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ババァ召喚  作者: にわ冬莉
第一章 汝、諦めることなかれ
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第十三話 仕込み

 他の国からは現段階で、召喚者の確認のため使者が遣わされているということだった。さすがに各国から王様全員集合! というのは難しいのだろう。鈴子は、予定されていた宴を開いてほしい、ということと、何か大きな水晶のようなものを用意してほしいと申し出た。それっぽく見せるのが大事なのである。


「ねぇ、ゼンちゃん」

「あん?」

「ゼンちゃんってさ、魔法使えるでしょ?」

「魔法っていうか…精霊術なら使えるが?」

「あー、どうせ私には違いが分かんないから魔法ってことでいいわね。それでね、ちょっとやってほしいことがあるんだけど」


 まるでマジックショーの打ち合わせのようだわ、と鈴子は思った。仕掛ける側はいつも楽しいものである。

 とはいえ、うまく立ち回らなければいけないのも確か。いくら知らない世界の国の話とはいえ、政治に首突っ込んでいるのだから。しかも、戦争を止めようというのだ。


「ゼンちゃん、私が頭にイメージしたことを映像化することとか出来る?」

「あ? スズの頭ん中覗いて、周りのやつらに見せればいいのか?」

 簡単だ、と言わんばかりに、ゼン。

「まぁ、すごいわ~! ほんっと、ゼンちゃんて優秀なのね!」

 大げさに褒めまくる。


 人も、精霊も、褒められるのは好きなようだ。ゼンはまあな、とか何とか言いながら嬉しそうにしていた。


 宴まではまだ少し時間がある。

 今は客間でゼンと二人、待機中なのだが、女中が二人、部屋にスタンバっていた。用意されたお茶やお菓子は美味しく、鈴子は腹が減っては戦は出来ぬとばかり貪り食べていた。


 戦を止めに行くんだけどね。


 一応、矛盾に突っ込みを入れることも忘れなかった。


「よく食うな、スズ」

 ゼンはすっかりスズに懐いてしまっていた。ちゃん付けで呼ぶのはカッコ悪いからと呼び捨てにしているが、鈴子は嫌な顔をするでもなくにこやかだし、なにかというと褒めてくれるし、なんだか居心地がいいのだ。それと、言葉が面白い。聞いたこともないような例えなんかを言われると、ゾクゾクする。

「小腹が空いてたのよ。このお菓子、とーっても美味しいし」

「暢気だな、まったく」

「あら、ゼンちゃんもしかして心配してくれてるの? 嬉しいわ~」


 若い男の子(実年齢はゼンが大分年上だが)に心配されて、ちょっとときめいちゃうスズなのであった。


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