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The meaning of life  作者: かわこ
1/5

ハーフウイッチ

ハーフウイッチ。

それは人間と魔法使いのハーフという単純なものではない。

人間どうし、または魔法使いどうしの間に生まれた突然変異の者たち。

それを人々はハーフウイッチと呼んだ。

これは、あらゆる差別に立ち向かう一人のハーフウイッチと仲間たちの物語である。

_____________________

サナはハーフウイッチだ。

そのため、親からも村人たちからも虐待や差別を受けていた。

「ちょっと!お茶はまだなの!?」

「すみません」

召使いのように駆け回る日々。

自分は何のために生きているのかを考える暇もない。

生きている意味もよくわからない。

だからといって死ぬ勇気もない。

家族にこき使われて一生を終えるのかと思うと死んでしまいたくなる。

そんなサナの唯一の日課は丘から星を見ることだった。

捨てられそうになっていた姉の星図鑑をゴミ捨て場から取ってきて読んでいたら、いつのまにか簡単な星座は言えるようになっていた。

_____________________

今日も同じように丘から空を見上げていた。

「君、こんなとこで何してるの?」

後ろから声が聞こえて振り向くと、そこには自分と同じくらいの歳の少年がにこっと笑って立っていた。

「星を、見てた」

「そっか。綺麗だよね、星座とかわかる?」

「うん…」

隣に座り込んで少年は愛想良く笑う。

「僕はテール・オーディア。君は?」

「サナ・メーデル…」

「あ、ハーフウイッチの?」

黙ってうつむくと、テールと名乗った少年は優しく言う。

「あ、安心してよ!僕は君のことをぶったりなんてしないから!」

それでもやっぱりハーフウイッチとバレてしまうのは怖いことだ。

実際何をされるかなんてわからない。

そう言って安心させようとしているだけかもしれない。

警戒心を解かないように黙っているとテールは優しく話しかけてきた。

「僕、この丘の近くに住んでるんだけどサナはどこに住んでるの?」

「…丘の近くにある青い屋根の家」

「あそこかぁ!今度遊びに行ってもいい?」

「…なんにもないよ、来たって遊べるかなんてわかんないし」

「じゃあ、またここで会おうよ」

サナは少し驚くとテールから目を逸らして言った。

「テールは、私のこと気味悪いって思わないの?」

「なんで?ちょっと人と違うだけじゃん。特別なことなんて何もないよ」

「私と遊びたいなんて言う人、初めて見たよ」

「そう?僕ね、塾で星座について勉強してるんだけどよくわかんなくてさ…よかったら教えてもらえないかなーって」

「私、上手く教えれるか分かんないよ」

「いいよ、折角の友達なんだし仲良くしようよ」

「友達…」

テールはうなずいて満面の笑みで手を差し出した。

「そう!友達!」

サナは差し出された手に、少しだけ迷った。

しかしテールはサナの差し出しかけた手を強く握って笑ったのだった。

「よろしくね、サナ」

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