第3話 麗しのローズ
「まぁ!ローズのデザインは完璧ね!これでお願いするわ!」
「ありがとうフェスティ夫人、完成まで楽しみにしてて頂戴な」
それじゃあ失礼するわと部屋から出て、廊下で待っていた男性に声をかける
「おまたせダーリン♡終わったから帰りましょ」
「ローズ終わったんだね、さぁ家に帰ろうか」
すっと腕を差し出す男性の腕に、鮮やかな赤いドレスを纏ったローズが腕を絡め仲良く歩き出す
階段を下っていると、何やらホールが騒がしい
「あら?何事かしら?喧嘩でもあったのかしらね?」
「さぁなんだろうねローズ……おや、あの子は……」
騒ぎの中心に目をやると、素足をだした異国の女の子がガードマンに取り押さえられていた
「なんとこんな所に娼婦がくるとは」
驚いてローズに声をかけると、何やらローズは険しい顔をしている
どうしたんだいローズ?と声をかけるとローズは腕を離してズカズカと歩いていってしまった
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さぁ早く出て行くんだ!と私の手首を乱暴に掴み、私は外へと放り出された
「やだ、何あの子……」
またもやヒソヒソと周りから好奇の目に晒されるが、今度は私は動けなかった
一体ここはどこなのだ?石畳が続く道の両脇には美しい建物が並んでおり、道行く人は美しいドレスを着ている
明らかにここは私が住んでいた場所ではない
一体これはどうしたものかと一人焦っていると、石畳の向こうからピー!という笛の音が近づいてくる
見ると警棒のような物を持った男性数人がこちらに走ってきていた
あれ?これひょっとして私ピンチじゃない!?
ヤバイ逃げなきゃ!?でも何処に逃げたらいいの?てかここどこ?
そんな事が頭の中でぐるぐる回っていると
先ほど、私が追い出されたドアがキイと音を立てて開き、中から真っ赤な麗しいドレスの女性が……
いや、麗しいドレスのオネエ様がドアから出てきたのであった!
驚きのあまり目を白黒させていると
オネエ様は私をガッと抱え込み、軽々と持ち上げると
周りの野次馬に「ごめんあそばせ」と声をかけ、オーホッホッホと野太い笑い声をあげ走りだした!
少し離れて停めてあった馬車まで走ると、馬車の中へと放り込まれ、オネエ様が声をかけるとパカポコと馬車が動き始める
笛の音は少しづつ遠ざかっていく
とりあえず助かった……のかな?
ほっとしたのもつかの間
「ねぇアナタどこから来たの?娼婦にしては地味な格好よね?」
目の前に座っていたオネエ様から発せられた、娼婦という言葉に絶句する
娼婦?私が?なんで??
「ち、ち、ち、ち、違います!私、娼婦なんかじゃありません!」
「そうよねぇあまりに地味すぎるものねぇ」
「もしかして私、娼婦に間違えられてたんですか!?」
「そうよぉ、あそこは貴族専用の高級ホテルで、本来なら娼婦は出入りしただけで牢獄いきよぉ」
牢獄という言葉に顔が青ざめる
もしかしてさっき追いかけてきた男性達は……
「危なかったわねぇ、もう少しでアナタ捕まってたわよ」
あ?やっぱり?
「助けてくれてありがとうございます、えっとあの、私も実はよく分かってなくて……ここは一体どこですか?なんで娼婦に間違えられたんですか?」
「足よ、足」
聞くとここでは素足は性の象徴でタブーだとされていて、素足を出すのは娼婦だけらしい
聞いたこともない話に、もしかしてここは私の住んでいた世界とは違うのかもしれないという考えがよぎるのだった