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ババァ召喚  作者: にわ冬莉
第一章 汝、諦めることなかれ
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第十九話 謁見

 意外にも、国王はマッチョであった。


 いや、意外にも、などと言うのは失礼か。しかし鈴子的には、王様というのは生まれながらに王様になるべくして教育されるわけで、知識の詰込みはあれど、体を鍛えることはしないイメージだったのだ。


 が…、目の前の国王ミルデロは、見るからにマッチョだ。アメリカのアクション映画に出てくる感じのマッチョだ。とにかく相当なマッチョなのだ。


「ちょっと触ってみたいわね…」

 思ったことがつい、口を衝いて出てしまう鈴子なのである。


「遥々のお越し、痛み入りますな、予言者様」

 マッチョっぽい喋り方でミルデロが言う。鈴子は軽く腰を落とし、礼を尽くす。

「で、触りたい、とは?」

「あらやだ」

 聞かれてしまっていたようだ。鈴子がペロッと舌を出す。

「ごめんなさいね。あまりにもいいお体してたもんだから見とれちゃったんですのよ」


 一国の王に向かって言うセリフではないが、思ったことをそのまま口にする。それがおばちゃんなのだ。


「グハハハ、面白いことを言う方だ」

 ミルデロは豪快に笑った。


 ここはガイアール城内にある謁見の間。鈴子の後ろにはゼン、そして護衛として同行してきたフィンノが控えていた。


「ところで鈴子殿、予言者だと伺っているが、ひとつ私のことを見てもらえないものか?」


 やはり言われたか。


 ハースからの書簡だけでは納得出来ないということか、はたまた単なる興味か。しかし、想定内である。


「そうですね。…ミルデロ様、奥方様は今が一番大切な時ですから、くれぐれも、心と体をお大事になさってくださいね」


 ガタン


 鈴子の話を聞くや、ミルデロが椅子から勢いよく立ち上がる。

「何故…、」

「あら、聞きたがったのは王様の方ですわ」

「しかし、それは私しか知らないことっ、」

「ええ、だから何を、とは言っておりません」

「ううむ…」


 もちろん、事前にゼンに調べてもらっているのだが、実は王妃様、ご懐妊なのだ。前回が流産だったこともあり、気を張っているらしい。そのことはまだ、ミルデロと宮廷医師しか知らない。


 しばし空を睨んだのち、大きく頷き、鈴子を見る。

「試すような真似をしてすまなかった。あなたは本物のようだ」


 ミルデロが深く頭を下げた。


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