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斬り裂きシアター  作者: Thunder-雷-
2/2

キャッスルマン

※ 作中には、グロテスクな描写が書かれています。苦手な方は、注意して読んでいただければ幸いです。

 ザクッ-

「おい!」

 キコキコッ-

「どうすんだよ」

 コトンッ

「んー、今度はノコギリでも使おうかな?」

「いやそこじゃなくて…」


 前回、二人の姿が目撃され、新聞の一面を飾られ、多くの人に容姿がバレてしまった。犯人は少年少女であり、紳士服とゴスロリ姿をしていた。似顔絵も描かれた指名手配が街中貼られている。

 そんな状況の中、独房でリキィは爪を噛み割りながら考え、サキは次のシアターへの準備を練っていた。

 サキは新たな刃物を何にしようか少年の左脚を試し斬りしながら悩んでいる。そんなサキの姿に、呆れたリキィは説教をした。しかし話を受け流され、ため息をつくリキィ。斬られた感想を述べたことだけにしか話は弾まなかったようだ。


「それで、なんで俺の体がトーテムポールみたいになってんだよ」

「えーお城だよー。あの有名なネズミのお城!」

「どこが…」

「私はこの間ね、ファンの方に褒められて、次はもっと凄いものにしようと思ったの!」

「てかお城にしては、小さくて、雑で、不安定だよな」

「もー頑張ったのに…あ、じゃ次は人間を増やしましょ!」

「え、マジ…今の俺らにそんな余裕は…」

「じゃよろしくねリキィ!チュ」


 サキは城の頂上にあるリキィの頭部を担ぎ、額にキスをした。

 リキィはため息を飲み込み、意を決しました。

「やれやれ、やるか…」


 ~日没~


 2人で人が集ってそうなところを探した。昨日のこともあり、心配していたリキィだったが、案の定多くの人が少年少女を探している。

 しかし状況とは裏腹に、今回の条件は最高なのだ。なぜなら、多くの人間が必要だからだ。そんな状況にサキは舞い上がっている。

 すると2人の目の前に骨組み途中の家が見えた。その前で晩酌をしている3人の大工たち。


「ガキが相手でありゃ、余裕で取っ捕まえられるぜ!」

「酒が入りゃ100万馬力(まんばりき)よ!」

「殺すなよ、身柄捕獲すれば報酬が出んだからよ。」


 殺人犯が子どもと知り、意気揚々と酒を交わしながら調子に乗ってる3人の男。

 その光景にリキィは心配そうな顔色を浮かべていた。周りに人影がなくとも、がたいのデカい3人が相手では勝ち目はないと察したからだ。別の人間を探そうと提案するリキィだった。

 しかし、隣にサキの姿はない。

 サキは大工たちの背後へ、一直線。

 右肩からノコギリで「ザザザッ!ザザザッ!」と斬り裂く。

 絶命(ぜつめい)の如く雄叫びをあげる男の方へ凝視(ぎょうし)する2人の男。

 息が上がりながらも()みが(こぼ)れる少女、ゴスロリ姿が真っ赤に染める。助けを()う左腕は、踏み(おさ)えながら斬り裂かれ無惨に()られる。

 その光景に1人の男は酒瓶を投げつけ、もう1人は椅子(いす)代わりの木箱を投げつける。

 鳴り響く音はない。受け止める酒瓶と木箱は、リキィの体で受け止めた。

 その背後で獲物を狙う狼の如く光る眼差(まなざ)しは、男たちの(ひざ)を笑わせる。その滑稽(こっけい)な膝から「ザザザッ!」更に「ザザザッ!」と斬り裂かれ、身動(みうご)きの取れなくなった1人の男はサキに猛攻撃を仕掛ける。

 動けぬ下半身、しかし相手はこちらに向かってくる。その拍子でとっ捕まえようと、サキに抱きつく自称100万馬力の男。

 しかし、不死身の男リキィによって力を無くされた。

 肩が抜けるように打撃を受け、藻掻(もが)く声とは裏腹に大人しい体が切り裂かれる。そして背後から殴りにかかる男はリキィの背中にクリーンヒット。背骨の折れる音は生々しく、そして背骨を正位置に戻す音も生々しかった。

 唖然(あぜん)とする顔を横目にサキは見下し、(にく)む。そして、根太い声が消えた。


 リキィとサキは3人を骨組みの家に運んだ。初めての(こころ)みに一安心するリキィに、城作りに夢中のサキ。パーツ組み立ながらも、更に分解や組み合わせを行う。

 熱心に創造してる姿にリキィも微笑(ほほえ)み隠せず、手伝おうと外にある残りの部位を運ぼうと出た時、一人の男と(はち)合わせた。


「あ」

「あ、君は…」

「あー!ファンの人じゃな〜い!!」


 昨日の洋食屋の新人にまたしても出くわしてしまった。新人くんは大声を出そうとしようと背を向けた瞬間、リキィに足を引っ張られ、地面に顔面を強打する。そのまま中へ引き()りこまれた。


「ねえ?ねえ?今回の新作どう?どう!」

「ふ、ふごい…とてもひっはでひゅ…」

「えへへ/// そうでしょそうでしょ〜!これはお城なのよ!」


 拘束(こうそく)された男はサキの作品に対して評価攻めを受けていた。そんな会話に水を差したリキィ。


「ところであんた、あそこで何してたんだ?」

「ぺっ!あーだだの帰り道だよ。あんたらの事での取材やらお店の掃除やらなんやらやってたらこんな時間になっただけだ。」

「ま、別にそんなことはどうでもいいよ。一度逃がしてしまったんだ。二度目は流石に帰らさないよ」

「ねえ?あなたお名前は?」

「俺は、ジョーン・ベリーだ。」

「サキ、こいつは生かしてはいけない。名前を知っても意味は無いって。」

「リキィ、最低ね。」

「おい!またかよ!?」

「私がなんのために斬らずに居られてるか分かってるでしょ?」

「そりゃファン(?)だからだろ。でもさ…」

「じゃさ!(うち)にこない?」

「「は?」」


 洋食屋の新人くんこと、ジョーンは女性から初めてお家へ招待されることになったのである。


 -翌朝-


 他の大工により骨組み途中の家の中にあった斬り裂きシアターは今までとは違い、派手な怪異(かいい)が現れた。まさにお城の怪物、その名も「キャッスルマン」と名付けられた。

 その後新聞には、被害者が増えたこと、洋食屋の新人が何者かに誘拐(ゆうかい)されたと、事件性は更に増した。人々の悪夢は、より深刻な自体へと(おもむ)く。

 8日目が終わり、次は11人目だ。


 3話へつづく


8日目には大工の3人がノコギリでやられ、

新人こと「ジョーン・ベリー」が誘拐されましたね。

次はこのジョーン君がどのように扱われるのか、

そして少年少女の殺害目的が分かります。


では/

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