機体開拓編 Ⅷ
この前メガウルオウダー買いました。
中古、2500円。
これは買いですね!
あとチェリーエナジーロックシードも買った。
とっても好き。
そんな感じのお話(半分くらい嘘)
アリスをライダーシステムに接続してみた。
ライダーシステムを効率化してくれたのは良いけど、それでエネルギーが外部に流れ出て、萌分さんの秘密基地のセキュリティシステムが作動しちゃった。
七菜さんが変態してそれを止めたら、萌分さんが暴走しておねだりし始めた。
それで七菜さんが逃げ回って、萌分さんが追い詰める。
以上、現在部屋の隅に追い詰められてガタガタ震える七菜さんの理由でした。
萌分さんぱねぇな。
七菜さんは小動物の眼差しでこっちに命乞いをしてくる。
助けねぇぞ?
目の前の肉食獣の目をちゃんと見なさい。
首を横に振るな。
ふえぇじゃねぇ。
「七菜!」
「ひゃい!」
萌分さんは壁ドンする。
秘密基地の壁がドゴンと鳴る。
力強くねぇ?
「萌分ちゃんにも!それを!寄越せ!」
「ふぁ、ふぁふゅう!」
「ほら!」
「ふえぇ!」
追い込まれた変態。
若干涙目でこちらを見てくる。
助けることが出来るだろうか、いや出来ぬい。
反語というのはこういう風に使うモノなんですよ?
良く知らんけど。
そこで、ちょっとした考えを七菜さんに提示する。
いや、仲良し仲良しすれば良いじゃん?
「いや、萌分さんの分のシステムとか作れんの?」
「「!?」」
萌分さんの目は輝き、七菜さんの目は見開かれる。
「そこんとこどうなん七菜!?」
「つつつつ作れないことはない!でも萌分に渡すのはなんかやだ!」
「赦さねぇぞビッチ!」
「誰がビッチだ!」
てめぇだよ。
心の中で、恐らく同じことを考えている萌分さんと激しく同調する。
あんた時々痴女みたいな格好で僕の部屋に入ってくるよね?
要するにそのまま外を通って来てるんだよね?
痴女じゃん。
つまりビッチだな。
痴女が必ずしもビッチとは限らないけど、だとしてもあれはビッチだと思った。
それで、ですね。
「っ、分かった!分かったから!だからゆっさゆっさしないで!」
「ぃやったぁう!」
ついに七菜さんが折れました。
あらまぁ萌分さんとっても嬉しそう。
楽しそうにぴょんぴょんされてます。
あー、萌分さんがぴょんぴょんしてるんじゃー!
外見は少女だからとても可愛くて、七菜さんもちょっとニヤついてる。
うーむ、これでファッションセンスが良ければね。
だぁってさ、このサイダージャンキーさん、『一撃必殺』とかいうTシャツ着てるんですよ?
マジヤバくね?
「これはまあ…、機体の開発は一次停止して、ライダーシステムの開発をしなきゃだね?」
「ぃやったぁう!」
勢い良くジャンプして喜ぶ萌分さん。
ぴょんぴょん。
そして、着地。
ッデォゥウンッ
床にヒビが入った。
「「…」」
「ぅわーい!ぅわーい!」
この人強化したら、地上のパワーバランス壊れるんじゃないかな?
つーかさ、見た目少女がジャンプすると床が割れるって中々に頭悪いよね。
何それ、どうやったらそうなるの?
遺伝か?
いや、このぶっ壊れ身体能力が遺伝だったら底良野家は恐らく政府とかと単体で条約結んでるわね。
…本当に何が原因なんですかねェ。
さて、とりあえず萌分さんの身体能力をどうこうするのは置いといて、だ。
七菜さんが猛烈に僕にすがり付いてくる。
とんでもないことをした、という表情ですけど多分理由は萌分さんですよね、そうでもなきゃこんな表情はしぬいだろう。
「ねぇ!どうしよう!どうしたらいい!?」
「主語が見当たりませんが?」
「萌分の分のシステムに決まってんじゃん!」
「知ってたわ」
「酷くね!」
まだ冗談を言える程度の多少の余裕はあるようだ。
…。
嘘、かなり余裕が無さそう。
涙目なのはまだ良いけど、いつになく瞳の奥が澄んでいる。
これは割と真面目な時の目だ、この変態にも余裕が無くなる時があるとは。
七菜さんはこちらを涙目で見つめる。
どうしたんだろうか?
「単純に言おっか、このままだと私達もヤヴァい」
「ファッ!?何ぞ!?」
「ライダーシステムはその着用者の身体能力を底上げする、また萌分は怪力、握力でダイヤモンドが出来るくらいには」
「あっ、そう…。ふーん」
…ヤバくね?
「あと個人的な理由として、私達以外にシステムを渡したくぬいなー、なんて…」
「変態の変態仕様の変態システム、そりゃ流しちゃ駄目だわ」
「誰が変態だって?」
「ワクワクすんな変態」
「ありがとうございます!」
その後もこっそりと七菜さんと相談して、萌分さんのシステムをどうするかを決めた。
パワーアップのフォルムチェンジをします。
いや、本人のパワーを解放するだけなんだけどね。
イメージ的には、そうだね。
神に命を返す、753なライダーかな?
別名ボタンむしり。
システム名は、強化機構ストレングス。
変身する際の血液量はアルファ、ヴェータの半分。
これはアレだ、衝撃の吸収に重きを置いたから、パワーの出力の必要が無くなった結果。
いやー、萌分さんつおーいからねー。
仕方ねぇよな。
…。
テスト運用を僕達の時の倍やろう。
萌分さんがぶっ壊すかも知れんし。
というわけで現在、萌分さんの秘密基地の最端に来ております。
掘削に見せておけば音とかの配慮はいらねぇよなぁ、萌分ちゃんに任せなぁ、とかいう萌分さんの男らしいお言葉によります。
つーか周りに家が見当たらんぐらいの辺境にあるから多分大丈夫だろ?
そう言ったら、萌分さんは一応政府が管理している土地なので、そういうことの前には連絡が必要だとかいうことで何だかかんだか。
ちょっとむじゅかちちゅぎてぼくぁかんにゃい。
そんなことがありました。
んー、とりあえず萌分さんが政府の管轄だってことは分かった。
それ以外のことは謎過ぎて分からん。
そして、テスト運用。
萌分さんはにっこにこしている。
七菜さんが年のために量産しておいたライダーシステムをちょちょっと改造して、スィータのシステムにした。
いや別に文句とかは。
3時間で改造しきった七菜さんが変態スペックなだけです。
それを、どこぞの古本屋だった未来人のように恭しく差し出す七菜さん。
「…工房主、こちらを」
「ぅわーい!」
あんたそれしか言ってねぇな。
萌分さんは迷わずに腰にシステムを着ける。
しかし、ベルトが出てこないことに萌分さんは首を傾げた。
ごめんなさいね、それ、腕用なの。
改めて萌分さんが左腕にシステムを着ける。
パッと見は乗っ取る方の幽霊ライダー。
…うん、もしかしたら車の方のライダーかも。
そこに血液のプレパラートを差し込み、萌分さんはニッコリした。
あとのやることは、1つ。
「…機構展開!」
システムは駆動音を立て、起動した。
そして、暴発した。
「ウワァァァアアアア!」
ウンメイノー…いや、違う。
萌分さん大丈夫か!
「萌分!無事!?」
立ち上る煙の中から、シルエットが浮かぶ。
咳き込む音が聞こえ、萌分さんの姿が見えた。
その左手は、ぐるりと1回転して捻れていた。
「うえー、手が…」
「「全然大丈夫じゃねぇな!でも何でそんなに焦ってないの!?」」
すると、萌分さんはぷらぷらと手を振り、左手に力を入れる。
ぎにゅっ
手首が変な音を立てて回り、元の状態に戻った。
「「…」」
「だぁいじょーぶよ。それより、壊しちゃったけど…」
「「あんた、手首、えっ、ちょっ」」
「んー?手首?別にこれぐらい普通に回るでしょ?」
「「回んねぇよ!」」
「ふぇあ」
萌分さんは手首をぐるんぐるんぎにゅんぎにゅんと回す。
扇風機じゃないんだし、つーか気持ち悪い!
何なのこの人!
まるで常識が通じないんだけど!
「…本当に無事なんだね?」
「大丈夫大丈夫」
「…」
「本当だから!」
七菜さんに身体に傷があるかをチェックされ、無事だと判断された萌分さん。
ちょっと訳わかめだったけど、なんとか納得した。
無理矢理納得した、の方が合ってるかも知れん。
え、通常の人間って手首が左右に1回転ずつできる?
できても左右に半回転ずつだっしょ?
その点やっぱり萌分さんは変態ですね。
「なんか失礼なことを言われた気がする」
「なんか羨ましいことを言われた気がする」
君達エスパーか?
恐らく萌分さんは格闘、七菜さんは毒だろう。
歩く精神毒、七菜さん。
何だか強そうだけどただ単純に変態なだけですね。
それで、萌分さんのシステム、スィータ。
あれをどうするんですか、七菜さん?
「萌分はサイダー好きやん?」
「うん」
「工学出来るやん?」
「うん」
「物理学は?」
「勿論天才です」
「なら決まったやん?」
「「ふぇえ?」」
七菜さんの中ではもう形が決定したみたい。
でも、ちょっと分からん。
萌分さんと顔を見合わせ、首を傾げる。
七菜さんは口角を上げ、上を指差す。
そして少しずつ、少しずつ目の前に手を下ろしていく。
床と水平になるまで手を下ろすと、くるりと甲を向けるように手を返し、レバーを押す。
ははーん、分かった。
天才的な物理学及び工学の腕。
そして、飲料。
この動作は、アレを絞る動作。
「成る程、丁度良い」
「ねぇねぇ萌分ちゃんにも教えて!ねぇねぇ!」
「「あっこの人ライダーネタ分かんない人か」」
すっかり忘れてた。
まあいいや、何ならフルーツな武将ライダーでもサイダーあるし。
萌分さんエナジーロックスバークリング。
…。
これは萌分さんが馬鹿強くなるな!
やったね七菜さん!
頭痛が増えるよ!
七菜「ねむみ」
萌分「ァアマズォン!」
七菜「エヴォル=エ=エヴォルューション」
萌分「食らえ!」
七菜「ウワァァァアアアア!」
萌分「ウンメイノー」
七菜萌分「「だいぶ疲れてんな!」」