AとEのクトゥルフ編 Ⅸ
アリス祭り(物理的なニュアンスで)
七菜さんが変態する回となります。
喜べ。
「ほーれ…次はどこかな?」
『ヴァァァァアアイアアアアアアアアアア!』
七菜さんが猛攻を開始してから数分。
Dアリスは完全に七菜さんに振り回されていた。
ちなみに七菜さんは攻撃の度にDアリスの身体を触ったりして変態している。
セクハラか。
戦闘中ですが。
Dアリスの咆哮も段々と悲鳴じみてきたな。
「おっほぉ…いいねぇ、とても柔らぁかぁいよぉ…」
『ヴァァアアアアアアア…!』
そしてDアリスを弄ぶ度に、つまり攻撃の度に七菜さんは加速している。
恐らくアクセルフォーム並みの速度である。
変態の加速って字面からやヴぁそうだな。
七菜さんはとても楽しそうなので、これからもっともっと加速していきそうである。
自分自身は楽しいけど相手にとってはただの脅威。
これがHENTAIです。
頼むからこっち来んなよ?
七菜さんは変態を続け、そのまま変態を行う。
Dアリスは困惑を続け、そのまま乙女になっていく。
何が起こっているのかは分からない。
何を言っているかも分からない。
しかし確実に言えることがある。
職業の変態は、変態的な性能で強かった。
七菜さんは加速を止め、Dアリスの前に立つ。
Dアリスは目の前の変態に思いっきり斧を振り下ろす。
しかし変態は超加速し、残像を作りながら分身する。
斧はそのまま残像のみを切り裂いて地面に突き刺さる。
分かったわ、七菜さんは余裕プレイしたいんだな?
お前と俺には天と地ほどの差がある!的な。
やりたいのは分かるけどさ。
七菜さんは更に、Dアリスの指を一本ずつ超加速で撫でる。
そのままDアリスは武器を造り出そうとするが、すぐに七菜さんに奪われてポイされる。
危ないのはポイするっぽい。
そして七菜さんはDアリスをどこからともなく取り出した縄で縛る。
どこから出した…!
なんなら手品みたいに出してたよな…!
怖いねぇ…!
そして七菜さんが叫ぶ。
「今だよ!ょぅι"ょ軍団!」
「「「「「「「わーーーー!」」」」」」」
ふぁっ!?
そのままDアリスはアリス達にぼっこぼこにされてしまいました。
目は虚ろ、全身は痙攣、口からは泡が出ている。
数の暴力…っぉぃ…!
Dアリスは全身傷だらけ…いやキスマークあるな?
つーかキスマークだらけじゃねぇか。
なんでだ…!
七菜さんに話を聞く。
コルァ!
そこの変態さんよォ!
「てめぇアリス達に何教えてんだ?」
「ふぁっ!?何もしてないよ!」
「おいアレ見ろよアレ」
Dアリスだったモノを指差す。
七菜さんは硬直した。
そのままこちらを振り向く。
「…このぐらいの子って、さ」
「あ?」
「めっちゃ色んなモノに影響されるよね…?」
「…」
「やめて蹴らないで!私のせいじゃ…ああでも止めないで!もっと蹴って!」
「身体の底から爆発してろ変態」
「ありがとうございます!」
アリス達は変態に影響を受けてしまったらしい。
だから…だから言ったじゃないか、アリスに近寄んなって。
あれ、言ったか?
確か言ってねぇわ。
ああもう…!
すると、服の裾をくいくいと引かれる。
後ろを向くと、ょぅι"ょ軍団。
アリスの群れである。
全員が上目遣いでこちらを見上げている。
トゥンク…。
「「「「「「お兄さん…ちょっとだけ、剥かせて?」」」」」」
「服の話だよな?な?」
「「「「「「「ね?」」」」」」」
「ダメです!」
ダメだ…!
これはもう…ダメだよォ!
ダメなんだァァァアアアアア!
あああああああああ!
…そういえば。
七菜さんって相手の本能解放させたり汚染したりする技能あったよね?
やっぱりてめぇのせいじゃねぇかよ変態が!
その後なんとかアリス達をなだめて、部屋の探索を再開する。
例の大袋以外は見たよな。
じゃあ、アレ見るか…。
その前に、Dアリスさんを見ておこう。
戦意は喪失してるだろうしな。
念のためだ。
Dアリスの前に立つ。
本当にごめんなさい…うちの子が色々してしまいました…。
一応謝ってから、確認する。
今喋れるかこの子?
「あー…戦意はない?」
『……ヴァアアァァ……?』
「あっダメだ脳が働いてないわ」
精神が変態に汚染されてる。
これは侵食中だな。
恐らくこのあとアレになりそう。
まあそんなのは置いといてだ。
「…どうかな、試してみるか」
Dアリスの頭に手を置き、撫でくりまわす。
できるだけ愛情を込めて。
ほーら怖くないぞー。
…よしよし。
『ヴァアアァァ……うあぁぁあ……』
お?
「いい子だいい子だ…よーしよしよしよし…」
『うあぁぁあ…うあぁ…うーーー…う……』
もしかして落とせた?
敵意は…無さそうだな。
まあ危険因子であることに変わりはないけど。
…変態におんぶさせるか。
そのまま撫で続ける。
『ぁ………。ぅゅぅ………』
だいぶおねむのようである。
このまま寝させればいいだろう。
よしよし。
「…私にもご褒美くれないかな?早く早く?」
「「「「「……」」」」」
君たちは無しだ。
七菜さんは1人、呟く。
「さて、色々あったけど、どの子が本体だろうね」
その質問はすぐにアリス達の話し声に掻き消えてしまうが、その本体と呼称された個体にははっきりと聞こえていた。
アリスの中の1人、とあるアリス。
一瞬、その瞳が他のアリスとは異なる、緋色に染まる。
それは本当に一瞬であり、すぐに他のアリスと同じ青に色が戻ってしまう。
それは幻覚の類いではなく、このシナリオのクリアに多大に関わる要素である。
それに彼らが気づくかどうかは、未だに分からない。
「ふふっ…見つけてみてね、お兄さん?」
一息ついて、大袋に向き直る。
ちなみにDアリスは変態がおんぶしている。
限りなく危険である。
しかしまあどうせ…なぁ?
HENTAIになっちゃうみたいだし、な?
仕方ないね。
で、大袋だ。
鉄の匂いがするね。
赤い液体が流れ出てるね。
確定。
動物性の何かしらが入ってる。
もっと言えばそれは傷が付けられてる。
割かし新しそうな感じもする。
で?
中身を覗き見る。
そこには、ウサギの惨殺死体が雑多に入れ込まれていた。
長い耳、大きな脚、小さな尻尾。
切り刻まれたウサギが、いた。
思わず吐き気を催す。
すると、アリスがそれに目をつける。
「ウサギさんのお耳!」
徐にアリスが、鮮血に濡れたウサギの耳を取り出す。
そして、頭につける。
それは可愛らしく、それだからこそ、血の赤がよく栄えた。
純粋であり、そして心の奥に純粋ではないナニカを抱えているかのように見えたそのアリス。
「見てみてー!ウサギさーん!」
それは、『本体』と七菜さんに呼称された個体だった。
このシナリオの本質は、本体のアリスを見つけられるかどうかに関わります。
ちなみにDアリスは邪気が抜けました。
そこに変態が入りました。
アリス軍団加入です。
七菜「イレギュラーを完全に倒したよ。褒めて」