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龍神王の花嫁  作者: よもぎ
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父親失格(フレデリック視点)

俺には3人の子供がいる。


どの子も俺の愛する妻との間に生まれた大事な子だ。


一番上の長男ウィリアムは次期国王に相応しい才能を幼い頃から既にめきめきと発揮していた。

二番目の子リーティアは上の兄程の素質は無かったが努力してめきめきと力を付けるタイプの子だった。

一番末の子ミリアムは俺の愛する妻にそっくりなおっとりした顔立ちだった。



ウィリアムが幼いながらも次々と色んな学問を学び魔法も剣術も習得していった。

なんでもそつなくこなすから勉学も根詰めることもなく時間にも余裕ができ、ある程度の年齢になると俺の補助を任せられるようになった。


この年でここまでのことが出来る様になったとは…大したものだ、と頭を撫でればそこは年相応に喜んでいたのでより可愛がっていた記憶もある。



ミリアムは愛する妻に似ていたのだが、体の弱さも似てしまったようだった。

本当に幼い頃は風邪をこじらせることも珍しくはなく、いつもひやひやしていた記憶がある。

一番下の子の部屋にもちょくちょく訪れ、体の調子はどうか?と気にかけていた。



リーティアは上の兄程器用ではなくなんでも時間はかかるが、好奇心旺盛で色んな知識をスポンジの様に吸収していった。家庭教師陣もそれが楽しくついつい教育に熱が入ってしまうと反省しながらも彼女の伸びしろには可能性があると豪語していた。

俺もそれを目の当たりにし、次々と色んな課題をその子に与えた。

中には難しい課題もあっただろうに歯を食いしばって食らいついているところが好ましかった。根性もある子供だった。

どんどん課題の難易度もあげ、明らかに難しい問題でも「お前ならできるだろう!何故できないんだ」と発破をかけやる気を出させて能力が伸びていった。

磨けばどんどん光る原石のように彼女の能力も今では兄に負けず劣らずになり、ウィリアムも彼女に期待するようになりどんどん発破をかけて彼女の能力を伸ばそうと気にかけていた。




だが磨けば磨くほど光る原石も磨き過ぎては傷をつけることもあるということを俺達は知るべきだったのだ。



気持ちのどこかで「リーティアなら大丈夫」「リーティアは強い子だ」という絶対的な安心感のようなものがあった。そんな絶対等どこにもないのに。



「私は小さな頃より兄の右腕となるべく頑張ってきました。賢王と呼ばれる父、その再来と言われる兄を目指せと毎日毎日泣きながら血の滲む思いでやってきたつもりです。

しかし頑張れど頑張れど、父にも兄にも追い付かず周りは蔑むばかり。

私のような平凡な人間が父や兄と並ぶには本当に何倍も努力しなければなりませんでした。

ようやく及第点を頂いても父にも兄にも誰からも一度たりとも褒められたことはありません。寧ろそれが当たり前だと言わんばかり…。

兄は昔から優秀だと褒められました、そんなお兄様が努力をすればもっと褒められました、妹は体が弱いなりに頑張ったと褒められました。妹は今では健康体なのに王族の教育もままなっていない…それでも褒められるのです。


…では私は?私はどこまでやれば褒められるのでしょうか?」


リーティアの心の叫びを聞いた時、冷水を頭から被った気分だった。


決して蔑ろにしてたつもりはなかった。勤勉なこの子の能力をどんどん伸ばしたかっただけだった。

だが…リーティアの言葉を聞いた時、そういえばこの子を最後褒めたのはいつだったか全く思い出せないことに愕然とした。


この子の兄の事も妹の事も褒めた記憶はあるのに、兄弟の中で一番の努力家であったこの子を褒めた記憶が全くない。

この子の叫びを聞いた時、この子の兄も婚約者ダニエルも顔が青ざめていた。



それからリーティアは引きこもる様に部屋から出て来なくなった。

俺もウィリアムもダニエルもリーティアに何回も会いに行ったが彼女がディラバシアに旅立つまでついぞ会話をすることもなかった。




あの子が隣国へ旅立つまで何気なく城内を見回った時更に愕然としていた。



俺に近い臣下の者は決して俺がリーティアを蔑ろにしてる訳ではなく寧ろ絶大な期待を持っていると分かってくれていたのだが、下の者達は俺がリーティアを蔑ろにしていると思い込み、一部の者がリーティアを王族として扱っていないことが分かった。



リーティアが隣国へ旅立った後かなりの貴族を取り締まったが、もとはと言えば俺のせいだ。


リーティアの汚名を返上するために彼女は決して無能ではなかったと、あの子ほどの努力家はいないと、周りに周知させることを徹底した。


今更そんなことをしても…と思われるだろうが、何かせずにはいられなかった。俺のせいで可愛い娘が傷ついたのだから。



反省した俺の元に更にショックな出来事が舞い込んできた。



2年後、なんとディラバシアの王太子殿下が俺の元に訪れた。

内心リーティアも一緒に来たかもしれないと期待していたのだが、何故か彼1人で。


その話を聞いて俺は更に愕然とすることになる。



俺が撒いた種があろうことか隣国まで噂となって流れ、リーティアに妹虐めの悪女のレッテルを貼ってしまったこと。そしてあちらでも不遇の扱いを受け心に傷を負ったリーティアの行方が分からなくなったと。



だからこちらに帰ってきてはいないか、訪ねてきたそうだ。



俺が城内を調べた時、そのような噂はここでも流れていた。


元を正せば体の弱いリーティアの妹ミリアムに無理させず甘やかしていた俺のせいだ。

ミリアムが実際はたいしたことないがちょっとしたことを成し遂げただけで大袈裟に褒めていた俺のせいで、いつも褒められるミリアムが優秀で、実際努力して実力をつけているにも関わらず一切褒められず叱られてばかりのリーティアは無能であると周りを勘違いさせてしまった。


そして恐らくリーティアがミリアムにもっと頑張れとか言ってたのを誰かがどこかで聞いていて、その話が歪曲し『妹虐め』という噂に繋がったのだろう。本来ならばその注意する役目は父親である俺が負うべきことなのに。


無能なリーティアが優秀なミリアムに嫉妬して虐めているという噂が広まり、それが隣国まで伝わってしまった…。



隣国でリーティアを蔑ろにしてしまった王太子殿下を責める権利は俺にはない。隣国での彼女の立場を悪くしたのも俺なのだから。


リーティアに対する罪滅ぼしではないがミリアムとダニエルの婚約は結局白紙にし、ミリアムには一から王族の教育を施している。もちろん甘やかしは一切無しに、だ。




俺はそもそもの噂のきっかけや俺達家族の確執を懺悔の様にディラバシアの王太子殿下に伝え、この様なことがあって隣国へ旅立ったからリーティアがこちらに来ることは無いだろう…と伝えた。


俺の話を聞いていた時、ディラバシアの王太子殿下は唇を噛み俯いていた。



俺やウィリアム、ダニエルも俯いて言葉を発することができなかった。



…リーティアは一体どこに行ってしまったのだろう…


俺やウィリアムはリーティアを探す為ディバラシア王国に訪れる約束をこの時ディバラシアの王太子殿下に取り付けた。


2人で城を空ける訳にはいかないから俺やウィリアムが交互にディバラシアに訪問することになるだろう。

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