表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ババァ召喚  作者: にわ冬莉
第一章 汝、諦めることなかれ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/34

第二十九話 美味しいごはん

 鈴子は厨房にいた。

 何故か食材を前に、唸っている。


「わかってはいたけど、見たことないものばかりよねぇ」

 何かの葉っぱを手に、言う。

「ま、なんとかなるでしょ」

 細かいことは気にしない、がモットーだ。


 なぜ厨房にいるかと言うと、今後の話を皆でしていたのだが、お腹が減ったのだ。そしてこの屋敷のコックが今日はいないと知り、自ら買って出たのである。

 やせ細っているクルスに美味しいものをお腹いっぱい食べさせたい、というのも動機の一つである。


「はい、これは多分芋っぽいもの。これはホウレンソウ的な。こっちはカブ、お肉は……何のお肉かしらね?」

 一緒に運ばれてきた食材たちを前に、今日のメニューを考える。米はないから、パンになるのだが。


 食材を適当に切り、煮る。こっちは炒める。和える。調味料を適当に加え、味を見る。

「ほら、なんとかなるもんだ」

 出来上がった料理を皿に移す。

「はい、これが肉じゃが。これはきんぴらごぼう。こっちが魚の煮付けで、これは肉の甘辛煮……みたいな感じよ!」


 使い方が正しいのかわからない食材を前に、創作料理を振舞う。見た目が茶色ばかりなのは、おばちゃんあるあるだ。


 クルスがゆっくりと口に運ぶ。手を付けたのは、なにかの肉の甘辛煮だ。

「んんっ!!」

 口に入れた瞬間、目を見開く。

「クルス様っ?」

 リンドルが心配そうに覗き込む。


「美味しい!」


「あら、よかったわ」

 鈴子、ご満悦である。


 今宵は特別、と、屋敷の使用人も含め、全員で食卓を囲んだ。


「さて、今後の話なんだけどね」

 食事を一通り終えたところで、クルスが切り出した。

「実はもう、作戦は決まっているんだ」

 ゆっくりと話し始める。クルスは予知夢を見ている。鈴子とゼンがやってくることも知っていた。これから先、何が起きるかも……。


「ただ、私の予知夢はあくまでも可能性を示唆するだけのもので、全てが見えるわけではない。それだけは理解しておくれ」

 そう、前置きをすると、鈴子に向かって、言った。


「鈴子殿、私の弟、ランスを誘惑していただきたいんだ」

「えええ? 私? ちょっと待って、この国の王様は年増が好きなのっ?」


 せめて熟女と言えばいいものを。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ