間でない種族のことで、」

 今度は元帥が口を挟む。


「ああ、そういうことね。人魚とか妖怪とか小人とかみたいな? いいじゃないの、共存すれば! 仲良くしなさいよ。みんな地球人でしょうが」

「仲良く…ですと?」

 眉間に皺を寄せる元帥を見て、鈴子も同じように眉間に皺を寄せる。


「あんたたち、大方その亜種ってのが生活方式が違うとか言葉が通じないとか、見た目がどうとかそんなこと言ってるんでしょ? え? 違う?」

 割と図星だったため、黙る。


「そんなのね、お互いを尊重しあってお互いの邪魔にならないように同盟でもなんでも結んだらいいじゃないのよ。大体ね、戦争なんかしていいことないわよ。偉い人たちはどうせ高みの見物でしょ? 国民にとってはいい迷惑!」

 バン! と机を叩き、強い口調で言い放つ。


「国王に聞きますけども、平和ってものがどんなものかわかってます? みんなが安心して、笑って暮らせるっていうことよ? 戦争なんかして、それが実現できるって本気で思ってるの?」


 何か想像と違う召喚者に、国王は苦虫を噛み潰したような表情で目を泳がせていた。


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