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七菜との日々  作者: ニリとん
3章 機体開拓編
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機体開拓編 Ⅲ

萌分さんが謎の属性を発揮。

こんなヒトいるよね。

自分は麦茶だけで3日は生活できそうだけど。

 




 まずは七菜さんがしたいことを聞いてみる。

 七菜さん七菜さん、どうなんですか?


「ロボット対戦したくない?」

「「してみたい」」

「もう決まっちゃったね!やっぱりロマンだよね!」

「「物凄く理解できる所が誠に遺憾です」」

「酷いね君達!」


 ということでロボット対戦することになりました。

 ではでは、萌分さんに聞いてみましょう。

 やることおせーて!

 萌分さんはサイダーを取り出しながら答える。

 まーたサイダー飲んでるよこのヒト。


「デザインとかそういうやつ。あと要望に会った材料の調達。それくらいかな」

「ういうい。デザインか、まあ適当に決める?」

「七菜さんは強そうなやつで」

「「適当すぎる、却下」」

「2人して辛辣辛辣ゥ!」


 萌分さんに言われた通り、とりあえずデザインを考える。

 形から考えたいじゃん?ということらしいが、実際は外装は最後なんじゃないかな?

 感じたので聞いてみたところ、萌分ちゃんに不可能はない、と。

 強すぎかな?


 ふむ。

 まああれだね、ロボット対戦なら手数多い方が良いかな。

 某ヒト型汎用決戦兵器で言えば、新劇場版の第9使徒とか13号機とか。

 操作はめんどくさいだろうけど、それでも手数が多いに越したことはないっしょ。

 ということで多腕系の機体、と。

 なるべくなら機動性能高い方が良いな。

 小回りの効く機体、と。


 纏めると、手数が多く多腕で、かつ機動性能の高い機体。

 萌分さんすいません、恐らくかなり難易度高いです。


 デザインを考えよう。

 んーとね、機動性能…小回りの効く機体…車輪かな?

 ドラム缶のようなボディに足っぽいやつ。

 先っぽにタイヤ。

 仮設5号機だな。

 それでお手々を…大中小の3対着けよう。

 近接用と遠距離用、的な。

 完全な遠距離のためにもビーム的なのとかの遠距離攻撃手段もほすぃーね。

 それじゃまあそんな感じで。

 ちろっとメモ書きをつけて萌分さんに渡す。


「ぶっふぉ!」


 萌分さんは目を見開いて吹き出した。

 なおサイダーは含んでいなかったので吹いただけです。

 ばっちくないよ!

 萌分さんはワナワナ震える。


「めっちゃ良いんだけど!こんなの作ってみたい!こういうのほすぃ!ほんとほすぃ!」

「そんなに?」

「そんなに!」


 めっちゃ良かったらしい。

 嬉しい。

 つーか目が輝いてますよ萌分さん。

 新しい玩具を見つけた子供みたいですよ。

 七菜さんとは大違いですね。


 ちなみに七菜さんはちゃちゃっと書いて萌分さんに見せていたが、萌分さんに瓶で叩かれていた。

 ちらっと見たら、卑猥なフォルムが描いてあった。

 バカじゃねぇの?




 萌分さんが納得できるデザインを七菜さんが提出した所で、サイダーが出てきた。

 すいませんね、僕達そんなにサイダーいっぱい飲めないんすよ。

 そんな感じで萌分さんに伝える。


「は?君達生きてんの?」

「「こっちの台詞じゃサイダージャンキー」」


 やれやれと首を振って萌分さんが出したのはアイス。

 バニラである。


「フロートにすれば良いんじゃない?」

「「だから、それどちらにしろ炭酸飲料だから。他の飲料か固形物を出せ」」

「ふぇぇぁ」


 渋りながらも萌分さんが宅配のチラシを差し出してくる。

 えっ、まさか何もない?

 貴女ちょっと。


「萌分さん固形物、ちゃんと食べてる?」

「萌分ちゃんサイダー、ちゃんと食べてる」

「「偏食!つーか固形物食え!」」

「悪いか!」

「「身体に悪い!」」

「ふぇぇぁ」


 このヒト固形物摂取してないのか!

 ジャンキーというかなんというか!

 中毒じゃん!

 酒さえあればいいとか思ってるダメな大人と完全に一緒じゃねぇか!

 今回の遊びに目的を追加しよう。

 萌分さんに固形物を食べさせる。

 うん。

 ヒトとして適当な食生活を目指させよう。


「いや、ちゃんと当に適する方の適当な食生活だって」

「「どこに食事要素があったんですかねぇ?」」

「サイダーフロート」

「「は?」」

「え?」


 七菜さんと意見が合うのは大変遺憾だけど、これだけは一致する。

 なんでこんなに健康的で身体能力もヤバいんですかねぇ!

 そんなことを思った。

 萌分さんはずっとぶつぶつ言ってるけど、サイダーフロートは固形物じゃねぇよ。

 いい加減にしなさいな。

 ところでサイダーフロートって飲み物だよね?

 固形物じゃないよね?

 萌分さんがめっちゃ悩んでるから不安になってきたんだけど。

 汚染されそう。


 サイダーフロート固形物論争を置いといて、先に必要な物を萌分さんに聞いておく。

 必要な物資があれば買い出しは僕が行くし。

 可能なことはそれくらいだし。

 萌分さんは未だに不満そうにしているが、それを聞いて正気に戻る。


「あー、うん。えっとね、あれ、えっと…そうそう。鉄鉱石とボーキサイト」

「そうっすか、僕にどうしろと?海外に行けと?」


 萌分さんは指を立て、ちっちっちっ、と振る。


「実は輸入用の契約は交わしてあるのらー。ちょっと待ってるだけで普通に来るから大丈夫だおーん」

「そうっすか…つまり僕は仕事無しと?」

「じゃないかな?」


 悲しいね、悲しいね。

 折角の楽しい時間に何もやることが無い。

 ふええー。

 はぁ…。

 萌分さんは僕に、スッ…と瓶サイダーを差し出す。

 いらねぇよぉ…くそぅ!


「ほら、1本飲めよ…スッキリするぞ…」

「薬みたいな言い方すんな!あと単位がおかしい!せめて一口だろ!」

「私なら悲しい時はダース単位だから、大丈夫だって」

「貴女がおかしいだけです」

「ふぇぇぁ」


 そんな漫才めいたことをしていると、七菜さんが会話に入ってきた。

 何やら真剣そうである。


「考えたんだけどさ」

「「ん?」」









「よく考えればサイダーフロートって咀嚼できるし固形物じゃない?」

「アホかてめぇ!何真剣な顔して考えてんだ!」

「分かってくれたか同志!」

「お前ら絶対ボコボコをするからな、覚えてろよ」


 もうそろそろ僕も駄目かもしれない。

 今の内に頭を空っぽにしてサイダーフロートの事を忘れないと。


「「おい異端」」

「誰が異端だサイダーフロート固形物派!」




 一旦皆で落ち着いて深呼吸した。

 んー、空気が美味しい。

 サイダーフロートは液体。

 よし。


 七菜さんはスイッチを切り替えて真剣モードになった。

 その瞳はまるでサイダーのように透き通っていた。

 どうしよういよいよサイダーに汚染されてきた。

 それに従い、萌分さんは席を立って会議の場所を変えた。

 移動した先は、何かの機器が置いてある大部屋だった。

 その機械は、スクリーンのある大きなアームと液晶の埋め込まれたテーブルとで構成されていた。

 萌分さんはテーブルに手を翳すと、手を浮かしたまま操作を開始する。

 特定の動作を認識した機械は創造者の認証をし、起動する。

 低く響く駆動音、そしてスクリーンに映し出される文字。


『認証:MOVYU・成功。液晶との連動を開始』


 萌分さんは液晶部を軽く叩くと、更に操作を続ける。

 そのしなやかな指は想像もつかない程の速度で動き、液晶部にコードを入力してゆく。


『コード入力:サブスクリーンユニット 完了』


 天井から煙が噴出され、一部がスクリーンとなってアームで降りてくる。

 呆気にとられている僕と七菜さんの前に降りてくるスクリーン。

 そのまま起動音と共に画面が点灯し、萌分さんのモノと同じように文字が映る。


『WELCOME-GUEST』


 萌分さんは楽しそうにこちらに向く。


「さあ、設計を始めよぉおう!分からないことは萌分さんに聞いてね!」


 どうやら、機体の設計が始まるようだ。

 いや、始めるの方が適切なのだろう。

 僕達にも、端末機械があるのだから。

 萌分さんは僕達にデータを送信する。


「モデルの型送っといたで。好きに弄くって、自分の望む形にしてねん!萌分ちゃんは自分の機体やるぜぃ!行くぜ行くぜ行くぜぇい!」


 テンションが異様に高い萌分さんは液晶を叩き出す。

 ぺちぺちと液晶を弄る萌分さんは、まるで子供のようだった。

 その目は、星のように輝いていた。


 恐る恐る、スクリーンに触れる。

 触った場所から波紋が広がり、デスクトップが表示された。

 そこにはモデルの型、というファイルのみが存在していた。

 軽く指で触れると、ファイルが展開されて画面いっぱいに設計図が表示される。

 横に仮建設という文字列が表示されていたのでそこを軽く触れる。


仮建設(トライモード)


 すると、新しいページが開き、そこにその設計図の通りの機体のイメージが建造された。

 完成型の機体をプログラム上で見れるようだ。

 七菜さんは熟考しながらスクリーンを叩き、プログラムの構造を理解しようとしていた。


 萌分さんは呟く。


「凝ったデザインにしちゃっていいよぉん!萌分ちゃんとしてもそっちの方がやりがいあるし!具体的なシステム、兵装は出来る限り開発するよ!萌分ちゃんにまっかせなさい!」


 七菜さんはそれを聞き、応える。


「精密部品の加工とかは七菜さんにもできるよ。でもこのスクリーンとプログラムを見る限りでは多分七菜さんは負けてるね。簡単な物の量産とか、型とかならいくらでも造るよ。お任せしてね」


 いつものような冗談は無く、ただ熟考を続ける七菜さん。

 やはりなのか、部品の加工や設計を行う者として技術面で比較をしていたようだ。

 しかし、萌分さんのようなプロには流石に勝てないようで、あっさりと技術の劣りを認めた。

 いつになく真剣な表情で語った七菜さんは、本物の目をしていた。


 これは、ロマンだけでなく、技術やクオリティの面でも凄いことになりそうだ。

次回から本格的に造り始めます。

ギャグ要素は少なくなりそう。

まあ、あの子達出すけど。


七菜「遊ぼう遊ぼう!」

萌分「遊ぼう遊ぼう!」


「「「「「「わーい!」」」」」」

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