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龍神王の花嫁  作者: よもぎ
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平民へ華麗なる転身

鏡の前に座っていた私はふと半年ほど前まであった出来事を思い返していた。


もはや私には関係の無いことだ。


そう思いながらプラチナブロンドの髪の毛を櫛でとかす。

夜も更けてきたし、明日もお店を開けるからそろそろ寝るかとライトを消し布団に潜った。





朝、既にちらほらと人々が仕事を始めている。


私はベッドからゆっくり起き上がり、洗面所へ顔を洗いに行く。その時に髪色と目の色を魔法で変化させる。

着替えてトーストとスクランブルエッグとちょっとしたサラダを作り朝食が完成した。


店の薬の在庫を確認し、在庫補充の為の調合をやってから店の掃除を始める。


いつもの日課を淡々とこなすだけだが、自国にいた時やディラバシア王国の王宮での生活に比べたら随分いきいきしていると自分でも思う。

この店舗兼住宅は王宮を出る際、国王陛下からわずかばかりだが…と頂いたお金で購入した。(決してわずかな金額ではなかったが)


お店の営業時間も自分の無理のない範囲でやっている為ストレスも無く、お客さんも大体は顔見知りになった人ばかりだ。



今日は早い段階で客足も引いたので、早めに閉店し商店街に買い物に行こうと思い立った。


まだ夕方の4時くらいで明るい為商店街の方は賑わっていた。

この時間帯だと割引商品も多く、慎ましく暮らしている私にとっては有難い。



「あっ!リティ!!」

色々買い物を終えて帰ろうとした時、後ろからサナに呼び止められた。


「リティ、良い所にいたわね!今日もうちに来ない?」

「え、昨日行ったばっかだから今日は家に帰るつもりよ?」

「今日マスターが新メニューの試作作ったらしくてさ、リティに食べてもらおうと思って!もちろん試作だからお代は無料にするわよ?」

「行きます!」


私が元気よく返事をすれば「現金ね」とふふっと笑うサナ。


ちょうどすれ違った男の人はサナを見て頬を染めた。サナは綺麗でモテるのだ。


「それじゃ荷物を家に持って行ってから酒場に顔出すねー」

「はーい!待ってるー」


そう言葉を交わし私は家路を急いだ。


買った食材をテーブルの上にダンっと置いて酒場に向かう。



混む時間帯にはまだ早いからか酒場にはまだ2,3組のお客しかいなかった。



「リティ来たわね!今試作品準備するから待っててね」

サナはウィンクしながら厨房の方へ向かい中にいるマスターに試作品を頼みに行った。



待ってる間、カランカランとドアを開く音が聞こえて、何気なく入り口の方を見るとダンさんが入ってきた。


ダンさんは私を見つけるなりこちらに近づいてきて「リティ…ちょっと頼みあるんだけどよ…」となんだか言いづらそうに小声で話しかけてきた。


「お前が目立つのを避ける為最小限の商品しか調合しないのは分かるんだけどよ…口外しねぇから特別に薬調合しちゃくれねぇか?

仕事中にジャンが怪我しちまったんだ…」

眉を下げながら申し訳なさそうに頼んできた。


なんでも大工仕事中に木材に足を挟めたらしい。

奇跡的に骨には異常なさそうだが軽い捻挫…ってわけでもなさそうだ。


「とすると…軟膏ですかね…わかりました。一応念のため病院にも行ってくださいとお伝えしてくださいね?

サナ、ごめん!一旦家に帰る!」

「わかったわ!ダンさん、ジャンさんにお大事にと伝えてねー」

「あぁ分かった!リティ、恩に着る」


私とダンさんは私のお店の方に急いで行った。




私は店に戻るなりてきぱきと材料を台の上に準備する。


そして手際良く調合し、出来上がった軟膏をガラス瓶に丁寧に入れてダンさんに渡した。

「はい、ダンさん、これを患部に塗ってあげて。あと私からっていうのは内密に」

「あぁ!分かってる!ありがとうな!」


ダンさんは私の作った薬を抱えて仕事現場に戻って行った。


その姿を見送って私も酒場の方へ歩いていく。

いくら目立ちたくないとは言え、いつもお世話になっているダンさんの頼みを断るのは気が引けたしジャンさんのことも知っている私としては大怪我を負っているかもしれないと思えば断る選択肢は無くなっていた。



その後無事に試作品の味見という名のご馳走にありつけた。

もちろん味は美味しく次の日から正式にメニューに加わることが決まった。




それから何日か過ぎ、ジャンさんの怪我の一件以外は何事もなく穏やかに過ごしていた。



薬を調合したりお店で営業したり、お店の定休日には薬の材料となるものの調達に行ったり、家で本を読みながらまったりしていたり。


お客さんが1人しかいない時とかはよくお客さんと世間話に花を咲かせたり、酒場に行かなくてもサナがたまに店の方に顔を出したりしてくれるから1人暮らしでも全然寂しくなかった。



セレスティア王国にいた時とかディラバシア王国の王宮生活の時の方が周りに人が大勢いたが、あの時より今の方が寂しくないなんて…って思うと笑えてくる。


それだけトコロコ町が好きなんだなぁ…とお風呂に入りながらぼんやり考えていた。





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