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七菜との日々  作者: ニリとん
3章 機体開拓編
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機体開拓編 Ⅰ

ほんの少し短いですが、投稿です。

さあきました、モブちゃ「は?」もとい萌分ちゃん。

この新しいキャラクターが、どんな風を巻き起こしていくのか。

勿論、作者にも分かりません。

ただ、1つだけ分かります。

今後の展開…、



碌なことにはなんねえ!

常識くそくらえ!

ヒャッハー!

 




「やあこんにちは七菜さんだよ!」

「知ってるから帰れ」

「ファッ!?出会い頭に帰れって言われた!訴訟!」

「それだけで訴訟なんかしたら、警察壊れるぐらいに事件の量が膨れ上がるからやめとけ」

「じゃあセクハラも良いよね」

「ざけんな変態」


 クトゥルフで遊んだ翌日。

 七菜さんは水着で部屋に飛び込んできた。

 窓から。

 あのさぁ、なんでそんな服装で窓から窓へと飛び移ろうとするの?

 馬鹿なの?

 変態だったな。

 とりあえず七菜さんのお腹にグーパンを食らわす。


「ぐぼっ!?…なかなか良い拳してんじゃあねぇか…でゅっふふふふ!」

「うわ変態だキモっ」

「ありがとうございます!」


 このやりとりも馴れた。

 毎日毎日罵声に悦する変態に、拳を叩き込むととても悦する。

 解決なんてしてねぇなこれ。

 こっちの利なんてありゃしねぇ。


 それで何の用なんだろうか。

 碌なことじゃあないことは確かだが。

 また何かを作ったのだろうか。


「今度は何やらかした?」

「やらかす前提なのは流石に酷くない?」

「成る程、セクハラで訴えられた?」

「ねえ聞いてる?」


 全く、この変態漸く逮捕されるのか。

 長かったな。

 んじゃ面会には行くわ。

 頑張れー。


 適当にあしらって七菜さんを部屋から追い出す。

 勿論だが窓から。

 この変態、落ちたぐらいで死にゃあせんやろ。

 寧ろ進んで落ちそう。

 ぐいぐいと窓に押しやると、七菜さんは涙目で訴えかけてくる。

 その表情はいつになく真剣である。

 そして叫んだ。


「殺さないでモブゥ!」

「殺すしかないでしょ。あと私はモブじゃない」


 次の瞬間、七菜さんの身体は僕の方へ飛んできた。

 体勢的に抱きつかれているが、別に興奮とかはしない。

 変態がよく見せつけてくるので馴れたのだ。

 別にこんなもんどうでもいい。


 しかし、それよりも重要なことが1つ。

 七菜さんは()()()()()()()()こちらに飛んできた。

 つまり、窓にいた七菜さんを何らかの形で押し出した者がいるのだ。

 …七菜さんの部屋の窓から僕の部屋の窓は凡そ10メートル。

 七菜さんも十分変態だが、それと同等の存在がいるということである。

 冗談だよな?


 そして七菜さんの向こうから1人の女性が現れる。

 そのヒトは七菜さんに馬乗りになり、背中から関節を決める。

 七菜さんはいつものような表情ではなく、苦悶の表情で涙を浮かべる。

 …あの変態にあんな表情させるなんて、よっぽどの体術を…。

 そして七菜さんが床をどむどむして限界を訴え始めた時、そのヒトはこちらを向く。

 可愛いけどとても可愛いという訳でもなく、かといって普通の目鼻立ちをしている訳でもぬい。

 彼女は小柄だったが、その目はどこまでも透き通っており空を思わせるようだった。

 七菜さんの声なき悲鳴を他所に、彼女は微笑んだ。


「初めまして、私は萌分。底良野(そこらの)萌分(もぶ)。モブじゃあないからそこだけよろしく。趣味は機械いじり、あと戦闘演習、特技は周囲に溶け込むこと。萌分って呼んで」







 モブ…萌分さんはこの近くではないがこの付近の場所に住んでいるらしい。

 自宅には地下室を作り、そこで色々と機械を作ったり改造したりしている。

 昨日のクトゥルフの諸々をデザイン、製作したとか。

 普通に強くないですか?

 更にサンドバッグも備えており、それを使って格闘技を極めた。

 空手とかだと思っていたが、テコンドーやカポエイラも経験しており、総合して<萌分流制圧術>を編み出したと言う。

 目の前で見たからね、もうはっきり分かりました。


 …七菜さんに有効な技がある。


「師範」

「初対面のヒトに自己紹介の後に師範とか言われたんですが」


 悦な表情で全ての肉体的攻撃を受けきる七菜さんに有効な技である。

 覚えるべきだな。

 いやー、ありがたい。


 それで、萌分さんは何をしにこんな所に?

 萌分さんは七菜さんの関節を解放し、溜め息を吐く。

 そして()()()()()()()()()話し始めた。

 七菜さんは関節が戻ってきた喜びから新たな痛みに襲われ、絶望の表情をしている。

 なかなか新鮮だ。


「新しい機械を作れとか言われて新しいの作ったんだけど、感想も言ってこないし。使ったらすぐに言えって伝えたんだけどね」

「でも1日は流石に早すぎない?」

「何か異常があるかもしれないわけだし、メンテナンスとかは早めにしたいのよ」

「あー、成る程」

「それをっ、このっ、ヴァカはっ、クソっ、クソっ、忘れてんじゃないっ!」

「やめっ、死ぬ、死ぬ!」


 今にもぼきっと聞こえてきそうなほどきつく首を締める怒れる萌分さんに、七菜さんはじたばたして抵抗する。

 じったんばったんおおさわぎする七菜さんに、萌分さんは足をほどく。

 そして僕を手招きする。

 …七菜さんの上に。


「お、お隣失礼しまーす」

「どぞどぞ、こんな椅子ですいませんな」

「ちょっ、まっ、2人は折れる!折れちゃうから!タンマ!タンマ!」

「「喋んな椅子」」

「ひっでぇ!」


 喋る椅子って童話でありそうだよな。

 そのまま談笑を続けましょうか。


「…あっ、でも段々楽しくなってきた」


 蹴りでも入れるか。


「すいぁせんこれでも十分キツいんす、やめてください」

「「へぇ?」」

「この2人、外道よ!七菜さんはもう満身創痍なのに!」


 萌分さんとは親友になれそうな予感がした。




 七菜さんに全体重をかけて時々変なツボを圧しながら話を続ける。

 寝転がる七菜さんの豊満な胸部装甲は潰れており、それにより七菜さんは謎の快感に震えている。

 萌分さんはそれに舌打ちし、腰回りのツボをぐいっと圧す。

 ぬぉとか言って苦悶している七菜さんに溜め息を吐き、更にツボをぐりぐりする萌分さん。

 鬼畜ではあるが、七菜さんには丁度良くお仕置きになっている。


「で、今回なんだけど。七菜(バカ)にぴったりの暇潰しを考えてきたのよさ」

「んおおぉぉぉぉうっ…それっは、良いっすねぇ…!」

「割と余裕だな?ん?」

「まってそこは痛いやつだからほんとマジでたのんますお願い「ぐいー」あぁあぁぁあああはあ!?」

「この悲鳴、とても心地よい…」


 喋る度に七菜さんの肉体に痛覚的刺激が加わる。

 初めて聞いたかもしれんな、七菜さんの悲鳴。

 とても良いです。

 日々の鬱憤が晴れていく。

 ついでに尻を叩く。

 ぺちんっと。


「あふぅん!良い!スゴく良いよ!実に素晴らしい(ディ・モールト・ベネ)!」

「なんで相手によって反応を変えるんですかねぇ…!」

「七菜のお気に入りなんじゃない?感覚とかが、さ」

「許さんぞ変態」

「もっとぶってぇ!でゅっふふ!」

「「おう」」

「2人がかりは流石に想定外だね!死んじゃう!ひぎゃあ!」


 閑話休題。





 四つん這いの七菜さんの上で足を組む萌分さん。

 女王の貫禄と覇気を見せるその姿に思わず息を飲む。

 下僕の脇汗と邪気を迸らせるその下の変態には溜め息を吐く。

 なんなのこの差。

 萌分さんは七菜さんの胸部装甲にかかとをぶつける。

 ふにんとするそれに舌打ちする萌分さん。


「で、君にもこの七菜(変態クソビッチ)のお遊びに付き合ってもらいたいんやよ」

「成る程、いつものことね」

「罵られても嬉しくない…新感覚かな!」

「逝ね」

「ふぁっ!全然嬉しくない!」


 次第に萌分さんのイライラが増大していくが、それと共に蹴られる七菜さんのたゆゆんは未だ健在である。

 そろそろ取れるんじゃないかな?

 ばるるんしだしたぞ。


「チッ」

「ふはははは!私のぽよよんは無傷だ!巨大、張り!若さパワー!帝王はこの七菜さんだッ!」

「揉いでいいかホルスタイン」

「せめて搾って!」


 七菜さんを担ぎ、萌分さんは立ち上がった。

 そのまま()()()()()()()()

 そして音の無い綺麗な着地を決めると、こちらを見上げる。

 不敵な笑みを浮かべ、手招きする萌分さんはまるで普通の少女とは思えなかった。


「さあ、おいで。私の地下室に案内しよう。このバカもはしゃぐ機械だらけの部屋だ。楽しいぞ?」


 僕はその誘いを断ることができなかった。

 それだけ魅力的だったというのもある。

 しかし、その瞳が有無を言わさぬ輝きを放っていたのが一番の要因だったろう。


 そして、壮大な計画が動き出した。

 3人に1つずつ、巨大な戦闘機体が渡るという計画が。

外見は至上のモブ、しかしその中身はヤバいヒト(主に頭脳的な意味で)。

そして強い。

謎の強さを誇る萌分さんをどうぞよろしくお願いいたします。


萌分「よろちこ」

七菜「めっちゃ軽いノリなところもある」

萌分「ういういー」

七菜「でもモブって言うとキレる」

萌分「あ"?」

七菜「ほら!(涙目)」

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